龍馬の手紙:バイきんぐの粘り導いた大発見 番組CPが語る裏側

NHK提供
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 坂本龍馬が暗殺される直前、土佐藩の後藤象二郎に宛てた手紙「越行の記」の草稿について、大発見のきっかけとなったNHK情報バラエティー番組「突撃!アッとホーム」の田中意澄チーフプロデューサー(CP)が取材に応じた。発見された際、「偽物だと疑った」という田中CPだが、鑑定の結果、本物だと分かり、「バイきんぐの粘りがあったからこそ」と大発見の功労者となったお笑いコンビ「バイきんぐ」の功績をたたえている。

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 「突撃!アッとホーム」は、全国の家族を取材し、笑えたりするエピソードを紹介する番組で、龍馬の手紙は3月にスタートした家族の思い出がつまった宝物を見せてもらう新コーナー「ファミリー トレジャー ハンティング」で発見された。新コーナー初のロケは、2月に東京・谷中で行われ、バイきんぐが東京都国立市の主婦に街頭インタビューを行い、「父が古美術商から“坂本龍馬直筆の手紙”を買った」と聞き出した。

 手紙は、約30年前に主婦の父が古物商から1000円程度で購入したもので、主婦宅のちゃぶ台の下に置きっぱなしになっていた。スタッフは半信半疑だったが、高知県立坂本龍馬記念館、下関市立長府博物館、京都国立博物館の鑑定によって本物であることが分かったという。

 田中CPは「見つかったのは偶然。坂本龍馬の文書は偽物が多いようなので、偽物だと疑っていたが、筆跡や癖から本物であることが分かった」と話す。主婦は最初、ナウマンゾウの牙を宝物として紹介しようとしたが、バイきんぐが「ほかにも宝物はありませんか?」と根気強く話を聞いた結果、手紙の存在に気付いたという。

 龍馬直筆の手紙は2010年以来、約4年ぶりの発見で、文書は739字にもおよぶ。大政奉還後の新政府の財政担当者として福井藩士の三岡八郎(後の由利公正)を推す内容で、龍馬が暗殺される近江屋事件直前の慶応3年11月5~15日(1867年11月30日~12月10日)に書かれたという。三岡は新政府の基本方針を示した「五箇条の御誓文」の起草に参画し、財政政策に携わった人物。龍馬が大政奉還後、福井藩を訪れ、三岡と面会したことは三岡の回顧録で明らかになっていたが、龍馬が会談について記した資料が見つかったのは初めて。

 この大発見は新聞でも取り上げられるなど大きな話題になっており、田中CPは「ツイッターなどでも盛り上がり、ここまで反響があるとは思っていなかった。龍馬人気を再認識している」と驚いている様子。番組のコンセプトは“家族”であるものの、今後も新たなお宝の発見が期待されるが「狙って見つかるものではないですからね。ただ、いきなり大発見があったので、バイきんぐは今後、(同コーナーを担当するにあたって)ハードルが上がってしまったかもしれません」と話していた。

 番組はNHK総合で12日午後8時から放送。マンガ「お~い!竜馬」の原作者で俳優の武田鉄矢さんがナレーションを務める。また、放送後、公式サイトで文書の全文が公開される。文書は、高知県立坂本龍馬記念館に寄託され、近日中に一般公開される予定。

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