松岡修造:4強かかる男子テニス日本代表にエール デビスカップ準々決勝で解説

(C)WOWOW
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 男子テニス国別対抗戦「デビスカップ」で、ワールドグループ制になって初のベスト8進出を果たした日本代表と3連覇を狙う王者・チェコとの準々決勝が、4日から6日にかけて有明コロシアム(東京都江東区)で行われる。同試合の模様はWOWOWで全試合生中継される。歴史的勝利への大きな注目が集まる一戦を前に、日本テニス協会強化副本部長でもあり、同試合で解説を務める元プロテニス選手の松岡修造さんに日本代表への思いを聞いた。

ウナギノボリ

 −−両チームのメンバーも発表されて、いよいよ試合直前となりました。率直な気持ちと期待を聞かせてください。

 僕の人生において、グランドスラムと同じように最も大事な試合がデビスカップです。それもワールドグループですからね。先日カナダ戦を解説していたときに、こんな冷静じゃいけないと思ったんです。もちろん解説に関しては、冷静でないとだめなのですが、この夢の舞台で日本の選手たちが目の前で快挙を成し遂げていく。テニス選手として長年携わってきた者にとって、目の前でそれを感じさせてくれたことは、これ以上ないうれしいことだと思います。これはおそらく、テニスの諸先輩方も共通して思っていることでしょう。

 そして、もう一歩上に行けるチャンスを日本の地で、しかも相手のナンバーワンがいないという条件で戦えます。だからこそ1回戦以上に、日本チームを信じる力を持って見ていきたいと思います。

 −−カナダ戦で感じられたものは、通常のツアーとは違うデビスカップだからこそ感じたものでしょうか?

 一番大きな要因はワールドグループにいるということでしょうね。自分は、過去にワールドグループを体験したことがないですし、入れ替え戦もしたことがありません。でもすでに目の前で日本がワールドグループで戦っています。ワールドグループってなんなんだろうって、いつも僕は思っていたんです。これまで映像でしか見ていない。そこで戦っている選手たちと、個人的に対戦したことはありました。でも国としてどうとらえるかがデビスカップなんです。

 ワールドグループで、しかもベスト4を懸ける試合が、直前に迫っています。でも広くは知られていない。それ自体は残念なことでもありますが、ホームの試合ですし、そういう空気を変えていくきっかけにはなるでしょう。逆に、注目をしてもらえるチャンスだからこそ、勝たなきゃいけないんだろうって思います。もちろん、簡単に勝てるとか、チャンスがあるとかいえるようなレベルじゃないんです。ワールドグループベスト4って。

 それでも今の日本のテニスの状況を考えると、勝って皆さんの意識を変えていくしかない。そういう思いがあるからこそ、植田ジャパンには何があっても勝ってほしいと思います。

 −−“ホーム有明”での歓声は、すごいものになると思います。選手から見て、ホームでのあと押しというのはいかがですか。

 歓声をプレッシャーに感じることはないと思います。なぜならそこを切り抜けて来ている選手たちだから。みんないろいろな経験をしてきていて、今回はすべてをプラスとしてとらえられると思います。ただ、今回の相手はデビスカップを最も得意としている、2連覇中の王者・チェコです。でもランキングだけを見ると、決して連覇できるチームではない。それでも優勝しているのは、チーム力があるからです。実際に、国としてのサポートと応援はすごいものがあります。

 とはいえ、今回は我々のホームで、日本のファンの目の前で戦える。すなわち、チェコの一番の強みの一つがない形で戦うことができる。これはアドバンテージというものを超えたアドバンテージでしょうね。もしもチェコで戦ったとしたら、あまり言いたくはないですが、勝負にならない可能性もある。それくらいホームで戦える力は強いと思います。

 −−この試合に臨む選手たちにエールを送るとすれば。

 僕はデビスカップというプレッシャーに負けてきた選手です。どれだけ大変な場所かを知っています。だからこそ僕や先輩たちができなかった分まで、思いを感じてもらって戦ってほしい。今回、有明には先輩方もたくさん来ると思います。みんなで声を出してあと押しするはずです。そういったすべてを力に変えてほしいと思います。

 −−デビスカップを楽しみに待つファンの方々にメッセージをお願いします。

 今までテニスといえばグランドスラムというイメージでした。それがようやく、デビスカップのイメージも強くなってきたところです。見る側にとっても、もっともっと深いところが見えるようになってきていますし、みんなが世界を知り始めています。僕が知る限り、WOWOWはグランドスラムという個人戦を、世界で一番多く中継していると思います。一日中、あれだけ詳しく放送するところはないと思う。そこで見ている皆さんには、“自分は本当にテニスが好きだ”という自信を持ってほしいです。その中でもデビスカップは国別の対抗戦ですから特別です。そのことを放送を通じて感じてほしいと思います。

 さらに、「どんなことをしてでも、このワールドグループに生き残ってほしい。いや、生き残るというか勝ち上がってほしい!」という思いは皆さんも同じだと思います。2013年にワールドグループから落ちましたが、またそこからはい上がりました。デビスカップのアジア予選を中継する国はほかにどこにもないですよ。でも、もう一度ワールドグループに、という思いで選手たちも、視聴者も、WOWOWも戦ってきたと思います。

 僕はあまりにもどちらかのチームに偏ることはしませんが、デビスカップは日本代表なので、普段の解説とはちょっと違います。応援の思いも入ってくるだろうし、日本がプレーにおいてしてはいけないことや、すべきことをできる限り冷静にお伝えします。チケットは売り切れている状態ですので、WOWOWで見られてよかった、会場に行けなくても十分楽しめた、と思ってもらえるくらいにしたい。そうなるように、僕も解説者の一人としてこの試合に臨みたいと思います。

 *……デビスカップ ワールドグループ準々決勝 日本対チェコの試合の模様はWOWOWで全試合生中継。4日の第1日は午後1時からWOWOWプライムで無料放送、5日の第2日は午後1時からWOWOWライブで、6日の第3日は午後0時50分からWOWOWライブで放送する。

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