ダンダダン
第12話「呪いの家へレッツゴー」
12月19日(木)放送分
美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに100万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第122回は江國香織の「雨はコーラがのめない」だ。
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皆さんこんにちは、乙葉しおりです。
本格的な梅雨が始まって一日中どんよりなお天気ですね(>_<)。でも、窓からちょっとお外をのぞいてみてください。どこかに、あざやかな紫やピンク色が見えたりしませんか? そう、日本の初夏の風物詩、紫陽花(あじさい)です。この紫陽花、花の色がよく変わることから、「七変化」や「八仙花」などとも呼ばれています。土の酸性度によって花の色が変わるそうですが、ひとつの花の中にも現れるグラデーションがとってもきれいですよね。俳句や短歌に使われる夏の季語にもなっている紫陽花は、和菓子としても親しまれています。丸めたあんの表面を「錦玉」と呼ばれる寒天で包んだ可愛らしいお菓子は、すき通るような色合いと優しい甘さで海外の方にも大人気なんですよ。
さて、6月20日は斎藤惇夫さんのお誕生日です。
1940年新潟生まれの斎藤さんは、1970年に森を目指すシマリスの旅を描いた「グリックの冒険」で日本児童文学者協会新人賞を受賞しました。続いて作中に登場したドブネズミのガンバと個性的な仲間たちにスポットを当てた「冒険者たち ガンバと15ひきの仲間」を発表、続編「ガンバとカワウソの冒険」とあわせた3部作は、学校や図書館などで読んだという方も多いのではないでしょうか? ロングセラーとなった「冒険者たち」は1975年にテレビアニメ化、76年には劇団四季によってミュージカル化され、多くの子供たちの心に胸躍る冒険を届けました。
雨でお出かけしにくい時期、せめてお部屋の中で大冒険に想いを馳せてみるのも、楽しい梅雨の過ごし方のひとつではないでしょうか?
ではここで朗読倶楽部のお話、今回は6月19日の「朗読の日」にまつわる「朗読劇」との出会いのエピソードです。
あれは、朗読倶楽部を結成した直後のこと。「朗読って何だろう?」……。言葉では知っていても、実際にどんな朗読の形があるかをくわしく知っているわけではありません。そこで、まず知ることから始めようと考えた私たちが、6月19日の「朗読の日」の存在を知るまでに、そう時間はかかりませんでした。
記念日に前後して、各地では朗読に関するイベントが開催されます。私たちは比較的地元から近い場所で行われる、「朗読劇」のイベントを観賞してみることにしました。
「朗読劇」とは、朗読と演劇の中間に位置するようなもの、と言ったらやや乱暴でしょうか。海外では「レーゼドラマ」「クローゼットドラマ」と呼ばれ、小説をそのまま朗読するのではなく、さりとて場面転換を意識した演劇用の台本とも違う、専用の脚本によって上演されるのが基本形です。名作文学をそのままに、複数の朗読者が登場人物それぞれのせりふを受け持って朗読するケースも、一般的には「朗読劇」と呼ばれています。
上演の当日、朗読倶楽部メンバーは先生の引率で、このイベント会場に足を運んだのですが、私はそこで思いもよらなかった、新しい朗読の形を目の当たりにするのです……と、いうところで、今回はここまでです。
次回もまた、よろしくお願いしますね(*^^*)
■しおりの本の小道 江國香織「雨はコーラがのめない」
こんにちは、今回ご紹介する一冊は、しとしと降り続く梅雨の季節にちなんで……、と言っても「雨」という名前のワンちゃんのお話。江國香織さんの「雨はコーラがのめない」です。
くるくるとカールした栗(くり)色の毛と温かく健やかな身体を持つ、2歳のアメリカン・コッカースパニエルの「雨」と作者との暮らしをつづったエッセー。コッカースパニエルといえばアニメ映画「わんわん物語」の主人公でもおなじみですよね。
アメリカン・コッカースパニエルの歴史は、スペイン生まれのスパニエル犬に始まります。イギリスに猟犬として輸入された彼らは、ヤマシギ(woodcock)を狩るのに重宝されたことからコッカー(cocker)という名前をつけられました。1620年にアメリカへ到着した、イギリスからの移民船「メイフラワー号」に乗船していた2頭の犬のうちの1頭が、コッカースパニエルだったと言われています。つまり、スペイン、イギリスと旅をした一族の末裔(まつえい)ということになりますね。
エッセーは章ごとに江國香織さんの聴く音楽と絡めて語られますが、ひとつだけ、音楽が語られない章があります。しんとした静かな夜のお話です。「家の2階に犬を連れてきてはいけない」という夫との約束をこっそり破って、ベッドではしゃぐ雨と一緒に寝ようとする香織さん。1度目と2度目は雨との大騒ぎの中寝れずじまいだったのですが、3度目の夜、なんと雨は自ら「1階へ帰ります」とドアを引っかいてお願いするのです。一緒にいるときは片時も離れようとしない甘えん坊の雨の選択。香織さんはそこで犬には犬の、人間には人間の生活があるということを思います。寂しい時もあるけれど、その寂しさと共に生きていく。香織さんの作品に通じる生き方、考え方がここに表れていますよね。
「世界中に犬はいるのだ。その事実もまた、私たちを幸福にする」。犬を愛する方も、犬との暮らしを夢見る方も、ぜひ一読されてみてはいかがでしょうか?
※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。
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