SHORT PEACE:大友克洋ら4人の監督がそろい踏みでトークショー

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 「AKIRA」などで知られる大友克洋監督ら日本のトップクリエーターが集結したオムニバス形式の劇場版アニメ「SHORT PEACE」が7月20日から全国で公開される。公開に先がけて22日、アップルストア銀座(東京都中央区)で「Meet the Filmmaker(ミート・ザ・フィルムメーカー)」と題したトークショーが開催された。大友克洋監督、森田修平監督、安藤裕章監督、カトキハジメ監督の4人がそろって登壇した。

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 今作は、大友監督の「火要鎮(ひのようじん)」、「FREEDOM」で知られる森田監督の「九十九(つくも)」、「鉄コン筋クリート」で知られる安藤監督の「GAMBO」、「ガンダム」シリーズを手がけたカトキ監督の「武器よさらば」、「アニマトリックス」などのビジュアルクリエーター・森本晃司さんによるオープニングアニメーションという5作品で構成されている。「九十九」では立体造形作家の岸啓介さん、「GAMBO」では「スマグラー お前の未来を運べ」などの石井克人監督や「新世紀エヴァンゲリオン」などの貞本義行さん、「武器よさらば」では「AKIRA」「老人Z」などの田中達之さんらも参加し、多彩で豪華なコラボレーションが話題となっている。

 前方のスクリーンに予告編ムービーが流れた後、司会者が大友監督、森田監督、安藤監督、カトキ監督を順番に呼び込み、トークショーがスタート。今作のキャッチコピーの一つでもある“原点”にかけて、森田監督が大友作品との出会いについて聞かれ、「学生のころに『迷宮物語』や『ロボットカーニバル』などにハマったことから映像業界を目指したこともあり、今回の作品に関われたことは本当にうれしいです。『FREEDOM』に参加したときに、ずっと絵を描いていた大友さんが『どれがいい?』と言われたことが印象に残っています」と語ると、大友監督は「ずいぶん前の話なので、どこで会ったんでしたっけ。印象としては遊び人だったな(笑い)」とジョーク交じりに森田監督の第一印象を語った。

 安藤監督は「当時、私はマッキントッシュ(Mac)をセールスするためにアニメスタジオを出入りしていました。そのときスタジオ内で楽しそうに話す愉快な人がいると思ったら、大友さんでした」と語り、カトキ監督は「79年に発売された『ハイウェイスター』と『ショート・ピース』が本屋で平積みされていたのが最初の出会いで、その後に絵を描くきっかけになりました。79年は『機動戦士ガンダム』が初めてテレビで放送された年でもあり、そう考えると79年はすごい年だったと思います」と当時の心境を振り返った。

 続いて、今作の製作のきっかけやコンセプトなどについて、大友監督は「きっかけはプロデューサーの『短編を作りましょう』という言葉。10分くらいの短編を作る話になったとき、時代劇をやろうと。最初からアヌシー(国際アニメーション映画祭)に出品しようみたいな話があったし、僕自身も日本っぽいものがいいというのが何となくありました」が語れば、森田監督は「大友監督の『火要鎮』がコンテや脚本が決まった段階で、プロデューサーから声をかけていただきました。もともと、そのころ、ものにまつわる話などの企画を考えていて、民話や昔話などをCGで新しくしたい、じわじわくる面白さがある作品を作りたいと思っていました」と話した。

 安藤監督は「もともとは石井克人さんの原案で、はじめから『熊対鬼』という戦いの図式があり、それをいかに面白くふくらませていくかという作業でした。アニメ調というよりも、絵画的な質感を出すことを狙ってキャラクターを作りました」といい、カトキ監督は「最初は(作品内に登場する)プロテクションスーツをフィギュアにしたかったんです。(大友監督に)お会いしたときに『武器よさらば』の話になり、『短編を作ったらどうでしょうか。そうしたら僕がフィギュアを作りますから』といいました。そうしたら(大友監督から)『やったら』といわれました」と製作のきっかけを明かした。カトキ監督の発言に対して、大友監督は「やりたいっていったんじゃなかったっけ?」と笑いながらツッコミを入れていた。

 イベントでは、その他、絵コンテなどの映像を交えながらの製作時のエピソードや、作品のテーマとなっている“日本”に関しての各監督の印象などを、ときに熱く、ときに笑いを交えながら語られた。最後に4人の監督は見どころなどを披露し、全国公開への意気込みをアピールした。「SHORT PEACE」は、新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で7月20日から公開予定。(遠藤政樹/毎日新聞デジタル)

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