累計発行部数450万部を超える、百田尚樹さんのベストセラー小説を人気グループ「V6」の岡田准一さん主演で映画化した「永遠の0」が、21日から全国で公開された。メガホンをとったのは「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズの山崎貴監督。一人のゼロ戦パイロットの“真の姿”を、彼の孫が祖父のかつての戦友を訪ね歩くことでひもといていく物語だ。岡田さんが演じるのは、ゼロ戦パイロットの宮部久蔵。孫の佐伯健太郎を三浦春馬さん、宮部の妻・松乃を井上真央さんが演じるほか、濱田岳さんや染谷将太さん、田中泯さんらが宮部の戦友にふんし、作品を盛り上げている。
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司法試験に落ちた佐伯健太郎(三浦さん)は、祖母・松乃の死に際して自分と祖父・賢一郎(夏八木勲さん)との間に血のつながりはなく、血縁上の祖父が別にいることを知る。その男の名前は宮部久蔵(岡田さん)。太平洋戦争でゼロ戦パイロットとして命を散らしていた。宮部のことを調べ始めた健太郎だったが、かつての戦友たちは宮部を「臆病者」呼ばわりする者、「立派な男だった」とたたえる者とさまざまだった。困惑する健太郎は、やがて宮部の最期を知る人にたどりつく……という展開。
原作にほぼ忠実に作られた今作は、山崎監督が得意とするVFXを駆使することによって、さらなる力を得たといえる。「見せるVFX」を意識したという空戦や海戦のシーンでは、残っていた写真や資料を基に細部まで表現。真珠湾攻撃やミッドウェー海戦のシーンは、停泊中の戦艦の位置や煙の上り方にまでこだわり、再現したという。そういった製作者の努力が、当時の、そして“その瞬間”の空気を伝え、ゼロ戦搭乗員たちの恐怖や痛みを見る者に体感させる。一方で、アクション的な描写に埋もれることなく、祖父の真の姿を追究する青年と、証言する戦友たちの対話を通して、戦争が残した傷痕、それを経験した人々の苦悩や葛藤を浮かび上がらせ、後世に語り継ぐべきメッセージを作品から立ち上らせた。
原作を読んでいたとき、突然、 なんともいえない感情に襲われ、胸をかきむしられた記憶がある。それと同じ痛みが、ラストの宮部の姿を見たときよみがえった。エンドロールに映るのは美しいあかね色の空。特攻出撃した若者たちは、果たしてそれを見ただろうか。その映像が、サザンオールスターズが歌う「蛍」ともども、当時命を散らしていった隊員たちへの“鎮魂歌”に思えた。21日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)
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