ハリウッドの人気SFシリーズ「トランスフォーマー/ロストエイジ」が全国で公開中だ。前作で決着がついたかに見えた、正義の軍団オートボットと悪の組織ディセプティコンの新たなる戦いが、シリーズ4作目にして再び幕を開ける。マイケル・ベイ監督の下、キャストは一新され、主演を映画「テッド」(2012年)でブレークしたマーク・ウォールバーグさんが務めるほか、その娘テッサには、ハリウッドの新たなミューズ、ニコラ・ペルツさんが、テッサの恋人シェーンには、アイルランド出身のジャック・レイナーさんが演じる。「トランスフォーマーが誕生した地に、その生誕30周年で来日できたのは素晴らしいこと」(レイナーさん)と感無量の様子だった来日したレイナーさんとペルツさんに話を聞いた。
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もともとベイ監督の作品は大好きで、ベイ監督を「天才」と信じているペルツさんは、「トランスフォーマーのファンだったから、出演できたことが、とにかくうれしい」と興奮を隠さない。「ベイ監督のエネルギーはとにかくすごいの。現場では、それがジャックにも私にも伝わってきたわ」と、今作に関わった4000人ものスタッフをまとめあげた仕事ぶりを間近に見て、ベイ監督への尊敬の念を新たにしたようだ。
レイナーさんも同意見のようで、「現場にいるのは毎日200人程度。その多くの人の責任を担っているのがベイ監督であり、大規模な予算を把握し、納期も守り、あらゆることをコントロールしている。その一方で、壮大なアクションでありながら、人々が共感できるストーリーを作り上げる。爆発、カーチェースもすべて本物。そういった効果には余分に予算がかかってしまうけれど、作品にリアリティーをもたらすために、あえてそれをやってのける。そういうところが彼の素晴らしさだ」とたたえる。
レイナーさんがいうように、今作でも爆発、カーチェースはふんだんにある。ペルツさんは「現場はとにかくエキサイティングで、何が起こるか分からないという緊張感が常にあったわ。カーチェース、爆発、あれはCG(コンピューターグラフィックス)じゃないのよ。私たちがスローモーションで爆破の中を駆け抜けるシーンがあるけれど、あれをやると私たちが知らされたのは、撮影のたった4、5分前! 準備にはもちろん何日もかけているけれど、私たちは一度で決めなければいけなかったから、それはそれは緊張したわ」と、ベイ監督の妥協を許さない撮影手法に驚きを隠さない。その言葉を引き取るようにレイナーさんも「記者の方たちが撮影現場に来たら、爆発や物の衝突音、人の叫び声を聞いてひるむんじゃないかな」と苦笑交じりに語る。
その一方で、毎日目に見えないロボット相手に芝居をすることには、2人とも苦労したようだ。レイナーさんは「ベイ監督からのアドバイスは、それは、マーク(・ウォールバーグさん)からのアドバイスでもあったんだけど、ロボットがそこに本当にいるような演技をしなきゃいけないということだった。かといって自意識過剰にならず、いかにリアルで説得力のある演技をするか、役者としてのイマジネーションを働かせながら演じていった」という。
新たなシリーズの幕開けともいえる今作。オプティマスプライムやバンブルビーといった確立されたキャラクターがいる半面、レイナーさんやペルツさんたちが演じるキャラクターが新たに生み出された。「今回は、僕らが演じるキャラクターを開発していく、つまり、オリジナルなものにしようという思いで作っていった。例えば、僕が演じるシェーンの国籍。ベイ監督とは、米国人にするか否かを話し合った。その結果、新鮮味と多様性を出すために、アイルランド人にすることにしたんだ。それによって、観客の幅が広がり、特に欧州の観客には共感してもらえるようになったと思う」とレイナーさんは胸を張る。そして、共演のリー・ビンビンさん、スタンリー・トゥッチさん、オートボット所属の二刀流の侍ドリフトの声を担当した渡辺謙さんとの仕事を「素晴らしい経験だった」と振り返った。
映画好きの祖父の影響で、黒澤明監督の作品が大好きだというレイナーさん。とりわけ、「人間の生き死に」について考えを巡らせていた子供時代に見た映画「生きる」が忘れられないという。「黒澤監督の作品が素晴らしいのは、難しい概念を、誰にでも分かりやすく説明し、リアルなものとして観客に届けてくれるところ。観客への正しい問いかけを、正しい時にしてくれる。それは、日本のフィルムメーカーに共通することだけれど、とにかく、人生における観察眼に優れている」と絶賛する。
レイナーさん自身、日本では公開作がまだなく無名だが、故郷アイルランドで主演したインディーズ映画は、トライベッカ映画祭やトロント国際映画祭で絶賛された。そして、今回の「トランスフォーマー/ロストエイジ」という人気シリーズの作品への出演によって、今後、出演作が目白押しだ。「僕らは恵まれていると思う。この映画によって、いろんな機会がもたらされ、光栄に思う作品にも参加できた」と喜びを口にする。そして、まだ22歳、最近、製作会社を始めたことを明かし、「アイルランドでも面白い作品を作っていきたいと思っているし、いくつか興味があるドキュメンタリーもあって、それを手がけてみたい。今後も、自分がやってきたこと、愛してやまないことをやり続けていきたい」と抱負を語った。
一方、レイナーさんより三つ年下のペルツさんは、「エアベンダー」(10年)で、すでに日本の映画ファンには知られており、当時、来日も果たした。今後の抱負として「今回のような現場で、尊敬する人と仕事をしていけたら。今は、とにかくあらゆることを吸収して学ぶ段階。それを楽しんでいる自分がいるの。女優としても人間としても成長していきたい。もう、それだけよ」と目を輝かせた。映画は全国で公開中。3D同時公開。
<ニコラ・ペルツさんプロフィル>
1995年生まれ、ニューヨーク州出身。M・ナイト・シャマラン監督作「エアベンダー」(2010年)、米テレビシリーズ「Bates Motel」(13~14年)に出演。ほかに「Affluenza」(14年)がある。
<ジャック・レイナーさんプロフィル>
1992年、米コロラド州生まれ。2歳で母親の故郷アイルランドに移住。2012年に主演したインディーズ映画「What Richard Did」がトライベッカ映画祭、トロント国際映画祭で上映され、批評家から絶賛される。13年「Delivery Man」で米映画デビュー。次回作はアイルランド映画「Glassland」(14年)。今後も「Macbeth」(14年)、「Girls’ Night Out」(15年)、「The Secret Scripture」(15年)と出演作が続く。
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