一昨年から今年にかけて、国内でフルCGアニメの動きが活発になっている。劇場では「アシュラ」(2012年)や「009 RE:CYBORG」(同)、「キャプテンハーロック」(2013年)や「楽園追放」(2014年)、テレビシリーズとしては「蒼き鋼のアルペジオ アルス・ノヴァ」(2013年)、「シドニアの騎士」(2014年)などが公開された。この期間は、後に日本のアニメが大きな転機を迎えた3年間として振り返られるかもしれない。
ウナギノボリ
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国内におけるアニメとCGの関係は20年近い歳月に及んでいる。1990年代初めから半ばにかけてゲームにCGムービーが挿入され(子供向けバラエティー番組「ウゴウゴルーガ」でCGキャラクターが活躍した時期でもある)、「ビット・ザ・キューピッド」はテレビアニメにCGが採用されたことで注目を集めた。
初めは現実と違和感のある“物珍しさ”を狙って使われていたCGが、手描きされていたロボットの作画を置き換える手段として活用された先駆けが「マクロスゼロ」(2002~2004年)だった。それ以降、例えばカードバトル作品の中で、人物は手描き、クリーチャーの戦いはCGといった場面ごとの切り分けや、全編CGだが登場人物はロボットに限る、あるいは人間キャラクターはデフォルメ表現と割り切る。さらにはCGと手描きを混在させるなどの試行錯誤が積み重ねられてきた。
近年のフルCGアニメがそれまでの作品と決定的に違うのは「手描きされてきた人間キャラクターまでCGで表現している」ということ。CGに対する違和感は、主に「カクカク(金属のように硬そう)」か、「ヌルヌル(動きが滑らかすぎ)」の2点だ。カクカクとした絵は冷たさを感じさせ、途切れないヌルヌルとした動きは作画枚数の抑えられた日本のアニメにはなじみにくかった。
その隔たりを埋めるために編み出された手法が「セルルックCG」だ。従来通り3Dモデリングは行うが、見かけも動きも人の手でセルアニメ(手描き)に近づけ、あえてコマ数を落として手描きとテンポを合わせるといったアプローチに磨きをかけられてきた。
そうしたフルCGアニメが市場に受け入れられつつある背景には、「視聴者のCG慣れ」も指摘できる。「アナと雪の女王」が大ヒットしたように、ディズニーやピクサーの長編フルCGアニメは日本でも「親子で見に行く映画」のポジションを確立している。世界初のフルCG映画「トイ・ストーリー」の公開から約20年の今日、生まれてすぐCGアニメに触れて育った世代が出現しつつあるのだ。
また、視聴者側がCGに親しんできたことに加え、「手描きアニメーターの人材不足」という制作サイドの事情もある。手描きでクリエーティブな作画のできる才能は希少であり、過酷な制作現場で第一線にとどまり続けられる「職人」はさらに限られてしまう。その結果、作品のの完成度がトップクラスの人々に依存する状況が続く一方で、彼らの高齢化は着実に進んでいる。3Dでも個人のセンスが問われることに違いはないが、手描きよりより若手が育ちやすく、テレビアニメを支えられる量産性にも優れたフルCGへのシフトは避けられない流れだろう。
フルCG作品は世界的な大勢でもあり、国産アニメがグローバルな市場に挑戦するチャンスでもある。実際、海外でも「キャプテンハーロック」は善戦しているようだ。ただし、「ハーロック」のCGはリアル志向が強く、国内で人気の高いセルルック型のアニメは未知数だ。その意味で、この12月に北米で公開されるセルルックCG作品「楽園追放」の行方が、国産フルCGアニメの国際展開を占う鍵の一つになるのではないか。(多根清史/アニメ批評家)
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