仏映画界の大女優、今年85歳になったジャンヌ・モローさんの主演作「クロワッサンで朝食を」(イルマル・ラーグ監督)が20日、公開される。モローさんが裕福で意固地なマダムを、シャネルの私服に身を包み演じている。毒舌を繰り出すおばあさんの中に、人生を終えようとしている者の孤独や嫉妬心が垣間見える。エストニアのラーグ監督の劇場用長編デビュー作。
ウナギノボリ
「光る君へ」より昔! 最も古い時代の大河ドラマは? 1976年「風と雲と虹と」のあらすじ
エストニアで母をみとって心身ともに疲れ果てたアンヌ(ライネ・マギさん)は、若いころの憧れの街パリに旅立った。元職場の老人ホームから仕事を頼まれたのだ。それは、パリに住むエストニア出身の老婦人フリーダ(モローさん)の世話係。16区の高級アパルトマンに住んでいるフリーダは、近くのカフェの経営者ステファン(パトリック・ピノーさん)の世話になりながら暮らしている。アンヌはおいしいクロワッサンも満足に買えず、気難しいフリーダに「家政婦はいらない」といわれる始末。同じ国出身の2人は反発し合いながら、次第に関係が変化していく……という展開。
これは“お一人様”女性必見の映画ではないだろうか。人生を再出発しようとしているアンヌと、人生を終えようとしているフリーダ。2人の女性のこれまでが、アンヌの目線から見たパリの風景、または高級だけれども温かみのないフリーダのアパルトマンの中に表れている。「こんな朝食はNG」と床にわざと紅茶をこぼすフリーダの毒気にアンヌは始めはタジタジになるが、さすが苦労を重ねてきただけあり、簡単にはヘコまない。2人は同じ国出身のパリの異邦人。フリーダがアンヌを受け入れることは、老いていく自分を受け入れることと同じなのかもしれない。近くのカフェの男性もからませて、どのように人生を選択していくのかを見せていく。朝焼けのパリの美しさが“希望”そのものとして体感できた。20日からシネスイッチ銀座(東京都中央区)ほかで公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して趣味の映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。
5月27日に発表された24~26日の映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)によると、人気ドラマ「あぶない刑事(デカ)」シリーズの最新作となる映画「帰ってきた あぶない刑事」(原…
今をときめくスターやアーティストにも、初出演、初イベント、初ライブなど必ず存在する“はじめて”の瞬間。そんな未経験ならではのドキドキの瞬間を、本人に振り返ってもらうのが「私のはじ…
俳優の土屋太鳳さんが、映画「赤羽骨子のボディガード」(石川淳一監督、8月2日公開)に出演することが明らかになった。男として育てられ、ヒロインの赤羽骨子を殺したいほど憎む実の姉・尽…
映画「花束みたいな恋をした」(2021年)やドラマ「Mother」(日本テレビ系、2010年)で知られる坂元裕二さんのオリジナル脚本を、是枝裕和監督が映画化した「怪物」が、5月2…
5月24日公開の映画「おいしい給食 Road to イカメシ」に出演している俳優の大原優乃さん。本作は学校給食を題材にした人気シリーズの劇場版最新作で、大原さんは昨年秋に放送され…