木村文乃:「女性らしい自分」に赤面 「すべては君に逢えたから」出演

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 女優の木村文乃さんが出演している映画「すべては君に逢えたから」(本木克英監督)が全国で公開中だ。クリスマス直前の東京駅を舞台に、複数の男女や家族が織りなすラブストーリーで構成された東京版「ラブ・アクチュアリー」といえる今作の中で、恋人との遠距離恋愛に悩みながらも、恋に仕事に全力投球のデザイナーの卵を演じた木村さん。「王道のラブストーリーで、王道の主人公。これまであまりやったことない役で、演じるのは難しかったですね」と明かす木村さんに、役柄へのアプローチ法や初共演となった恋人役の東出昌大さんの印象、作品の見どころなどについて聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 映画は、木村さんをはじめ東出さん、玉木宏さん、本田翼さん、倍賞千恵子さん、時任三郎さん、大塚寧々さん、小林稔侍さん、市川実和子さん、高梨臨さんといった豪華キャスト10人が“主役”を務め、六つのエピソードで構成されるラブストーリー。木村さんは東京のドレスメーカーに勤める山口雪奈役で、東出さん演じる仙台支社に転勤になった建設会社社員・津村拓実と遠距離恋愛中という設定だ。

 雪奈は、どんなに忙しくても拓実へのモーニングコールを欠かさず、少しでも時間があれば電話をかけたり、メールをしたりととてもマメな女性。一方、転勤先での仕事に必死な拓実は、連絡も怠りがちで、東京出張の際も会社の先輩と飲み明かし、雪奈と会わずに帰ろうとすることも。そんな拓実の態度に不安を覚えながらもけなげに接する雪奈だが、ある晩、携帯電話がまったくつながらなくなり、仙台の拓実の下宿を訪れる。

 役柄について木村さんは「恋も仕事も頑張る、現代的な普通の女の子」と評し、「これまで個性的だったり、キャラクターがはっきりした役が多かったりしたから、演じるのは難しかったですね」と撮影を振り返る。今回は“普通の役”を演じるにあたって「あえて自分というエッセンスを役に取り入れることを試みました。シーンに向けて役を作るのではなく、素直に受けた(印象の)ままをやってみようと思いました」と自身にとって新しいアプローチ法で臨んだという。

 具体的には、各シーンごとに自分で感じたままにアドリブにも挑戦。「これまでは余計なことはしないよう演じてきたのですが、今回はあえて細かい動きやクセも自分なりに演じてみました」といい、「もともとの台本にはないんですが、仕事がうまくいったときに『よし!』ってボディーランゲージをつけて演じてみたり、手にスケジュールを書いてみたり。シーンごとに雪奈としてやりたくなったことを自由にやりました。それを監督も尊重してくださいました」と舞台裏を語る。

 そして、出来上がった映画の感想を「なんか恥ずかしくなっちゃった」と照れ笑い。「たぶん、私が遠距離恋愛をしたら、こういう感じになるんだろうなって。普段、私は男っぽいし、逆に自分の女性的な部分があまり好きではなくて、すごく隠してきたんですね。それを目の当たりにしたというか、役には変わりないんですけど、見ていて恥ずかしい」と赤面する。しかし、一方で「自分を見るから恥ずかしいって思うけど、嫉妬したりイチャイチャしたりすることも、実は女の子の当たり前の感覚なのかもしれないって思えて。『普通に雪奈やってるな』って思いました」と客観的に分析する。

 共演の東出さんについては「裏表のない、さわやかな人」と語り、「自分のしたいことに対して、すごくまっすぐだなっていう印象があります。現場にいたいから、自分の出番より前から早く入って待っていたり、誰に言われたからではなく、(自分が)そうしたいからって」と東出さんのスタンスを表現し、「同じ年ということもあって、のっけからお互いの悪口も語れるような変な親近感がありました」と息はピッタリだったようだ。

 そんな東出さんとのラブストーリーは「そこがゴールじゃなくて、ここから始まっていくというスタートの話」と語り、全体の見どころは「行動を起こすことはすごく勇気がいることですが、でも、その一歩を踏み出す勇気をそれぞれ見いだしていって、その結果、奇跡へつなげていく物語。恋愛だけではなく、友情だったり家族愛だったり……背中をふと押してくれるような、今すぐ大切な人に会いたくなるような映画だと思います」とアピールする。

 今作では、“普通の役”を演じたことで新たに役の幅が広がったという木村さん。映画やテレビドラマ、CMにと最近、引っ張りだこの木村さんだが、今後チャレンジしたい役柄を聞くと、「男装をやってみたい」という意外な答えが返ってきた。「男の人は役じゃないとできないから」といい、「いつも、今日より明日、明日よりあさってのほうがよくありたいと思っています。知名度ではなく、『素晴らしい作品の一部になりたい』という、デビュー当時から変わらないスタンスで演じてきているので、そういう思いは変えずに10年後もやっていきたいですね。それが私の目標です」とキリッとした表情で語った。

 次回は、木村さんのオフタイムなどについて聞く。

 <プロフィル>

 きむら・ふみの。1987年10月19日生まれ、東京都出身。2006年公開の「アダン」のヒロイン役のオーディションで選ばれて映画デビュー。その後、NHK大河ドラマ「功名が辻」(06年)、NHK連続テレビ小説「だんだん」(08年)、同「梅ちゃん先生」(12年)に出演。主な映画出演作に「パラダイス・キス」(11年)、「ポテチ」(12年)、「今日、恋をはじめます」(同)、「ボクたちの交換日記」(13年)がある。現在、ドラマ「変身インタビュアーの憂鬱」(TBS系)に出演中。待機作として、14年公開の「小さいおうち」「ニシノユキヒコの恋と冒険」がある。

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