目力ですべての人間を思い通りに操ることができる藤原竜也さん演じる“男”と、その“男”が唯一操ることができない山田孝之さん演じる田中終一が壮絶な戦いを繰り広げるサスペンスアクション映画「MONSTERZ モンスターズ」(中田秀夫監督)が公開中だ。ヒロインの雲井叶絵役を演じた石原さとみさんに話を聞いた。
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−−脚本を読んだときの感想を聞かせてください。どんなところが面白いと思いましたか? 期待したことは? 撮影ではどのシーンが楽しみでしたか?
能力のある2人のバトルが繰り広げられるので、藤原さんと山田さんがバトルしているイメージが湧いて、きっと面白い作品になるんだろうなと思いました。読みながらちゃんとハラハラもしたし、(ストーリーも)ドラマチックだし、しかも監督は中田監督。この監督さんだったらこの作品を怖く映し出してくれるんだろうなと期待していました。
−−藤原さんと山田さんのバトルは確かに見応えがありました。撮影現場で彼らのバトルシーンを実際に見た感想は?
2人とも集中力の高い方たちなので、緊張感がありましたね。山田さんのアクションは素晴らしかったです。山田さんは運動神経がとてもある方なので、戦うときのアクションって普通だったらカッコよくなると思うんです。でも、必死さというか人間味のあるアクションだったというか。出来上がった作品からその熱が伝わってきて圧倒されました。それとは逆に藤原さんの冷たい感じ、ちょっと異世界な感じというか……人間なのかどうなのかという部分がすごく出ていましたね。そして、終一と出会ったときから心が動かされていく感じが、とても面白かったです。
−−石原さんの演じた叶絵はどんな女性ですか?
藤原さんや山田さんのように個性を主張するキャラクターではないんです。地図マニアではありますけどね(笑い)。地図が好きなのが終一と一緒で、話が盛り上がったりもしますけど、基本は起きていることに対してのリアクションだったり、受け身が多かった。翻弄されることの多いキャラクターです。なので、あまりクセをつけないように注意していました。泣き方にしても笑い方にしてもあまりクセが出ないように。“男”に目で操られているとき、叶絵自身の意識はないんです。普通の人間が翻弄されていくので、あえて色づけせずに、とにかく普通に、起きたことを受け入れられるようにしていました。
でも、操られるお芝居ってすごく難しいんですよね(苦笑)。最初は(このシチュエーション)一体どうなっているんだろう?というのが多くて、監督に「これで大丈夫ですか?」ってその都度確認をしていました。目線にしても、操られているときはどこを見ていたらいいんだろうとか。ただ、私の撮影の前に、すでに操られている役者さんとかエキストラさんの撮影があったので、それと統一した方がいいと思って、彼らの演技を参考にしながら演じていました。
−−見事に操られていました(笑い)。ちなみに、私、今操られていたかもっていう経験はありますか?
さすがにそれはないですね(笑い)。あっ、でも現場でいつも話題になっていたのが、誰かが何か失敗したりすると、「あっ、今誰かに操られてた!」って、失敗をごまかしていたんです(笑い)。突然、加湿器が消えてしまったことがあって、そのときも「誰かに操られている!」って。でも、本当にそういう人がいたとしても、操られている側としては意識がないわけですから、もしかしたら現実にあり得るのかもしれない……と思ったり。面白い世界ですよね。
−−そういう冗談がいえるというのは、和やかな撮影現場だったんですね。
そうなんです。中田監督がすてきなキャラクターなんです。監督とは4年前にもご一緒させてもらっているんですけど、そのときに感じたのは、なんていうか、(くまの)プーさんみたいな人だなぁと(笑い)。可愛いんですよ(笑い)。撮影の本番前にはバンダナとかタオルとかをハチマキみたいにギューッて頭に結んで挑んだりとか。あと、ちょっと戸惑ったのは「本番!」って、カメラが回ってからキャラクターの事情説明をしたりとかするんですよね(笑い)。こっちは「本番!」の声で息を吸い込んでせりふを言うぞ! という姿勢でいるのに、そういうときにバーッと役について説明をしたりするんです。で、息をすうっとはいたところで、いきなり「本番!」がかかる。「えっ!?」ってなるんです(苦笑)。でも、その中田監督の独特の間を4年前にも経験しているので、今回は居やすかったですね。4年前もそうだったなあと思い出して、懐かしいなあという思いと安心感がありました。分からない個所については、衣装合わせのときにすべて質問して、それでも気になるところは現場ですり合わせていきました。
−−叶絵は地図マニアですが、石原さん自身はマニアといえるような何かありますか?
マニアといえるかどうかは分からないですけど、いっぱい持っているなあと思うのは、ポストカードですね。海外旅行とかに行くと現地のスーパーとか雑貨屋さんに行って必ずポストカードを買うんです。美術館に行ったら気に入った絵画のポストカードを買ったりもします。なので、家にはポストカードがたくさんありますね。十代の頃から集めています。
−−藤原さんの演じる“男”の人を操れる力、山田さんの演じる終一の驚異的な治癒力、石原さんだったらどちらの能力が欲しいですか?
やっぱり、治癒力ですね(笑い)。だって、どんなことをしてもものすごく回復が早いんですよ。普通の人が3カ月かかるのにたった1日で治しちゃう! その能力があったら無茶なこともできちゃいますもんね。
−−そうですね(笑い)。もしも、人を“目”で操られる力が備わっていたとしたら、どうしたいですか?
ええー、考えたことないですけど……。そうですね、撮影現場とかで、ある間違いにたまたま私は気づいていて、でも現場の助監督さんとかは気づいていなかったとしますよね。そういうとき、芝居に集中したいので、(スタッフの方を)“目”で操って、その間違いをチャチャチャッと直す! そうしたら現場がスムーズに回るなって(笑い)。
−−いい力の使い方ですね(笑い)。今までそういうことを考えたことがなかったということは、この物語、石原さんにとってはすごく新鮮なストーリーだったということですよね。
そうですね。あんまり見たことのない世界が見られるんだろうな、とは思いました。藤原さんの“男”が作り出す世界って、リアルだけどリアルじゃなくて、なんて表現したらいいんだろう……でも、すごく孤独な世界ですよね。
−−ハラハラドキドキした一番印象に残っているシーンはどこですか?
お芝居の中にせりふがあると、そこばかりに集中してしまうんです。でも、操られているシーンは、何も考えていないというか意識がない状態なので、そこは客観的に見られたというか、居られたというか、(藤原さんと山田さんの対峙が)すごいなあと思えるシーンで、印象に残っています。山田さんはものすごく激しいアクションで、藤原さんは息絶え絶えで目で操っていて、2人のお芝居のバトルを間近で見ることができました。
−−石原さん自身はこの映画「MONSTERZ モンスターズ」からどんなメッセージを受け取っていますか?
こういう作品は映画館で見てほしいですね。ある一つの世界観を楽しめる作品だと思います。バトルをハラハラしながら見てほしい。自分と照らし合わせてとか共感とかではなく、ただ、この世界を堪能してもらいたい。それを思いきり堪能するためにも映画館で見てほしいですね。
−−最後に、石原さんにとって“モンスター”とはどういう存在、どういうものですか?
この映画の撮影は昨年の夏。現場は蚊がすごかったんです。長袖の衣裳でも至るところを刺されてしまって……。蚊って、一生つき合っていかなくちゃならない、ちっちゃいモンスターですよね(笑い)。
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