ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
「HUNTER×HUNTER」のゴン役などで人気上昇中の声優・潘めぐみさんと、「機動戦士ガンダム」のララァ役などの声優としても知られる母親の潘恵子さんが、さまざまな思いや出来事を交換日記形式でつづります。今回は、“潘ちゃん”ことめぐみさんが特別編として公開中の劇場版アニメ「劇場版 HUNTER×HUNTER−The LAST MISSION−」への熱い思い入れを語ります。
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みなさん、おはようございます!こんにちは、こんばんは、はじめまして! 潘めぐみです!
さてさて今回は“特別編”ということで、12月27日に公開された「劇場版 HUNTER×HUNTER−The LAST MISSION−」についてつづっていこうと思います。
今作は、完全オリジナルストーリー。天空闘技場を舞台に、これまで明かされることがなかったハンター協会の会長・ネテロの「過去」をきっかけにしたお話です。
数十年前、ネテロの仲間として、ハンター協会を支える「影」として、「清凛隊」の隊長を務めてきた「ジェド」。しかし、そのジェド率いる清凛隊がハンター協会に対して起こした暴動を粛清したのがネテロでした。しかし、時を経てすべてのハンターに復讐するため、恨みの底からよみがえったジェドは、新たな「影」を引き連れ、「念」に対抗しうる新たな力「怨」をまとい、バトルオリンピア開催の地・天空闘技場を襲うのです……。
今回の劇場版で初めて明かされるネテロの「過去」、そして「影」の存在、「怨」の力。いずれも「ここでしか見られないないもの」が詰まっています!
そして、豪華なゲストの皆さんが劇場版でしか会えない魅力的なオリジナルキャラクターを演じてくださいました。「影」の首謀者としてゴンたちと対峙(たいじ)する、ジェド役の中村獅童さん。「影」の末裔(まつえい)、煉獄役の山本美月さん、修羅役の天野ひろゆきさん。そして、煉獄と修羅と「影」の末裔として共に歩むことを決めた、餓鬼役の大友龍三郎さんと、ほかにも参加してくださったゲストの方々がたくさんいらっしゃいます。また、ハンター協会が関わってくるというところでは、本編よりも一足早く「あの人」に会えるチャンスですよ!
ネテロの「過去」と「未来」。ハンター協会の「光」と「影」。「念」に対抗しうる新たな力「怨」。それぞれが相反する意味を持ちながらも、決して切り離すことのできない、二つの言葉。それは、まるでコインの「表」と「裏」のように背中合わせとなっていて、一つの存在。まさに、今回の劇場版の主題歌、ゆずさんの「表裏一体」がテーマとなっています。
ネテロ会長を中心に、ゴンやキルア、クラピカ、レオリオ、そして、「怨」の力を持って彼らと対峙するジェド、煉獄たち、それぞれの絆を通じて描かれた「表裏一体」の世界を、ぜひ、皆さんに劇場で見て感じていただければと思います。
そうそう、ゆずさんの「表裏一体」は、現在放送されているテレビアニメのエンディングテーマにもなっているのです。
本編は「キメラ・アント編」と呼ばれる章に突入しており、いよいよ物語は中盤に差しかかってまいりました。
キメラ・アントとは、ほかの生物を捕食することにより、その有能な部分を次世代に反映させることができるアリのこと。この世に生まれて、名前を授かり、自我が芽生え、知識を得て、言葉を話し、感情を知り、能力を覚え、なおも進化し続ける。それはまるで人類の歴史を見ているかのようです。
しかし物語の中で、キメラ・アントは、ゴンたちと対峙します。「人間」と「アリ」。感情の「白」と「黒」。世界の「光」と「影」。本編もまた劇場版と同様に「表裏一体」がテーマになっています。
ゆずのお二人には、前作の主題歌と「グリードアイランド編」のエンディングテーマ「REASON」に引き続き、今回も「HUNTER×HUNTER」のために楽曲を書きおろしていただきました。
こうして一つの作品のために楽曲を作ってくださったことへの感謝と、その作品のテーマやキーワードを音楽へと導き出してくださったことへの感動が、今コラムを書いているこの瞬間も、あふれ出て止まりません。
今回の楽曲のタイトルとなっている「表裏一体」。この「表裏一体」という言葉の意味を知っていながらも「HUNTER×HUNTER」に置き換えて考えたことがなかったので、楽曲を聴いて、歌詞を見て、本当に感動して……。
その上、ゆずさんには主題歌だけでなく、カップリング曲となる「約束の唄」を提供していただき、この楽曲を、なんとキルア役の伊瀬茉莉也さん、ヒソカ役の浪川大輔さん、クロロ役の宮野真守さんと4人で歌わせていただくことに!!
実は、「REASON」の時もカップリング曲「流れ星☆キラリ」を提供していただき、伊瀬さん、レツ役の平野綾さんと3人で歌わせていただいたので、まさか今回もこんなに素敵な機会をいただけるとは思いもよらず……。それを、ゆずさんの音楽のもとで、「HUNTER×HUNTER」を共に歩んできた方々と歌わせていただけるなんて、感激です。
この「約束の唄」には、「君」という相手がいて、なにげない日常の大切さを教えてくれています。強さも弱さも抱いて生きていけるように。ここでも「表裏一体」の世界が垣間見るような気がします。
歌詞も、歌唱も、1人では成り立つことのできない内容になっているというか。
1人では生きていけない。1人では歌うことができない。君がいるから生きていける。みんながいるから歌える……。
それって、本当に素敵なことだなって、ありがたいことだなって、感動と感謝で、目頭がアツくなってきました。
はあー……、いやあー……。実は、ここまで書くのに、膨大な時間を要してしまったわけで……。
コラムを書くときは、いつも自宅やカフェなど、そのための時間を作って、集中して書くのですが、今回はそれ以外の時間を使いました。仕事と仕事の合間、移動する電車の中、夜中に目を覚ました瞬間など、思いつきさえすれば、ありとあらゆる時間を使って、書き留めていたものの、これがなかなかまとまらなくて……。
よくインタビューでも「この作品のテーマは?」「ご自身の役を一言で表すと?」という質問を受けることがあるのですが、伝えたいことがたくさんありすぎて、これもまたまとまらなくて……。
ありきたりな言葉なら、どんな言葉でも当てはめることができるのかもしれないのですが、妥協したくないという性格が邪魔をして……。今回の劇場版や現在のテレビアニメシリーズの魅力を、いかにして的確に一言に集約するのか、悩みながら、考えながら、幾度となく書き直してきたのです。
そんな時に聴いていたのが、ゆずさんの「表裏一体」でした。
ゆずさんの楽曲からのぞく「HUNTER×HUNTER」の世界は、本当にすごい。「表」と「裏」のように対となる言葉がちりばめられていて、それぞれが「表裏一体」であるということの意味をコインに置き換えられていて……そのコイン一枚から世界を見ている気がしました。
これってすごいこと!
「過去」と「未来」、「光」と「影」、「白」と「黒」……。
私たちの日常から遠く離れたものじゃない。誰だって感じ得るもの。世界に、ううん、宇宙に、ありとあらゆる万物に置き換えてみてもそう。「念」の力にしても、「怨」の力にしても、「怨念」という一つの言葉があるように「表裏一体」であって、念じることだって、恨むことだって、誰にでもでき得ること。
「HUNTER×HUNTER」を読んだときに感じる「勧善懲悪」という世界観もまた「表裏一体」です。ゴンたちが「正義」ならば、それに対した相手は完全なる「悪」としてとらえることができない。なぜならば、相手にも相手の仲間がいて、絆があって、それを理解できてしまう、共感できてしまう、はがゆさみたいなものがあるから。「HUNTER×HUNTER」には、決して現実と切り離すことのできないものが、ゴンとキルア、すべての登場人物たちを通して描かれているんじゃないでしょうか。
考えていくほど、恐ろしくて震えてしまいます。すごい、「HUNTER×HUNTER」! すごい、冨樫先生! すごい、「表裏一体」! すごい、ゆずさん!
さて、話も尽きませんが、原作もアニメも続いていく「HUNTER×HUNTER」。今回の劇場版は「劇場版 HUNTER×HUNTER−The LAST MISSION−」の副題にもあるように、ラストミッションのつもりで挑みました。
2011年のアニメ開始から約2年。「HUNTER×HUNTER」に出会ってから約15年。つちかってきたもの全てをここに注ぎ込みました。より多くの方に、劇場の大きなスクリーンを通して、この「念」を受け取っていただければと思います。
「劇場版 HUNTER×HUNTER−The LAST MISSION−」は、現在全国公開中です!! よろしくお願いいたします!! 押忍ッ!!
潘めぐみ(はん・めぐみ)=1989年、東京都生まれ。2008年に映画「櫻の園」の一般公募オーディションに合格し女優デビュー。ドラマ「オトメン−乙男−」のほか舞台などにも出演。11年に、100人を超えるオーディションをへて、アニメ「HUNTER×HUNTER」の主人公・ゴン役に抜てきされた。アニメ「ジュエルペット ハッピネス」の月影ちあり役、ゲーム「The Last of Us」のエリー役などを好演し注目を集めている。
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