大泉洋:教師の予定があれよあれよ HTBプロデューサーが語るデビュー当時

大泉洋さんら「TEAM NACS」について語ったHTBの杉山順一プロデューサー
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大泉洋さんら「TEAM NACS」について語ったHTBの杉山順一プロデューサー

 俳優の大泉洋さんが所属する演劇ユニット「TEAM NACS(チーム・ナックス)」のメンバーが総出演する北海道ローカルのバラエティー番組「ハナタレナックス」(北海道テレビ放送)が15日午後1時55分からテレビ朝日系で初めて全国放送される。番組のプロデュースを手がけるのは同局の報道情報局・制作部長の杉山順一さん。人気番組「水曜どうでしょう」(同局)の立ち上げにも関わり、前身番組「モザイクな夜」で大泉さんらを抜てきした人物でもある。押しも押されもせぬ人気俳優となった大泉さんらナックスのメンバーを当時どう見ていたのか、今の活躍をどう感じているのか……二十数年来の付き合いの杉山さんに話を聞いた。

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 「ハナタレナックス」は2003年にスタートした北海道ローカルのバラエティー番組。今回の特別番組は「ハナタレナックスEX(特別編)大泉洋が!安田顕も!ふるさと北海道で素顔全開!?自由気ままなドライブ旅☆ちょいのり!in函館」と題してメンバー5人が1台の車に乗り込み自由気ままにドライブ旅に出かける企画をメインに、函館の街を舞台にハプニング続出の珍道中を繰り広げる。

 ◇きっかけはアルバイト

 「TEAM NACS」は大泉さん、安田さんのほか、リーダーの森崎博之さん、戸次重幸さん、音尾琢真さんの5人からなる演劇ユニット。いずれも北海学園大学の演劇研究会出身で、その先輩に当たるのが“水どう”にも出演する“ミスター”こと鈴井貴之さんだ。鈴井さんはナックスのメンバーが所属する芸能事務所「オフィスCUE」の会長でもある。

 大泉さんらを最初に起用した理由について、杉山さんは「特別見つけて、拾ってきたという感じではない」と語る。杉山さんが当時、札幌でナンバーワンといわれる劇団をやっていた鈴井さんと組んで番組を始めたのが「水曜どうでしょう」の前身となるバラエティー番組「モザイクな夜」(同局)だった。

 番組でコントや体当たり企画を作るのに当たって出演者が必要となったが、ローカル番組のため予算は多くない。「学生のアルバイトでもいいんじゃないかという感じで来たのが、大泉君と安田君と森崎君の3人でした。(大泉さん起用の)最初のきっかけは出演アルバイトです」と杉山さんは語る。

 ◇“水どう”藤村Dが見いだす

 大泉さんらとは深夜番組らしい、いい意味でくだらない企画をやってきたという杉山さん。現在のメンバーの活躍について「まさかこんなふうになるとは当時は僕らも思っていなかった」と率直に語る。ただし、一人だけ例外がいた。それが「水曜どうでしょう」のディレクターとして知られる同局の藤村忠寿さんだった。杉山さんは「僕の同期入社の藤村は、つきあって半年くらいですかね、『大泉は面白い』と言い出したんです。ずっと言っていて、その面白さを引き出すのに彼が編み出したのが『水曜どうでしょう』の“だまし旅”。あそこで彼の面白さをどーんと引き出したのは藤村君が最初。最初で最大だったのかなと思います」と語った。

 杉山さん自身は「大泉君の名前が札幌で知られるようになっていくと同時に、彼らも学生から社会人になるタイミングで一緒にやっていた演劇仲間と『チームナックス』を作って、5人を何とかテレビで使ってくれというのが1990年代半ば。5人ともこうなってくるとは、当時そこまでは思っていなかった。本当にあれよあれよと……」と感慨深そうに語る。

 ◇大泉洋「テレビは思い出作り」のはずだった……

 特に大泉さんについては「教員免許も持っていて、最初は学校の先生になる予定だったんですが、『水曜どうでしょう』で人気が出てしまって、もうちょっとやってみるか」となったという。杉山さんは「最初は『テレビは思い出作り』と言っていた、アルバイトのつもりでやっていた活動だったんですね。それがあれよあれよと人気が出てきて、やめられなくなり、いつしか抜けられなくなった」と明かす。

 さらに、「ご両親とも会うんですが、お母さんはいまだに『今からでも先生になってくれないか』と言っているくらい(笑い)。何か計算したわけでもないですし、自分たちも何が起きてるか分からないような中で、あれよあれよといったという感じですね」。

 ◇道民が“見守って応援”している

 それでも「水曜どうでしょう」が札幌で認知され出した頃には、杉山さんも「『あれ、これはもしかしたら?』みたいな予感」はあったという。「安田君なんかも独特の世界を持ってましたし、異彩は放ってましたね。ここまで大きくなるとは予想はつかなかったですけど、もしかしたら引き出し方によって、いろいろな面を認めてもらえるんじゃないかなと。彼らとも一緒にバラエティーをやってましたから。2000年前後くらいには、もしかしたらこのまま良い感じで行くのかもしれないなという予感はあった。でも一気にメジャーになっていった印象はあります」と明かす。

 全国区で活躍するまでに成長した5人について、杉山さんは「すごいなあと思いますね。自分の周りのことでもあるんですけど、どこかで、いまだにちょっとひとごとのように見ているところもあります。すごいねえって」と思いを語る。「北海道ではあの人たちが活躍してるのが当たり前。大泉君たちのバラエティーが全国放送されるのはそんなに驚きはないんじゃないかな。毎晩出てるんですよ。見慣れたいつもの風景。出ていることが当たり前なんです。北海道では東京以上に彼らが出るドラマとかは視聴率も良い。ぼくらもそうですけど、驚きというよりは彼らを見守って応援している感覚に近いんじゃないかな」と語っていた。

 番組は2月15日午後1時55分~同3時20分に放送予定。

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