テレビ試写室:「弱くても勝てます」 二宮和也が“こじらせ教師”好演

ドラマ「弱くても勝てます」第1話のシーン=日本テレビ提供
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ドラマ「弱くても勝てます」第1話のシーン=日本テレビ提供

 ドラマからドキュメンタリー、バラエティー、アニメまで、さまざまなジャンルのテレビ番組を、放送前に確認した記者がレビューをつづる「テレビ試写室」。今回は、二宮和也さん主演で12日から放送される「弱くても勝てます ~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~」(日本テレビ系)だ。

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 家を買うフリーターから異星人と戦うヒーロー、旧日本軍の若き兵士まで数々の役を好演してきた二宮さんが、今回挑戦するのは進学校の教師で野球部の監督だ。部員わずか6人で練習もままならない野球部が「弱くても勝つ」ために、二宮さん演じる田茂青志の奮闘が始まる……。

 とはいえ、青志は東大での研究が続けられなくなって、いやいや母校の教師になったというキャラクター。従来の学園ドラマにみられる熱血教師とは正反対の“こじらせ教師”だ。家出した生徒を自分の家に泊めるわけでもなく、当初は関心がないふりをして野球部とも距離を置こうとする。しかし、そうした絶妙の“こじらせ具合”があるからこそ、シリアスなシーンでの熱い言葉や行動が真に迫ってくる。数々のドラマや映画で高い評価を得てきた二宮さんならではの好演といえるだろう。野球部時代に青志のライバルだった谷内田健太郎役の市川海老蔵さんとの対決にも期待したい。

 脇を固めるキャスト陣も目を引く。「あまちゃん」でブレークした福士蒼汰さん、有村架純さんをはじめ、「半沢直樹」の中島裕翔さん、「L・DK」の山崎賢人さんらが名を連ねる野球部の面々のフレッシュな演技を、麻生久美子さん、薬師丸ひろ子さん、笹野高史さん、荒川良々さんらベテラン勢が支えるという構図は見ていて安心できる。

 個人的には、野球部マネジャーの樽見柚子役を務める有村さんに注目。時折みせる「チッ」という舌打ちは、有村さんが数々のCMでキュートな笑顔を振りまいているだけに、意外な一面を見た気がして新鮮だった。柚子の母で、薬師丸さん演じる楓が経営する喫茶店の名前が、名作野球マンガ「タッチ」に登場した喫茶店「南風」を思わせる「サザンウインド(南風)」だったりと小ネタも織り込まれており、さまざまな楽しみ方ができるのでは。

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