第二次世界大戦下、日本軍の捕虜となって鉄道建設にかり出された英国人将校のトラウマを軸に、日本人通訳との和解までを描き出すヒューマン作「レイルウェイ 運命の旅路」(ジョナサン・テプリツキー監督)が全国で公開中だ。「エスクァイア」誌でノンフィクション大賞を受賞したエリック・ローマクスさんの自叙伝「泰緬鉄道 癒される時を求めて」が原作。主演はコリン・ファースさん。日本人通訳を真田広之さん、そのほかニコール・キッドマンさん、ステラン・スカルスガルドさんらが出演している。
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鉄道愛好家のエリック(ファースさん)は、列車内で出会ったパトリシア(キッドマンさん)に恋をした。やがて2人は結婚。幸せが続くように見えたが、エリックは悪夢にうなされ、殻に閉じこもるようになる。戦争当時エリックは、タイとビルマを往来するために日本軍が建設中の泰緬鉄道の現場で働かされていた。当時の日本軍からの暴行による悪夢にうなされ続けるエリック。夫を助けたいと思ったパトリシアはエリックの退役軍人会の仲間フィンレイ(スカルスガルドさん)に救いを求める。だが、フィンレイもまた、戦争のトラウマから抜け出せないでいた……。そんな中、新聞記事で当時の日本軍で通訳をしていた永瀬(真田さん)が、タイで寺院を建て、戦争体験を語り継いでいることを知る……という展開。
泰緬鉄道は、「戦場にかける橋」(1957年)にも描かれたタイとビルマをつなぐために日本軍が建設を計画した鉄道だ。今作は捕虜の側の実話を基にしているだけに、重苦しい空気が漂う。人を人として扱わない戦時下の日本軍の狂気が思いっきり描かれていて、だからこそ、その後のエリックと永瀬が対峙(たいじ)するシーンの緊迫感に圧倒される。和解への描写はやや急ぎ足だが、これが事実だという重みの方が勝り、感じ入る。戦争に勝者も敗者もない。その後の人生に、ずっと消えない苦しい記憶が残るだけだ。脚本のフランク・コットレル・ボイスさんはエリックさんと永瀬さん本人に会って話を聞いたという。つらい記憶に向き合うことをした2人の男の勇気を、ファースさんと真田さんが迫真の演技で心に刻みつける。映画は角川シネマ有楽町(東京都千代田区)、新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開中。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して、映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。
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