ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の携帯ゲーム機「PSVita」が不思議な売れ行きを見せている。2月の値下げ以降、Wi-Fiモデルは各店で品不足となる一方で、3G/Wi-Fiの兼用モデルが残っている。どちらも価格は1万9980円で、3Gモデルの方がお得な価格にもかかわらずだ。
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PSVitaは、有機EL(5インチ)を実装したPSPの実質的な後継機。11年12月に3G/Wi-Fiモデルを2万9980円、Wi-Fi単体を2万4980円で発売し、割高感やソフト不足から苦戦した。だが13年2月末に二つのモデルをどちらも1万9980円に値下げしたところ人気が爆発。「ファミ通」を発行するエンターブレインによると、週間の販売数は2月に1万台を割り込んだ時期もあったが、値下げ以降の3月は3万台以上と急伸。ところが4月の1週目は2万台を切り、2週目は1万5000台を割った。理由は売れすぎによる品不足だ。
だがすべてのPSVitaが売り切れたというわけではない。14日夜の段階で、東京都内の量販店では、Wi-Fiモデルがすべて完売で「次回の入荷は未定」の張り紙が出ていた。3Gモデルは買えるが、インターネットでは、多くのユーザーがPSVitaの品不足を嘆く趣旨の書き込みをしている。それを受けて、SCEの河野弘プレジデントが、公式サイトで品不足をおわびし、次回の入荷はゴールデンウイーク前と告知している。なぜお得な3Gモデルが残っているのか。
3GモデルのPSVitaは、3G回線を20時間分は無料で接続できるサービスがあり、SIMカードも実装済みで、ゲーム機の電源を入れて最初の手続きをするとすぐ利用できる。もちろん3Gを利用して20時間を超えても、クレジットカードで課金するなどしなければ料金を取られることもない。SCE広報部は、Wi-Fiモデルの偏った人気について「3Gモデルは特別な手続きが必要と思われているようだが、実際はドコモショップにも行く必要はない。消費者への説明が不足しているのかもしれない」と話している。
都内のある量販店に聞くと、やはりWi-Fiモデルの購入希望が多いという。店員が「3GモデルでもWi-Fiが使えてむしろ価格もお得」という説明をすると、納得して購入していくが、店員に声をかけることもなくあきらめて立ち去る客もいるという。東京・秋葉原などで中古ゲームやDVDを販売する「TRADER(トレーダー)」の家庭用ゲーム部門責任者を務める小林俊一さんは、「3Gモデルは、(強制的に)通信費がかかるというイメージがあるのでは」と話しており、3Gのイメージや課金への誤解から売れていないというのが実情のようだ。(毎日新聞デジタル)
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