大原櫻子:ソロデビュー曲リリース「歌手や女優である前に普通の女の子でいること」に女子が共感

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 映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」(2013年)で5000人の中からヒロインに選ばれ鮮烈なデビューを飾り、その後も女優として活躍する一方で、「第56回輝く!日本レコード大賞」で新人賞を受賞するなどアーティストとしても注目を集めている大原櫻子さんが、シングル「サンキュー。」で26日にソロデビューを果たした。「新たなスタート地点に立った気持ちです」と話す大原さんに聞いた。

ウナギノボリ

 −−これまで映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」の劇中バンドMUSH&Co.のボーカルとして活動。大原櫻子さんの個人名義では、「サンキュー。」が初めてのCDになりますが、どんなお気持ちですか?

 改めて新しいスタートだなって思います。こうしてソロシングルを出せるのは、今まで応援してくださったお客さんがいてこそで、今は感謝の気持ちでいっぱいです。その上で「サンキュー。」という曲でソロデビューできることが、とてもうれしいです。新たな私の色を出していけたらと思っています。

 −−もともと音楽が好きだったのですか?

 はい。幼稚園からピアノをやっていて、小学校からはクラシックの声楽を習っていました。歌は好きなので、ずっと歌い続けたいと思っていましたけれど、歌手になりたいという願望はあまりなかったんです。きっかけになったのは、映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」のオーディションです。歌という私の好きなことを生かして、女優を目指すことができるなんて、これはチャンスだ!と思って応募しました。

 −−じゃあ、歌には結構自信があった?

 いえ、なかったです。好きなだけです。声が大きくて、よくうるさいって言われるので、それがちょっとコンプレックスだったくらいで。それをこうしてお仕事にしていくなんて、やっぱり出会いなんだなって思いました。でも、自信がないからこそ、すごく練習しました。どんなにやっても自信満々にはなれなくて、満足できなくて、だから本当にいっぱい練習したんです。

 −−ソロデビュー曲「サンキュー。」は、ポップで明るい雰囲気ですね。曲の冒頭は、歌とアコースティックギターだけで始まります。

 リリース前から学園祭ツアーなどで披露しているのですが、その最初のところはめちゃめちゃ緊張します! 自分のタイミングで気持ちを落ち着かせてから歌い始められるので、それはいいんですけど……。私の歌が、丸裸にされる感じです(笑い)。

 −−作詞・作曲とプロデュースは、ヒットメーカーの亀田誠治さんが担当しました。

 夏にレコーディングしたのですが、毎回、亀田さんには「この曲は色で表すと何色になりますか?」って聞いているんです。「明日も」は黄色で、「頑張ったっていいんじゃない」はオレンジ、今回の「サンキュー。」は、なんと虹色という答えでした。

 歌詞に「シアワセの種」という言葉が出てくるのですが、虹を見るとラッキーって思ったり、ちょっと幸せな気持ちになるじゃないですか。虹色って、そういう幸せの色なのかなって。この曲を聴いた人の心が、虹色になってくれたらうれしいなって思います。

 −−基本的には感情を込めて熱く歌っていますが、語りかけるように歌うところもありますね。

 Aメロは、歌うというよりは、しゃべるような感じで歌いました。そのために歌の練習もしつつ、ひたすら歌詞を朗読することもやりました。そこは、台本を読み込むのと似ている感じですね。そこにある気持ちを、自分の中に取り込むみたいな。家中ウロウロしながら読んだり、公園に行って歩きながら読んだり……。周りから見れば、単なる変なやつですけどね(笑い)。

 −−「サンキュー。」の歌詞でいいなと思ったところは?

 近くにいても遠くにいても、距離に関係なくつながってるんだよということを感じさせるところがあって、そこはすごく共感します。ライブで地方に行くと、特にそれを感じます。普段は電波などを通してしか会えないけれど、ライブで知った顔を見ると「ああ、久しぶりー」ってなっちゃう。

 あと、ツイッターとかのSNSのことを意味した言葉も込められていて。SNSを通したコミュニケーションによる悩みって、私の年代にはすごく多いんです。なので、同世代に届いてほしいなって思います。

 −−カップリングには「オレンジのハッピーハロウィン」と「頑張ったっていいんじゃない」のライブバージョンも収録。

 「ハッピーハロウィン」は、曲を聴いてこういう告白もアリだなって思いました(笑い)。ライブで初めてコール&レスポンスをやった曲で、ライブを盛り上げるのに活躍してくれています。「頑張ったって」は、6月に「ららぽーと豊洲」(東京都江東区)で開催したライブの音源です。私のライブのお客さんは、同世代の女の子が多いので、ぜひみんなと一緒に歌いたいと思って、女子高生の制服を来た女の子50人をコーラス隊にして、一緒に歌っています。このCDをきっかけにして、ライブに行ってみたいと思ってもらえたら、本当にうれしいです。

 ライブって、失敗もあったりいろいろなことがあるのですが、それも含めて楽しい。今年はフリーライブをたくさんやって、秋には学園祭ツアーもやらせていただきました。今後も、お客さんの顔を直接見ながら音楽を伝えていくということを、もっともっとやっていきたいです。

 −−同世代の女性に支持されている大原さんですが、その理由はご自身ではどんなふうに分析されていますか?

 なるべくうそはつきたくないし、どうやったら気持ちがストレートに伝わるかいつも考えていて、そういう素直な気持ちが、みんなの気持ちに届いているんじゃないかなって思います。

 アーティストであるとか女優であるという前に、普通の女の子であるということも、常に心掛けているところです。女の子って、意外と全部さらけ出してしまってる方が、共感を持たれるんじゃないかって思いますね。友達同士の関係と同じで、変に自分を作ってしまうと、すぐにバレてしまうんです。この世代って、結構みんな、相手のことをすごく見ているので。 “ありのままの姿見せるのよー”じゃないけど(笑い)、私自身も飾ってるのは好きじゃないですから。

 −−2014年は、大原さんにとってどういう年でしたか?

 いろいろな出会いがあって、大きく変わることができたなって思いました。連続ドラマ、ソロデビュー、番組のMCとかラジオとか、いろいろな経験をさせてもらったので、この歩みを止めずに、来年、再来年ともっといろいろなことを吸収していきたいと思っています。

 −−来年に向けて、目標は?

 ライブをたくさんやりたいです。そのために曲を増やさないといけないので、アルバムを出せるように頑張りたいです。あと、いつか自分で歌詞を書いたり、曲を作ったりできたらいいなと思っていて。思ったことを書きとめることはしているので、いつか発表できたらいいなと思っています。

 −−女優と音楽活動を並行してされている方はたくさんいますが、そんな中で憧れている人はいますか?

 私、歌で憧れる人と女優で憧れる人が別々で、歌ならドリカム(DREAMS COME TRUE)さん、女優なら石原さとみさんです。だから、改めて(両方やっている人の中で)誰かと聞かれるといないんですよね。そういう意味では自分が、その二つを両立させた新しい存在になれたらって思います!

 <プロフィル>

 1996年1月10日生まれ、18歳、東京都出身。2013年12月公開の映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」で、5000人の中からヒロイン役に選ばれ、劇中バンド“MUSH&Co.”のボーカルとして、シングル「明日も」でCDデビュー。各音楽配信サイトでは軒並み1位を獲得し、「第56回輝く!日本レコード大賞」で新人賞を受賞。女優として「水球ヤンキース」にヒロイン役で出演するほか、ファッション誌「SEDA」でレギュラーモデルを務めるなど幅広く活躍する。12月31日には、EXシアター六本木(東京都港区)で開催する「EX THEATER TV Presents COUNTDOWN EX 2014 to 2015」に出演する。

 (インタビュー・文・撮影:榑林史章)

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