注目映画紹介:「爆心 長崎の空」 大切な人を亡くし深い喪失の中にいる女性2人が長崎で出会い…

「爆心 長崎の空」の一場面 (C)2013「爆心 長崎の空」パートナーズ
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「爆心 長崎の空」の一場面 (C)2013「爆心 長崎の空」パートナーズ

 原爆でたくさんの命が失われた長崎を舞台に、母と娘や“生命”をつなぐ希望となる映画「爆心 長崎の空」(日向寺太郎監督)が20日から全国で公開される。出演は北乃きいさん、稲森いずみさん、柳楽優弥さんら。「火垂るの墓」の日向寺監督がメガホンをとった。原作は芥川賞作家で長崎原爆資料館館長の青来有一さんの六つの作品からなる連作短編小説だ。

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 被爆3世で現在、大学3年生の門田清水(かどた・きよみ、北乃さん)は陸上部で汗を流し、医学生の彼氏がいる。ある朝、母親とささいなケンカをし、その日に母が心臓発作で突然亡くなった。デート中だったため、母親からの電話に出なかった清水は後悔の念にかられる。一方、高森砂織(稲森さん)は一人娘を亡くして一周忌を迎えようとしているが、悲しみから抜け出せていなかった。砂織の実家は300年続くカトリックの家系で、両親は孫の死を「神の思し召し」ととらえて乗り越えようとしていた。ある日、清水と砂織は長崎の浦上天主堂の近くで偶然出会い……という展開。

 二つの家族が出てくる。大切な人を亡くして深い喪失の中にいる人物が2人いて、共に自分を責めている。母を亡くした大学生の清水と娘を亡くした砂織。被爆体験のある砂織の両親が重い口を開く。生きる者と死んでいった者をつなぐものはなんなのか……。見ながらそんなことを考えていたら、清水と砂織が出会うシーンで映画が提示してくれていた。他人の悲しみを100%分かることはできないし、分かると思うこと自体おこがましいと思うが、一部でも分かち合うことはできる。高台から見下ろした長崎の街の風景の中に、たくさんの人間の存在を感じる。丁寧に練られたせりふを、役者が大切に発して、戯曲を見ているような緊張感をもたらした。長崎の現在と過去が重なるように描かれ、震災や原発事故に遭った被災地へも思いをはせた。20日から東劇(東京都中央区)ほか全国で公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

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