歌舞伎俳優の市川海老蔵さんが27日、66歳で亡くなった父・團十郎(本名・堀越夏雄=ほりこし・なつお)さんについて青山葬儀所(東京都港区)で営まれた本葬の後、取材に応じ、「寂しいですね。父、師匠として大きな男でした。僕、家族、一門、ファンにとって大きな存在だったと日に日に感じています」とありし日をしのび、「父は孫と共演するのが夢だった。僕も孫と共演できるように精進したい」と亡き父への思いを語った。
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本葬には現在、第2子男児を妊娠中の海老蔵さんの妻・麻央さんは欠席。海老蔵さんは「(出産予定は)3月末だけど、体が冷えるので(欠席した)。諸先輩方にも相談して『無理することない』と言葉をいただいた。(麻央さんは)家で温まっていると思う」と説明。さらに、團十郎さんが生前、麻央さんについて「僕にはもったいない女性。いい嫁をもらって安心した」といっていたことを明かし、第2子の名前について「随分前に決まっていて、父も知っている」と話した。
また、團十郎さんの辞世の句「色は空 空は色との 時なき世へ」について「12月あたりにパソコンに入れていたみたいです。4月に新歌舞伎座にでるつもりでいたと思ったが、最後の覚悟をしていたんだなあ」と話し、今後の歌舞伎界について「3月から新しく明るい話題を提供していきたい」と思いを語っていた。
本葬は小雨の中、歌舞伎俳優やファンら約2500人が参列。歌舞伎俳優の尾上菊五郎さんや坂田藤十郎さん、松竹の迫本淳一社長、作家の三浦朱門さん、森喜朗元首相が弔辞を述べた。さらに、松本幸四郎さんや中村橋之助さん、三田寛子さん、市川猿之助さん、市川中車さん、尾上菊之助さん、北大路欣也さん、米倉涼子さんらが駆け付け、團十郎さんに最後の別れを告げた。
團十郎さんは東京生まれ。江戸歌舞伎の名門・市川宗家十一代目團十郎の長男で、1953年に市川夏雄を名乗って初舞台を踏んだ。58年に六代目市川新之助、69年に十代目海老蔵を襲名。85年には、十二代目團十郎を襲名し、初の米国での襲名公演も行った。04年に歌舞伎座出演中に体調不良を訴えて入院。「急性前骨髄球性白血病」と診断された。08年には骨髄移植を受けるなど闘病しながら舞台を続けた。(毎日新聞デジタル)