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注目映画紹介:「楽隊のうさぎ」 中学の吹奏楽部が舞台 地元の子をオーディションで選びリアルに

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(C)2013「楽隊のうさぎ」製作委員会

 「新潮文庫の100冊」に選ばれ、大学入試センター試験でも取り上げられた中沢けいさんの人気小説を映画化した「楽隊のうさぎ」が全国で公開中だ。中学校の吹奏楽部を舞台に、部活動に熱中する子どもたちの姿をリアルに映し出した。キャストは俳優ではなく、物語の舞台である静岡県浜松市在住の子どもたちをオーディションで選出。NHK教育の「中学生日記」「時々迷々」などの脚本家で「ゲゲゲの女房」の鈴木卓爾監督が手がけた。顧問役に宮崎将さん、主人公の父親役に井浦新さん、母親役に鈴木砂羽さんがふんしている。

 引っ込み思案の少年・克久(川崎航星さん)は、花の木中学校の新1年生。同じ小学校だった相田守(百鬼佑斗さん)に「サッカー部に入ろう」と半ば強制的な誘いを受けるが、何も言い返せないでいた。ある日、廊下で奇妙なうさぎを見かけた克久。追いかけていくと、そこは音楽室だった。そこで一人でティンパニをたたいている園子(野沢美月さん)と出会う。早く家に帰りたい克久だったが、一番練習時間が長い吹奏楽部に入部してしまい、打楽器のパートに加わることになり……という展開。

 多感な中学時代をおくる克久の心象風景に沿って映像化されている。原作の細かいエピソードは思い切って端折り、部活動の音楽室の空気感を丁寧に描き出した。次第に音楽の楽しさにハマっていく克久。演じる川崎航星さんが透明感があって、迷いが見える表情もまた絶妙だ。対照的に女子たちは元気そのもの。たった1年の違いなのに、先輩たちがなんだか頼もしい。地味にテンポを刻む練習風景、仲間や先輩との会話……中学校の放課後の雰囲気ってこんなふうだったなあと懐かしく思い出させる。何かに初めて出合ったときの喜び、そして夢中になれた時代が懐かしくなる。クライマックスでは、キャストが実際に演奏した音声を同時収録していて、本番の演奏の緊張感が伝わってくる。14日からユーロスペース(東京都渋谷区)ほか全国で順次公開中。(キョーコ/フリーライター)

 <プロフィル>

 キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して、映画生活に突入。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。

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