前田敦子:恋愛観語る「いくつになっても純粋な恋がしたい」 「あさきゆめみし」で時代劇初ヒロイン

NHK提供
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 女優の前田敦子さんが時代劇で初ヒロインを演じているドラマ「あさきゆめみし~八百屋お七異聞」(NHK総合)が放送中だ。同作で前田さんは、江戸時代に切ない恋に身を焦がし、放火事件を起こして火あぶりの刑に処された実在の人物、八百屋お七を演じている。「好きになってはいけない人を好きになる気持ちはよく分かる」と話す前田さんが、時代劇の撮影の苦労や役柄を踏まえて自身の恋愛観を語った。(毎日新聞デジタル)

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 「あさきゆめみし~八百屋お七異聞」は江戸時代、江戸の本郷丸山で起きた火事は駒込まで燃え広がり、追分片町の裕福な八百屋「八百源」も類焼した。「八百源」の一人娘、お七(前田さん)は店と住まいが建て直されるまで大乗寺に預けられるが、お七はこの寺で、寺小姓の吉三(池松壮亮さん)を見初め、切ない恋に身を焦がす。やがて八百源が再建され、お七は追分片町に戻り、父、喜兵衛(中村雅俊さん)は働き者の手代の勘蔵(平岡祐太さん)をお七の婿(むこ)に迎えようとする。しかしお七の心の中には吉三が住み着いているため、どうしても「うん」と言わない。吉三もお七に対して秘めた思いを感じていた。この2人の思いが、やがて悲劇を呼ぶ……という物語。「独眼竜政宗」などのジェームス三木さんが脚本を手掛け、「海峡」などの岡崎栄さんが演出を担当している。

 前田さんは、2010年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」に出演経験はあるが、時代劇のヒロイン役は初めて。出演の話が舞い込んだときには「ものすごくうれしかった。お七はどんな人かインターネットで調べたらものすごく有名で焦りました。でも(お七役を)やりたいと心から思いました」と当時の喜びようと語る。

 もちろん和装にかつらで演技をするが、「(和装は)背筋が伸びますね。(かつらは)私自身は見慣れました。顔が全部出る方がやりやすいです。(和装をしていると)休憩中も休憩している感じがしないんですが、そこは変に切り替えがあるより、着物を着ている方がすっとお七のように芯を持った人になれる。日本の女性は強いというのがよく分かりますね」と役に入り込んでいるようだ。

 時代劇は所作などが難しいといわれるが、「撮影に入る前に作法や歩き方などを習いました。撮影に入ってからは監督をはじめ、周りはベテランの方ばかりで甘えさせてもらっています。分からないことはどんどん聞くというスタンスで一つ一つ教わっています」と前向きに臨んだ。

 お七が恋焦がれる相手、吉三はドラマ「Q10」(10年)や映画「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(11年)で共演した池松さんが演じている。「壮ちゃんに(相手役を)やってもらえて、うれしかった。男前でどんと構えて来てくれる人です。俳優として付いて行こうと思える方。引っ張ってもらっています」と頼りにしているようだ。気心知れた仲で、撮影中も「キュンとするような悲しいシーンが多くて、(演技で悩んで)もやもやするところもありました。それをどうやって乗り越えようかと2人ですごく話し合って、ときには夕飯も食べないでしゃべって、すごくぶつかれました。その日以来、演技に躊躇(ちゅうちょ)しなくなった」と現場でとことんつきつめて納得してから演じているという。

 お七は吉三への思いをストレートに表現する。前田さんはお七について、「恋は盲目というじゃないですか。(お七は)まさにその通りの子。昔は好きになってはいけない人を好きになって、親に許されない恋をして駆け落ちしたりする人もたくさんいたと聞きます。昔の人はそういう恋をたくさんしているんでしょうね」と想像をふくらませ、「自分もそうなったら罪を背負うことは簡単にはできないけど、(恋焦がれる)気持ちは痛いほど分かります」と共感を示す。そしてお七と自分の似ているところとして「(お七のように恋に)素直でいたいなと思う。お七さんは素直すぎるくらい素直で、言わなきゃいいのになと思うせりふもあるけれど、今言わなきゃいけないことを知ってほしいという気持ちはすごくよく分かる」と話す。

 そんなお七を演じる前田さんが考える恋愛とは? 「恋愛はして当たり前のものなのかなと思います。人を好きになるってみんなが分かる気持ちですよね。分かるけれど、(お七のような)しちゃいけない恋ほど切ないものはない。恋というものは人をどうにでもしてしまうし、大きな存在だなと思います」と語った。そして「純愛がいいですね。いくつになっても純粋な恋。お七のような恋をしたい」と目を輝かせた。

 AKB48を卒業して1年余り。AKB48時代は前田敦子としてドラマ、映画に出演する一方で中心メンバーとして振り付けを覚えなくてはいけないなど、「心の余裕がなかった」という。今は「現場に入るときの心構えが変わってきました。自然な自分でいられるのがうれしい。前は撮影のあとにダンスを覚えたりしなくてはいけなかったけれど、今は『あさきゆめみし』のことだけを考えることができる」と演技に全力投球し、女優として急成長中だ。

 そんな前田さんが熱演中の「あさきゆめみし~八百屋お七異聞」は、NHK総合で毎週木曜午後8時~同43分に放送。全10回。10月3日に放送予定の第3話「雨宿り」は、吉三は遠方の松尾芭蕉に預けられるが、ある理由から大乗寺に戻り裏山の薪小屋で寝泊まりするようになる。寺の子供たちに会いに来たお七はそれを知り、裏山に急ぐ。雨が降り出す中、再会したお七と吉三は薪小屋の中へ。お七のことばかり頭に浮かび学問も手に付かないと吐露する吉三に、お七は「私をお嫁に行けないようにしてください」と訴える。互いの気持ちを必死で抑えた2人だが、雨宿りは両親に知れ、喜兵衛は勘蔵との婚礼を急ぐ……という展開となる。

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