マンガ質問状:「ナリキン!」 読むと将棋を指したくなるサッカーマンガ

鈴木大四郎さんのマンガ「ナリキン!」(秋田書店)
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鈴木大四郎さんのマンガ「ナリキン!」(秋田書店)

 話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、鈴木大四郎さんの「ナリキン!」です。秋田書店「月刊少年チャンピオン」編集部の小口太郎さんに作品の魅力を聞きました。

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 −−この作品の魅力は?

 史上最年少でプロ棋士になった天才将棋少年・成金歩(通称ナリキン)が、ひょんなことからプロサッカークラブに入団。将棋とサッカーという異色の二足のわらじを履きながら、それぞれの世界でトップを目指します。将棋に対しての自負心から、とてもプライドが高くナマイキで、運動神経もゼロなナリキン。そんな彼ですが、「ピッチ」を「盤面」に「選手たち」を「駒」に見立てることでサッカーを完全に将棋として展開させる「将棋サッカー」を武器に、プロサッカーの世界で活躍していきます。

 マンガ内に登場する「将棋サッカー」の戦術は、年間に500試合近くもサッカーを見られている、棋界一のサッカー好き、野月浩貴七段に監修していただいております。そんな野月七段だからこその、本格的ではあるけども、将棋になじみのない方でも分かりやすい「将棋サッカー」戦術を毎回提案していただいております。サッカーマンガなんだけれど、読むと将棋を指したくなる。そんな不思議な魅力を持った作品です。

 −−作品が生まれたきっかけは?

 以前、読み切りとして「ナリキン!」は掲載されました。当時は私ではなく編集部の先輩が担当していたのですが、当初「戦国武将にサッカーをさせる」という鈴木大四郎先生のアイデアに対し、「B級感が強すぎる」とダメ出しをしたところ、鈴木先生から出てきたのが「将棋サッカー」というアイデアだったそうです。

 読み切り掲載後、連載化を目指していたのですがうまくいかず、「ナリキン!」は宙に浮いた状態になっておりました。そんな折、読み切り掲載時から鈴木先生の発想の豊かさに興味を持っていた私は、担当の先輩編集を焼き肉で買収し(笑い)、鈴木先生の担当を譲っていただきました。そこからプロサッカーを舞台にするというアイデアを盛り込み、現在の「ナリキン!」が生まれたわけです!!

 −−編集者として作品を担当して、今だから笑えるけれど当時は大変だった、もしくはクスッと笑えるナイショのエピソードを教えてください。

 「ナリキン!」の連載にあたりまして、鈴木先生自身に何かキャラクターを持たせていきたいと考えておりました。いろいろと模索した結果、ちょうど小誌に鈴木大先生(「ドロップOG」連載中)がいらっしゃいましたので、「鈴木大」の生き別れの弟、その名も「鈴木大四郎」としてデビューしていただこうと仕掛けました(2人の間には「大二郎」「大三郎」とさらに2人の兄弟がいたという設定です)。月チャンにおける「アンダーテイカー」と「ケイン」のような存在になれば面白いなと思っていたのですが、そもそもお二人が一度も顔を合わせたことがなく、東京と福岡と居住地も遠いことから、さまざまなアングルを仕掛けにくく、この計画はご破算になってしまいました。「マシン軍団」みたいな感じで「鈴木大軍団」を作りたかったのですけどね……。ちなみに、鈴木先生が以前読み切りで描かれた「ヘル・フレイマン」というプロレスマンガは超オモシロいので機会があればぜひ読んでみてくださーい!!

 −−今後の展開は?

 サタン鳥栖、ヴァンフォレスト甲府、横浜F・ナノリス、モンテンドー山形、ガンダーラ大阪と実在のクラブをモデルにした(大人の事情で、どこがどこのモデルかはご想像にお任せします)個性豊かなチームの数々。今後もさまざまなクラブを出していく予定でございます!! さらに一部で熱狂的な人気を誇った「デーモン豊川」など、思わず「あれ、コレってあの選手!?」となるような、鈴木先生の卓越した描写力による魅力的なキャラの数々にも要注目です!!

 −−読者へ一言お願いします。

 昨年は「横浜・F・マリノス」さん、「モンテディオ山形」さんと実在のクラブとのコラボイベントを実施させていただきました。今年もナリキンの所属する「福岡ホーネット」のモデルである「アビスパ福岡」さんをはじめ、さまざまなクラブと面白いイベントを企画してまいりますので、ぜひご期待ください!! アニメ化、実写化のお話もドシドシ募集しております!! 製作、配給関連の方々!! ワールドカップイヤーである今年、この「ナリキン!」は「買い」ですよ~!!

 秋田書店 月刊少年チャンピオン編集部 小口太郎

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