「ホビット」シリーズ3部作の完結編となる「ホビット 決戦のゆくえ」(ピーター・ジャクソン監督)が13日に公開される。今作は、J・R・R・トールキン原作「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの前章を描いた3部作の第3弾で、旅をしていたホビット族の主人公とドワーフたちがドワーフの王国を奪還、目覚めた竜の怪物や最大の敵サウロンと死闘を展開する。壮大な世界観の中で描かれる冒険の結末と、圧巻のスケールのバトルシーンでラストを飾るにふさわしい作品に仕上がっている。
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ドワーフの故郷、エレボールを取り返すべく旅をしていたホビットのビルボ・バギンズ(マーティン・フリーマンさん)やドワーフのトーリン・オーケンシールド(リチャード・アーミティッジさん)らは、邪竜・スマウグ(声・ベネディクト・カンバーバッチさん)から王国を奪還する。しかし、怒り狂ったスマウグは湖の町の人々を襲う。一方、トーリンは取り戻した財宝に執着し、独占しようとして仲間と対立。さらに復活を遂げた冥王サウロンがオークの大群で奇襲を仕掛けてくる中、ドワーフとエルフ、人間は対立を深めていく……というストーリー。
上映時間は約2時間半と長めだが、スマウグとの戦いに始まりドワーフ、エルフ、人間、オークが入り乱れた戦闘シーンまで、息つく暇もないほど見せ場の連続で、あっという間に時間が過ぎ去ってしまった。シリーズ1作目「ホビット 思いがけない冒険」から2年、「ロード・オブ・ザ・リング」からは数えること13年と、長い年月をかけてつむがれてきた一連の冒険譚(たん)のラストと考えるだけで、万感胸に迫る思いだ。VFXを駆使して描かれる世界と戦闘シーンは圧倒的な映像美と迫力で、さらには豪華キャストが再集結して進行する物語も熱気がひしひしと伝わってくる。冒険の後日談を描いているだけにファンタジー色はやや薄めで、どちらかというと軍隊同士による戦闘シーンがメインのアクション要素が強めで進行する。冒険を期待している人には物足りなさがあるかもしれないが、友情や愛情などの心理描写にスポットを当て、登場人物の感情が前作以上に描かれ、ドラマとしてまとまりが感じられる。「ロード・オブ・ザ・リング」へとつながるエピソードも盛り込まれているので、シリーズファンも満足だろう。ただ、いきなりスマウグが荒れ狂うシーンから始まるので、前作や前々作の復習をしておかないとのっけから置いていかれるかも。13日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。3Dも同時公開。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。
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