テレビ質問状:「ノンフィクションW 天才作曲家・早坂文雄 幻のテープが語る『七人の侍』」8人目の侍

「ノンフィクションW 天才作曲家・早坂文雄 幻のテープが語る『七人の侍』」での早坂文雄さん
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「ノンフィクションW 天才作曲家・早坂文雄 幻のテープが語る『七人の侍』」での早坂文雄さん

 WOWOWは10月から毎週土曜午後1時に「WOWOWオリジナルドキュメンタリー」枠を設け、「ノンフィクションW」と「国際共同制作プロジェクト」の2番組を両輪に、国内外のさまざまなテーマを扱ったオリジナルのドキュメンタリー番組を放送する。11月8日に放送される「ノンフィクションW 天才作曲家・早坂文雄 幻のテープが語る『七人の侍』」を担当したWOWOWの制作局制作部の射場好昭エクゼクティブプロデューサーに、番組の魅力を聞いた。

ウナギノボリ

 −−番組の概要と魅力は?

 世界の映画史上最高の傑作の一つ「七人の侍」の映画音楽を作曲した早坂文雄、その幻の録音テープが初テレビ放送となる。

 早坂の音楽はそれ以前の映画音楽の安易な製作姿勢を一掃し、画期的な映画と映画音楽の見事な結合を創造し、映画音楽史を塗り替えた。41歳で結核のために、惜しまれつつ早逝した早坂をつき動かしたのは作品作りを通じて出会った黒澤明監督との命懸けの友情だった。

 −−今回のテーマを取り上げたきっかけと理由は?

 倉庫に60年眠っていたテープに書かれた「七人の侍」の文字。そのテープには映画音楽の録音の模様が残っていた。当時開発されたばかりの録音機器のテスト録音が行われた。初めて映画音楽の「オンリー」が残されることになった。

 それまでの映画音楽は、すべて映像と合体した状態で、録音も映像に合わせて一発どりだったため、じっくりと時間も掛けられず、映像の添え物にすぎなかった。

 映画音楽ばかりでなく、純音楽の作品も高く評価されている今年生誕100年の作曲家・早坂文雄の映画音楽との闘いが、そのテープからは生々しく感じられる。テープをきっかけとして、稀有(けう)の音楽家が短い一生を音楽にささげたその情熱を紹介したいと思ったため。

 −−制作中、一番に心掛けたことは?

 感情過多にならないように、音楽にすべてをささげた芸術家の姿を丁寧に事実を基に描くこと。60年以上前、ある作曲家と映画監督が、旧来の方法を打破して、映画音楽の世界に変革をもたらした。才能が才能を刺激し、芸術の世界に永続する作品として結晶した奇跡を、過剰にではなくむしろ淡々と描けるように心掛けました。

 −−番組を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったエピソードは?

 うれしかったのは映画音楽をきっかけとして、早坂文雄の純音楽の世界を知ることができたこと。

 逆に、短い人生をかけ抜けた偉大な人の姿を、なるたけそのまま伝わるようにしたかったのですが、60年以上前の出来事で、映像の資料はほとんど残っておらず、いろいろな人の想像力をお借りして埋めていく作業は、楽しくも大変でした。

 −−番組の見どころを教えてください。

 あの「七人の侍」には、8人目の侍がいた! 早逝した天才音楽家の遺した素晴らしい音楽の魅力をお楽しみください。

 −−視聴者へ一言お願いします。

 以下のいろいろを考え感じることのきっかけとなれば幸いです。人生と作品(仕事)の関係とは? 何かを未来に残すために犠牲を払うのが芸術家の宿命? それでも未来に自分が作ったものが残っていることの幸せ。才能同士の接触による思いがけないものが生まれる瞬間とは?……

 WOWOW 制作局制作部 エクゼクティブプロデューサー 射場好昭

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