北陸の温泉旅館で働く女子高生たちの青春と成長を描いたテレビアニメ「花咲くいろは」(11年4~9月放送)が劇場アニメ化。「劇場版 花咲くいろは HOME SWEET HOME」(安藤真祐監督)が、石川県での先行公開に続き30日に全国で公開された。テレビアニメは富山に本拠地を置くスタジオ「P.A.WORKS」が設立10周年を記念して原作と制作を手がけたオリジナル作で、ヒロインを中心とした旅館で働く人々の人間模様に加え自然や歴史ある街並みといった丁寧な描写で多くのファンを魅了した。放送終了後、キャラクターやストーリーだけでなく、作品の舞台となった石川県を訪れるファンを生み出したことでも話題を集めた。
ウナギノボリ
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祖母の経営する温泉旅館「喜翆荘(きっすいそう)」に住み込みで働くこととなった東京生まれの女子高生・松前緒花(声・伊藤かな恵さん)。最初こそ戸惑ったが今ではすっかり慣れ、板前見習の鶴来民子(声・小見川千明さん)や仲居見習の押水菜子(声・豊崎愛生さん)たちと過ごす毎日の中、少しずつ自分の変化に気づき始めていた。ある日、喜翆荘へ女将(おかみ)修業にやってきたライバル旅館「福屋」の娘でクラスメートの和倉結名(戸松遥さん)の面倒を見ることに。そして物置を掃除していた緒花はあるものを見つけ……という展開。
劇場版は、石川県をモデルにした雄大な自然が美しい映像で再現されている上に、ストーリーや登場人物たちの心情がテレビ版以上に深く描かれており、物語の世界へと一気に引き込まれる。また、主人公・緒花の父・松前綾人が初登場し、母・皐月との出会いなどが描かれていくのも見どころだ。物語は、母と娘の親子関係を中心に、緒花たちが働く現在と過去の皐月の高校生時代が転換しながら進み、世代や立場による悩みや葛藤などが丁寧につむがれている。「輝きたい」という青春時代特有の思いは特に印象的。笑えるシーンや心に響く場面もあり、家族の絆や夢、明日の仕事を頑張ろうと思わせてくれる味わいのある作品になっている。テレビ版を見ていなくても十分に楽しめるが、より深く楽しみたいならテレビ版で予習しておくことをオススメする。新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/毎日新聞デジタル)
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