これまで何度も映画化されてきたタイの有名な怪談を大胆にアレンジした「愛しのゴースト」(バンジョン・ピサンタナクーン監督)が18日に公開される。今作は、チャクリー王朝初期のプラカノーンの村で非業の死を遂げた女性ナークが、戦場に赴いた夫への未練から悪霊となり災いをもたらしたという、タイでは誰もが知っている怪談がモチーフ。数度にわたって映画化されてきたが、今回は心優しい若き帰還兵と妻がつむぐ愛を、オリジナルを尊重しつつ、コメディーの要素も加味。これまでの作品とは一線を画した仕上がりで本国タイでは歴代1位の興行収入を記録した。寒気がするような恐怖と笑いが押し寄せ、最後には感動が待ち受けている。
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内戦に徴兵されていた若者マーク(マリオ・マウラーさん)は、戦場から仲間とともに奇跡的に帰還。妻ナーク(ダビカ・ホーンさん)との再会を喜ぶが、村ではナークはすでに死にゴーストになって現世にとどまっているといううわさが流れていた。ナークを深く愛するマークは聞く耳を持たなかったが、奇妙な出来事が次々と起き、仲間たちは村のうわさを信じてしまう。しかし、マークとナークは周囲を気にすることなく愛情を深めていく。一方、仲間らはあることをきっかけに実は本当に死んでいるのは自分たちなのではと疑い始め、次第に誰がゴーストであるかが分からなくなっていく……という展開。
日本の「四谷怪談」のように、タイではおなじみの怪談が元ネタになっており、基本的にはホラー作品だ。とはいえ、監督の旺盛すぎるサービス精神からコメディー、ラブロマンスと多彩なエッセンスが詰め込まれ、よくも悪くも“ごった煮”という表現がよく似合う仕上がり。しかし、このごった煮感がたまらなく、ホラー表現も見た目の恐怖よりもBGMも活用しつつ、小気味よいテンポで恐怖心をあおってくる。主人公マークの友人4人組があまりにも個性的すぎ、男たちの叫び声やらコミカルすぎる動きなどで心の中で思わずツッコミを入れてしまうが、怖いのに笑えるという、新しい感覚にさせてくれる。ラブロマンスを歌っているだけあって、往年のトレンディードラマのような正統派でロマンチックな雰囲気も楽しめる。とにかく笑い、怖さ、いとおしさに切なさ、そして感動と感情を揺さぶりまくってくれる作品。エンドロールの意外すぎる展開もお見逃しなく。シネマート六本木(東京都港区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。
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