長谷川京子:八重の兄嫁うら役で「女としてのプライドを見せたい」 大河ドラマ「八重の桜」

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 女優の長谷川京子さんが、NHK大河ドラマ「八重の桜」で綾瀬はるかさん演じる山本八重の兄嫁・うらを演じている。プライベートでは08年に結婚。現在、2児の母でもある長谷川さんに、うらを演じる上での母としての共通点や妻の葛藤、撮影のエピソードを聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 ◇うらとは「基本的に似ている」

 ドラマは、福島県出身で戊辰(ぼしん)戦争の落日、会津の鶴ケ城に500人の女たちと立てこもり、銃を持って戦ったことから“幕末のジャンヌ・ダルク”と呼ばれ、のちに同志社を創設した新島襄の妻となる八重(1845~1932)の生涯を描いている。長谷川さん演じるうらは八重の兄・覚馬に嫁ぎ、一人娘のみねを出産。覚馬が京都に上洛した後、幼いみねを育てながら山本家の家族とともに留守を守っているという人物だ。

 うらは従順でおとなしい性格ながら、覚馬を刺客の刃(やいば)から体を張って守るなど気丈な一面を持ち合わせており、長谷川さんは「信念があり、何かあったときにはイエス・ノーをきちんと出すことができる女性」ととらえている。また、みねを厳しくしつける場面を引き合いに、「覚馬が帰ってこない場合、みねが跡取りになるので、彼女をしっかりしつけなければいけないという意識が強い。覚馬がいない不安もあると思うけれど、それを表には出さず、山本家での自分の役割をわきまえている」と分析する。

 長谷川さん自身、みねと重なる部分も多いようで、「やるべきことはきちんとやらなければ、という意識が強いですね。幼い子どもたちを抱えて『この先、きちんと食べさせていかないと』と思うと、しっかりしないとと自分を律しますし、他のことを案じていても時間のむだだなって」と母の顔をのぞかせる。

 ◇子どもを産んで役の幅が広がった

 母親役を演じるにあたって、長谷川さんは子どもを持ったことで「これまでの演技とまったく変わった」と明かし、「役柄の心情がすっと分かるようになり、細かい表現ができるようになった。感情や演技のひだが増えたと思います」と語る。その具体的なシーンについては、 「みねが突然いなくなって、見つかったあとに彼女をしかって抱きしめる場面があるんですが、うらの気持ちがすごくよく分かりました。不思議なんですけど、異性よりも、子どもの方が感情が入りやすくなった部分があります。男性への好き嫌いよりも、子どもに対する感情の方が、自分の中では無理なく演じられるというか……」と話す。

 一方で、覚馬が京都に向かう前夜に「くしをもらうシーンが印象的だった」といい、「すごくロマンチックに撮っていただいてうれしかった」と女心も垣間見せる。また、「台本上、覚馬がうらを心配してくれるシーンがないので、女性としては『どうなの?』って思ってしまう。現代の私からしたら、妻と子どもを大事にしてって。うらと私は基本的には似ているんですが、彼女と違って、私は見返りがほしい……」と妻としての本音を明かす。

 ◇覚馬役の西島さんも「女性より仕事」?

 覚馬を演じる西島秀俊さんについては「お芝居に対してストイック。すごく熱を持ってお芝居をされているから、そういう方が現場にいてくれてうれしいですね」と絶賛。しかし同時に「普段の西島さんも、覚馬と似ている気がします。自分の仕事に一生懸命で、恋人のことをほったらかしにしてしまいそう」と語り、実際、共演シーンが3話のみで覚馬が京都に旅立ってしまうことから、うらの気持ちを代弁して「山本家のみんなにグチを聞いてもらう」こともあるという。

 うらには最後に夫との悲しい別れが待っている。覚馬が京都で新しい女性を作ったことから、うらは身を引き、京都に向かう八重に娘を託して自分は会津に残る選択をする。

 「別れの原因は一つではないかもしれないし、意外とあっさりしたものなのかもしれないけれど、私は最後の最後に、うらに女のプライドを見せてほしい。これまで自分を出してこなかった彼女ですが、ここに来てやっと本心を見せるというような。どういう脚本が上がってくるか楽しみです」と、うらの会津女としての一本筋が通った性格と同様に凜(りん)とした表情で語った。

 「八重の桜」はNHK総合テレビで毎週日曜午後8時に放送中。

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