リーアム・ニーソンさんがアクションに挑み新境地を開拓した映画「96時間」(2008年、12年)シリーズの第3弾にして最終章「96時間/レクイエム」(オリビエ・メガトン監督)が9日から全国で公開される。前2作では、自らの命の危険を顧みず娘と元妻を守り抜いた、ニーソンさん演じる元CIA秘密工作員ブライアン・ミルズが、今作では一転、元妻殺しの容疑者にされてしまう。リュック・ベッソンさんが製作と脚本を担当。シリーズ最終章らしくミルズの“家族愛”がより強く伝わる作品となった。
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トルコのイスタンブールで犯罪組織を壊滅させた元CIA工作員のブライアン・ミルズ(ニーソンさん)は、米ロサンゼルスで平穏な日々を送っていた。元妻レノーア(ファムケ・ヤンセンさん)との関係も良好で復縁の可能性も出てきた。ところが、そのレノーアがミルズの自宅で死体となって発見され、ミルズは容疑者として指名手配されてしまう。さらに、娘キム(マギー・グレイスさん)にも危険が迫り、ミルズは警察に追われながら、事件の黒幕に迫っていく……という展開。
前2作で舞台となったパリとイスタンブールでは、ちょっとやり過ぎだろうというところまでやってのけ、キムやレノーアを救い出したミルズ。今作では、追う立場から追われる立場に変わったことで、行動はやや自粛気味になっている。その一方で、勝手知ったるロスの街を、レノーア殺しの真犯人を見つけるべく、また、三度窮地に陥ったキムを救うために疾走するミルズからは、愛する者を失った悲しみと、「娘=命」の思いが強烈に伝わり、このシリーズが貫いてきた家族愛がより鮮明に浮かび上がる仕上がりだ。ミルズとかつての仲間たちの結束力の強さを証明する場面も盛り込まれ、シリーズファンにはうれしい展開も用意されている。ニーソンさんのアクションに以前ほどのキレがなくなったことは否めないが、1作目から6歳も年を取ったこと(現在62歳)を考えれば、ミルズだって“人の子”、その人間くささにむしろ好感を持った。ミルズを追う刑事をオスカー俳優のフォレスト・ウィテカーさんが演じているという豪華さに最終章らしさが出ていた。9日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(1978年)と「恋におちて」(84年)。2015年が明けました。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
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