フリンジ:主演のアナ・トーヴさんに聞く 5年関わった作品「人生の転換期になったのは確か」

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 米ドラマ「LOST」や映画「スター・トレック」シリーズなどで知られるJ.J.エイブラムスさんが制作総指揮を務め、2008年から続いてきた人気テレビシリーズ「FRINGE/フリンジ」の第5シーズンにあたる最終章のブルーレイディスク(BD)とDVDが5日にリリースされた。主演のアナ・トーヴさんがPRのためにこのほど来日。「結末の描き方を含め、しっかりと練られたファイナルになっていて、私たちスタッフ、キャスト同様、みなさんにも満足していただける仕上がりになっていると思います」と自信を見せるトーヴさんに、改めて「FRINGE/フリンジ」の魅力について話を聞いた。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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 「もちろん興奮しました。当時からJ.J.(エイブラムスさん)は超有名人だったから、迷わず引き受けたわ」と、この仕事のオファーが来たときのことを振り返るトーヴさん。とはいえ当初は彼女も5シーズンも続く壮大な話になるとは思っていなかったようで、「最初は(第1話に当たる)パイロット版(の台本)しか読ませてもらえなかった。それだけで飛び込んだのよ。話がどんどんふくらんでいくにつれ、私もどんどん面白くなっていった、という感じなの」と、最初は五里霧中状態だったことを明かす。

 それも無理はない。“フリンジ”とは、解明できない現象のことをいい、不可解な一連の事件の謎を、トーヴさん演じるFBI特別捜査官オリビア・ダナムと、施設に収容されていた“フリンジ”サイエンティストのウォルター・ビショップ(ジョン・ノーブルさん)、そして、その息子のピーター(ジョシュア・ジャクソンさん)が解明していくサスペンスドラマだ。謎だらけの事件を捜査だけでなく、セカンド・シーズンからは、“こちら側”の世界と並行して存在する“もう一つの世界”と、そこに存在する“もう一人のオリビア”が登場。第3シーズン以降、一筋縄ではいかないストーリーが、一層複雑になっていった。そして、ファイナル(第5)シーズンでは、第4シーズンの第19話「支配された未来」の続きとなるストーリーが展開。2036年を舞台に、それまで無害に思えた“監視人”たちが世界を支配し、オリビアとピーターの娘も登場する。

 その五つのシーズンのうち、トーヴさんのお気に入りは第3シーズンだという。「もう一人のオリビアが出てきて、こちらの世界とあちらの世界を行ったり来たりできる楽しみがあったし、あちらの世界のオリビアとこちらの世界のピーターがデキちゃって、その事実を知ったときの(こちらの世界の)オリビアのショックとか、オリビアという女性を幅広く演じることができたので、やっていてすごく面白かった」と笑顔を見せる。

 ならば、こちらのオリビアと、あちらのオリビア、演じていて楽しかったのはどちらかとたずねると「間違いなく、赤毛の、もう一人のオリビアね」と断言。そして、「それまで演じていた金髪のオリビアは、とにかくまじめで、仕事しか頭にない女性。彼女だけを演じていたときには気づかなかったけれど、もう一人のオリビアを演じて、すごく解放感に浸れたわ」とトーヴさんにとってあちら側のオリビアは、新しい自分を発見させてくれるキャラクターでもあったようだ。ちなみに、トーヴさん自身が似ていると思うのは「その日の気分によるけれど……」としながらも、「本当は、あちらの側のオリビアのように、私も楽しい人なのよと言いたいところだけど、深刻に考えることもあるし、機嫌が悪くなることもあるし……(笑い)。でも、どちらのオリビアにも私の要素が入っているわ」という。

 そして、今回のファイナル(第5)シーズン。その中で印象に残るエピソードをたずねると、第4話「ネックレス」を挙げた。その理由はネタバレになるので控えるが、感情を揺さぶられるエピソードであることは間違いなく、トーヴさん自身「やっていてすごく印象深かった」と話した。

 「FRINGE/フリンジ」に足掛け5年も関わってきた。「私の人生がそれによってどういうふうに変わったかを具体的に話すことは難しいけれど、でも、人生の転換期になったのは確か」としみじみ語る。「FRINGE/フリンジ」が終わり、撮影場所でもあり、自宅があったカナダのバンクーバーから離れ、つい先ごろ、米ロサンゼルスに拠点を移したばかり。身体にしみついた“オリビア”は、「今ようやく抜けかかっているところ。次の仕事については、もう少し落ち着いてから考えたい」と、女優業は小休止中だ。

 そんな中、今回の初来日。“日本通”の友人が多いようで、彼らからいろんな話を聞き、「前々から日本に来たかった」という。連日の取材によるホテルでの缶詰め状態を抜け出せたら、「東京の街を散策し、京都にも足を延ばしたい」と目を輝かせていた。とにもかくにも、トーヴさんが演じるオリビア・ダナムも今回が見納め。ぜひともファイナルシーズンの彼女をしっかりと目に焼き付けてほしい。

 <プロフィル>

 1978年、生まれ。豪州出身。オーストラリア国立演劇学校で学び、卒業後は名門劇団「シドニー・シアター・カンパニー」の舞台に立つ。「Young Lions」(2002年)、「The Secret Life of Us」(04~05年)といった豪州の人気ドラマに出演。J.J.エイブラムスさんが制作総指揮を務める「FRINGE/フリンジ」の主役に抜てきされ、08年から13年のファイナル(第5)シーズンまで主演した。そのほかの出演作に、テレビドラマ「Mistresses/ミストレス」(08年)、スティーブン・スピルバーグさん、トム・ハンクスさんが制作総指揮を務めたミニテレビシリーズ「ザ・パシフィック」(10年)などがある。

 *……「FRINGE/フリンジ」ファイナル(第5)シーズンコンプリート・ボックス(BD、1万1800円、3枚組み、全13話)、(DVD、9800円、6枚組み、全13話)、BD、DVDともに初回限定封入特典としてオリジナル・ステーショナリーセット付き。「FRINGE/フリンジ」全シーズン(第1~5シーズン)コンプリートシリーズ(BD、2万6800円、22枚組み、全100話収録)初回限定封入特典としてオリジナル・アクリルクロック付き。すべて6月5日発売、同日DVDレンタル、オンデマンド配信開始。発売・販売:ワーナー・ホーム・ビデオ

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