これまで幾度となく映像化されてきた米DCコミックの人気キャラクター、スーパーマン。超人的な力で人類のピンチを救うおなじみのスーパーヒーローを別のアプローチで描き出した「マン・オブ・スティール」(ザック・スナイダー監督)が30日に公開される。
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今まさに滅びようとしている惑星クリプトンから、科学者ジョー・エル(ラッセル・クロウさん)は、わが子カルをカプセルに乗せ宇宙へと送り出した。時が流れ地球では、クラーク・ケントという青年(ヘンリー・カビルさん)が人命救助をしながら放浪の旅を続けていた。彼こそがカル・エルであり、その彼の前に、クリプトン唯一の生き残りであるゾット将軍(マイケル・シャノンさん)が現れる。
今作はあらゆる点において従来のスーパーマンとは明確な差別化が図られている。それもそのはず、プロデュースと原案は「バットマン」を再始動させたクリストファー・ノーランさんで、メガホンをとったのは、「ウォッチメン」「300<スリーハンドレッド>」の監督で知られるスナイダー監督。そしてスーパーマンを演じるのは、英俳優のカビルさんだ。
例えば、クリストファー・リーヴさん主演の「スーパーマン」では、クリプトン星は氷や水晶の涼しげなイメージだったが、今作のそれは、噴き出す炎と煮えたぎるマグマ、ゴツゴツとした岩肌の荒涼とした景色が広がっている。そもそも、“スーパーマン”という言葉自体、今作には登場しない。また、カル・エル(クラーク・ケント)の生い立ちも時系列でつづるのではなく、現在のカル・エルを映しながら過去の出来事を回想シーンで見せ、その都度、彼が抱える苦悩を観客に伝える体裁をとっている。
そういった感情に訴える前半の展開に対して、後半はゾット将軍との戦いがひたすら続く。2人の肉弾戦は徐々にエスカレートし、戦いの場は地球だけにとどまらず宇宙にまで飛んで行く始末。人間離れした怪力の持ち主カル・エルとゾット将軍の死闘だから、建造物がメタメタになるのは理にかなっているとはいえ、もう少し節度があってもよかったのではと思う。その半面、これこそがハイパーリアルな映像を好むスナイダー監督らしいと思ったりもする。ちなみに米国では、「スーパーマンらしくない」と話題になっている場面があるという。ファンはそのあたりにも注目したい。30日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。
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