話題のライトノベルの魅力を担当編集者が語る「ラノベ質問状」。今回は、じん(自然の敵P)さん作、しづさんイラストの「カゲロウデイズ」です。KADOKAWAのKCG文庫編集部の屋代健さんに作品の魅力を聞きました。
ウナギノボリ
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−−この作品の魅力は?
「カゲロウデイズ」は、じん(自然の敵P)さんが構想したキャラクターと物語を、ご自身でボーカロイドを駆使して演奏した楽曲の形でニコニコ動画で発表したのが始まりです。 次々と楽曲の動画が発表されていくにつれ、爆発的な人気となり、今では関連する動画再生数が1億回を超える話題作となっています。その一連の楽曲群をライトノベルにしたのがKCG文庫「カゲロウデイズ」です。
物語は、とある夏の日に出会った少年少女たちが、思いもよらず手に入れてしまった“目”にまつわる能力を武器に、この世界の謎に挑むというものです。引きこもりの少年・シンタロー、電子機器の中で活動する少女・エネ、いつも飄々(ひょうひょう )としてとらえどころのないカノ、ふんわりした容姿とはうらはらに重要な存在の少女マリー、ひとくせもふたくせもある彼らメカクシ団の面々を束ねるキド……。これらの読者と等身大のキャラクタ ーたちが、時に面白おかしく、時にシリアスに、自分たちを取り巻く不思議な現象や大人たちに翻弄(ほんろう)されながらも、目にまつわる能力の原因、幾度も繰り返すこの世界の謎、背後にうごめく存在といったものに立ち向かっていきます。
−−作品が生まれたきっかけは?
ニコニコ動画で人気の動画があると耳にしてオリジナル楽曲の動画を見たのがきっかけです。いわゆるボカロキャラではないオリジナルのキャラが生き生きと描かれていたことと、ストーリーにとても魅力を感じたことを覚えています。
歌詞の言葉の背後に何か大きなドラマが隠されているような感じがしたのです。早速、こちらから「これを小説にしませんか? まずは短編小説ではどうでしょうか?」とご相談をしたところ、じんさんが「せっかくやるのだったら長編小説にしたい」と話に乗ってくださり、ご自身の執筆による小説化の企画がスタートしました。
−−アニメも話題になりましたが、放送後の反応は?
小説は、全国の小中学生女子を中心にして売れているのですが、普通のライトノベルのように発売直後に一気に売れるのではなく、土日になるたびにワッと売れる、ちょっと変わった作品です。アニメの効果でしょうか、今でも土日になるとワッと売れているので、アニメから小説に興味を持っていただけたのかも、と思っています。とてもありがたいですね。
−−編集者として、この作品に関わって興奮すること、逆に大変なことについてそれぞれ教えてください。
原作の楽曲はもとより、小説やコミックやアニメなどを通じて「カゲロウデイズ」の物語の全体像は、ファンには大まかには知られていると思います。一方で、描かれていないエピソードがまだまだたくさんありますし、“繰り返す世界”が舞台なため、同じエピソードでも違う切り口や描写になって いることがあります。
じんさんが、新しい小説のプロットや本文を書き上げるたびに、「このエピソードをそうやって描くのか!」という、驚きが毎回あります。普通のパズルかと思っていたら全然違うパーツを持ってきて、でもそれがうまくはまってびっくり、みたいな。そんなシーンに真っ先に立ち会えるのが、とても興奮しますね。
とにかく進行がぎりぎりなのが大変でした。5巻はアニメの放送前で、じんさんが脚本や監修や音楽でてんてこまいのところ、なんとかスケジュールを確保してもらって放送前の発売に間に合わせることができました。今回の6巻は、最後の方でアニメのサントラやそのほかの音楽制作などとスケジュール がかぶってしまい、マネジャーさんとスケジュールのすり合わせ(むしろ奪い合い? 笑い)を何度も重ねて、ぎりぎり間に合わせました。
−−今後の展開は?
最新刊6巻は遥からシンタローに“とある願い”が託されたところで終わります。盛り上がったいいところで終わります(笑い)。それを受けて、はたして7巻ではどういう話が展開されるのか……。どうぞ、ご期待ください。
さらにその先、まだ描かれていないエピソードがどのような形になるのかも、皆さんが気になるところだと思います。お楽しみにお待ちくださいませ!
−−最後に読者へ一言お願いします。
小説本編が1年ぶりの刊行で、大変お待たせいたしました。じんさんの「お待たせしてしまった分 、アッと思わせるような展開の小説をお届けしたいです」という意気込みを感じていただけたらうれしいです。 昨年は、pixivで小説コンテストを実施して、たくさんの小説を投稿していただいたお陰で、優秀作を収録した文庫を2冊も刊行できました。こういった試みもまたチャレンジしようと思っています 。「読むだけでなく自分でも創作する『カゲロウデイズ』」を、これからも皆さんと楽しんでいきたいと思います。
KADOKAWA エンターブレイン KCG文庫編集部 屋代健 ,
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