2013年4月のサービス開始以来、人気を博しているブラウザーゲーム「艦隊これくしょん−艦これ−」。ゲームの人気が追い風となり、グッズや書籍などもヒットしているが、さらに京都府舞鶴市に訪れるツアーも組まれるなどの“聖地巡礼”現象が起きている。
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「艦これ」は、第二次世界大戦期の旧日本海軍の艦艇を題材にしたゲームで、プレーヤーは提督となり、艦艇を美少女に擬人化した艦娘を強化しながら謎の敵と戦う……という内容。“艦娘(かんむす)”と呼ばれる美少女キャラクターは、太平洋戦争において実在した艦艇をモチーフにしており、姿はもちろん、せりふ回しも、実際のエピソードが絡んでいる。
例えばゲームに登場する「雪風」は、「雪風は沈みません!」というせりふを言うが、これは史実の雪風が、多くの激戦をくぐり抜けた不沈艦だった逸話を思い起こさせる設定だ。もちろん、それぞれのキャラクターのセリフにも同様の特徴がある。多くの艦艇は戦争で破壊された歴史があり、悲運がファンの興味を引いている一面もある。
美少女キャラクターの愛らしさに興味を持つ人もいれば、艦艇を育てるというゲーム内容に引かれる人もいるが、ともあれ歴史に興味を持ってインターネットで歴史を調べるだけで収まらず、艦艇のゆかりの地を旅するという人も現れている。「艦これ」でも、茨城県大洗町で話題のアニメ「ガールズ&パンツァー」などのように作品の舞台となった土地にファンが訪れる“聖地巡礼”の動きが見られ始めている。
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ファンの旅の動きに、史跡を持つ観光地も動きを見せている。かつて旧日本海軍の鎮守府が置かれていた舞鶴市の観光協会は、2月に舞鶴で開催された「艦これ」の同人誌即売会に合わせて、「舞鶴鎮守府めぐりツアー」を開催した。同地は、「艦これ」屈指の人気キャラクター「島風」のモデルになった同名の駆逐艦が実際に建造された場所だ。
ツアーを企画した舞鶴観光協会の田口良雄さんは「東京にいる息子から舞鶴で同人誌即売会が開催されると聞き、観光協会の有志を集めてツアーを検討した」と明かす。その前月には、東京ビッグサイトで開催された同人誌即売会に、舞鶴観光協会として参加。ツアーの宣伝を行うとともに、イベントの様子を見ながら、ツアー内容を練り込んだ。
舞鶴でのツアーには80人が参加し、史跡巡りのほか、ゲームの海戦にちなんで、地元の海鮮グルメも楽しんだ。参加者からは「同人誌即売会のためではなく、舞鶴にもう一度来たい」という声も聞かれるなど、予想以上の反響が得られたという。観光協会は7月にも「舞鶴鎮守府めぐり」や「舞鎮砲台ツアー」を予定しているという。
アニメなどのコンテンツとコラボした町おこしの企画は全国に広がっている。観光協会が同人誌即売会が協力して各地の魅力を紹介するのは、現地に不慣れなファンにとっても歓迎といえそう。同様の試みが生まれるか注目を集めそうだ。(石田賀津男/フリーライター)
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