ゆうばり映画祭:審査委員長の根岸吉太郎監督「新しい才能を発見する好循環がここにはある」

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 27日から北海道夕張市で開かれている第24回ゆうばり国際ファンタスティック映画祭のオフシアター・コンペティション部門で審査委員長を務める根岸吉太郎監督が、同映画祭への思いを語った。

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 審査員長の依頼は前回もあったというが、「そのときは忙しくてお断りした。でも今回は(依頼を受けたときに)ちょっと空いていたので断るのが面倒で引き受けた」と笑顔で語る根岸監督。同映画祭には「映画界が新しい才能、斬新な映像というものを発見したいなと願っていると思う。そういった試みの一つにゆうばり映画祭がある。実際に成果も上げてきていると思うし、新しい試みをしている人が集まってくるという好循環がここにはあるなと思う。自分も映画人としてそういうところに身を置いて最前線を経験してみたい」と期待を寄せる。

 今回の同部門の審査員の顔ぶれは、根岸監督のほか映画通で知られる俳優の斎藤工さん、女優のしいなえいひさん、世界各国の映画祭に企画や審査員などで深く関わる韓国のジョンスク・トーマス・ナムさん、急病で来日できなかったスペインのマイク・ホスティンクさんに代わって2008年にも同映画祭で審査員を務めたウェブサイトの主宰者で映画評論家のトム・メスさんの5人。

 根岸監督は「それぞれ出どころが違うので視点が違う。そういう意味では、バランスが取れていると言っていいのか、取れていないと言っていいのか分からないけれど、面白い組み合わせだと思います。それぞれの見方もあると思いますし、若い人の映画を僕より一生懸命見て、関わっている人もいるので、そういう人たちの見方から、いろいろと教わりたいなと思います」と語る。

 今回審査するオフシアター・コンペティション部門には11作品が出品されている。根岸監督は数作をすでに見たというが、「みんながみんなそんなに素晴らしいわけではないので、きれいごと言ってもしょうがないけど、僕らは原石を見つける仕事だと思うので、しばらくは我慢しながら砂ざらえをして、その中から光るものをきちっと見つけたい」と意欲を見せていた。

 映画祭全体については「期待以上に頑張っているんじゃないかな。すごく熱気を感じる。地元の人もこの映画祭を愛していることが伝わってきます。同時に夕張って“バブルの悲劇”みたいな場所で、ある意味、特に映画人はこの町を応援したいなという気持ちがうまくこの映画祭に結びついているなと思って。しっかり(いい映画祭に)育っているんじゃないかなと思いますね。みんなが(来場者に)おかえりなさいと声を掛けるというのが、やっぱり映画に対する愛みたいなものがこの町にはあるんだなということを強く感じました」と評価していた。

 「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」は1990年から夕張市で開催されており、今年で24回目。今年は「ファンタスティックピープル」をテーマに、特別招待作品は、大林宣彦監督の「野のなななのか」のほか「アナと雪の女王」「それでも夜は明ける」などが上映される。3月3日までの会期中、115本を市内各地で上映する。

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