「転々」(07年)や「インスタント沼」(09年)など、ゆるさと鋭さを併せ持つ世界で魅了する三木聡監督の最新作「俺俺」が25日、公開された。星野智幸さんの同名小説が原作で、33人の「俺」が出てくる不条理もの。主演はKAT−TUNの亀梨和也さんが演じ、三木組に欠かせない岩松了さんやふせえりさんも出演している。
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永野均(亀梨さん)は平凡な街に住む平凡な28歳。団地の実家に帰れば母親(キムラ緑子さん)に小言を言われ、職場の家電量販店では上司のタジマ(加瀬亮さん)に嫌みを言われる始末。人間関係がうまく築けない均は、人と関わることが面倒くさいと感じていた。ある日、ハンバーガーショップで他人の携帯電話をなんとなく持って帰ってしまった均。なりゆきで“オレオレ詐欺”をしてしまった日から不思議なことが起こり始める。同じ顔をした「別の俺」が現れたのだ。俺を集めた部屋「俺山」で居場所を見つけたが……という展開。
他人とは関わらず、「俺」とだけ関わっていけたらどんなに楽だろう……という現代的な設定で、“自分とは何者か”という古くからあるテーマが底に流れているが、増えていく「俺」の映像を見ているだけでも、ただただ不気味で面白い。亀梨さんのファンにとっては、たくさんの亀梨さんを観賞することで1回目は終わるかもしれないので、ぜひもう一度見に行ってほしい。そして、存在していること、生きていることの怖さにも通じる不思議な感覚にひたってほしい。俺はどこで生まれて、どこにいくのか……。2人の母親が登場して関係が複雑に変化していく部分も興味深い。絶対的であるはずの母親とのつながりまで、もはや不安定な材料となる。三木監督はまたもや、日常生活の裂け目から意味深なSFを見せてくれた。25日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開中。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに単館映画館通いの20代を思い出し、趣味の映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心に活動するライター業のほか、ときどき保育士としてとぼとぼ歩き中。
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