“高学歴芸人”として知られるお笑いコンビ「ロザン」の菅広文さんが手掛けた笑って学べる異色の小説「京大芸人式日本史」(幻冬舎、1404円)が好評だ。菅さんが「2010年から書き始めて、率直に長かった。日本史の勉強をしながらなので時間がかかった」と語ると、相方の宇治原史規さんも「日本史の本なんて、範囲が広いからできるんかなと思った。すごいと思います」と同意する。コンビの片方だけの活動があっても、結成19年目で解散の危機は「一度もない」と口をそろえる2人に、小説の魅力はもちろん、お笑いについて、コンビ円満の秘訣(ひけつ)も聞いた。
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「京大芸人式日本史」は、菅さんの自伝的小説「京大芸人」と「京大少年」に続く書籍第3弾。菅さんが登場人物となり、タイムマシーンでさまざまな日本の歴史の場面に遭遇するという内容で、菅さんは「宇治原さんが『日本史の教科書を物語のように読めば忘れない』と言うんですが読めなかったので、僕が物語にしようと思った」と執筆の経緯を語る。ターゲットは「芸人の本なので、中高生とかあえて大学受験を目指していない人」だといい、「宇治原さんの書いた日本史の教科書のまとめを解体して書いた。京大とか東大を受けるなら、宇治原さんのまとめの方がいい」と話して宇治原さんをあきれさせた。宇治原さんは「初めて(今作の執筆の話を)聞いたとき『すごい話やな。そんなことできるんかな』と思った」と感心しつつ、「高校の時『本を出す』って(夢を)卒業アルバムに書いていたのは僕なのに、相方が書いている……」とこぼす。それでも「小説を書く才能は僕にはない」と菅さんの才能を認める。
コンビ結成して18年間、お笑いの舞台のほか、菅さんは書籍、宇治原さんはクイズやバラエティー番組と、お互いに単独で活動の幅を広げているが、コンビ仲は円満だ。菅さんは「関西で活動していたんですが、宇治原さんがクイズ番組に出てくれて優勝して、全国的に名を売ることができた。僕がこんなに呼ばれないとは思わなかったけれど……」と、苦笑いしつつも、「僕ら(給料)折半制度なので、競馬の馬みたいなものだから必死で応援していましたよ。『笑い取らんでいいから、はよ(問題を)解け!』って」と語る。宇治原さんの方も「折半だから気楽なんですよ。優勝して賞金を取ったら取ったで半分を菅さんに渡すんで、(活躍しても)気が楽。相方の本がベストセラーになってもそうなんです」と説明する。コンビ円満の秘訣は「金じゃないですかね。金ですね!」とちゃめっ気たっぷりに答えた。
本業のお笑いへの取り組み方でも「ずっと60点、70点を目指して、山も谷もなく来ました。トータルの合計点が勝負。合計でトップを目指すから全体的に70点」と菅さんは高学歴芸人ならではの持論を展開する。100点を狙わない理由については「国公立(大学)に行こうとする人の考え方でしょうね。全教科やりたい、ウイークポイントを作りたくないという生き方」と説明し、宇治原さんは「毎年(給料)2%くらい(上がる)。緩い上り坂を上っている」と自身らを評価した。仲のいい2人に、あえて今だから言える相方への不満を聞くと「何にもない……」という宇治原さんに対して、菅さんは「宇治原さんは京大を卒業しているんですが、僕は(大阪府立大を)中退。在学中に僕はいっぱいネタを書いて、宇治原さんは何もしていないから『そりゃ卒業できるわ』と思う。一生引きずります!(笑い)」と話し、「今日初めて聞きました」と宇治原さんを驚かせていた。
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