VAMPS・HYDE:全米ツアーに懸ける思い「限られた時間でどれだけ爪あとを残せるか」

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 3月末に最新アルバム「BLOODSUCKERS」の海外盤を世界各国でリリースした「VAMPS」が、米国のヘビィメタルバンド「モトリー・クルー」のベーシスト、ニッキー・シックスさんが率いる3ピースバンド「SIXX:A.M.」との全米ツアーを8日から開催する。約1カ月かけて12都市を回り、イベントを含む海外公演終了後の5月30、31日には、日本でのアリーナツアーの最終公演をさいたまスーパーアリーナ(さいたま市中央区)で開催する予定だ。アルバムの海外リリースにあたって、日本語で歌った部分をすべて英語詞バージョンにして歌い直し、海外展開への強い思いをうかがわせる。ボーカルのHYDEさんに、自身の音楽的ルーツについてや海外進出への思い、最終公演への意気込みなどについて聞いた。

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 −−VAMPS結成以来、海外での活動を意欲的に行っていますね。

 やっぱり僕が今まで米国や英国の音楽を聴いてきたんで、そういうアーティストに憧れて活動を始めたからには、同じような土俵に行きたいっていうのが自然な流れだと思うんですね。もともと日本のバンドに憧れていたんだったら海外に目を向ける必要もないだろうとは思うんですけど、僕はモトリー(・クルー)とかに憧れてたから、(現地の)ラジオで、モトリーの次にVAMPS(の曲)が流れるとか、そうあってほしい。それが夢ですよね。

 −−全米ツアーに臨む今のお気持ちはいかがですか。

 期待と不安というか……。限られた時間の中でどれだけ爪あとを残せるかだなと思っていて、でもステージングは自信のあるところだから、武者ぶるい的な気持ちもありながら、楽しみにしてます。

 −−1カ月間米国に行きっぱなしということで、途中で日本が恋しくなりそうですね。

 そうそう。僕、日本が大好きなんで、2週間以上はちょっとキツイんですよね。四季がないのが耐えられない。だから、ハワイとかもあんまり興味ないですね。行っても、日本に帰りたいなあと思います。でも仕事というか(笑い)、ある程度、米国で知名度を残すことが僕の目標なので、仕方ないんですけどね。

 −−海外でのオフタイムは、どのように過ごしていらっしゃるんですか?

 みんなは買い物とかに行ったりしてますけど、僕は買い物にあんまり興味がないんで、ホテルで酒を飲んで、インターネットをしたりとか。僕、田舎が好きなんで、田舎町とかなら歩きたいなっていう気持ちはあるんですけど、そういうのがないんだったら、ワインでも買って部屋にいたいなって。例えばスーパー(マーケット)とかに行ったりすると、日本では食べられないものが売っていたり、まだ日本には入ってきていないブームがあったりして、そういうのを現地の人に聞きながら酒のアテ(さかな)を探したり、また(そのアテに合う)酒を探したり。糖質オフの文化って、最近日本でも増えてきたけど、米国では随分前からあったので、それに合った食事が結構置いてあるんです。その発見が面白いし、そういうのは好きですね。だから、行くとしたらスーパーかな(笑い)。

 −−それでは、5月のさいたまスーパーアリーナ公演についてお聞きしたいのですが、昨年から今年の初めにかけて行われたライブハウスツアーとはまた違ったものになりそうですか。

 演出は全然違いますね。もともと僕が別の人のライブに行った時に、ライブを見ないでずっとホールを見ながら「こういうステージだったら面白いんじゃない?」って考えたことがあって、それが形になっている感じ。セットリストは似ているかもしれないですけど、大きいところ(空間)に合わせたアレンジや演出だったりするので、見た目は全然変わると思います。

 −−今回はアルバム「BLOODSUCKERS」を引っ提げてのツアーですが、BLOODSUCKER=吸血鬼という意味で、もともとファンの方を「BLOODSUCKERS」と呼んでいたそうですね。その理由は?

 ミュージシャンが(ライブの時に)その地方の名前を連呼するのが僕はあんまり好きじゃないんですよね。「名古屋ー!」とか「代々木−!」とかってあんまりカッコよくないなと思っていて、(ファンに)名称を付ければカッコ悪さが解消されるなと。それで思いついたのが「BLOODSUCKERS」でした。

 −−BLOODSUCKERS(吸血鬼)は、VAMPSの名前の由来にもなっているバンパイアと同じ意味で、曲のタイトルやビジュアルなどにもバンパイアがよく用いられていますね。HYDEさんにとってバンパイアの魅力とは?

 もともとはここまで引っ掛けるつもりもなかったというか。このバンド名じゃなかったらここまでやらなかっただろうなっていうのもありながら、でも吸血鬼というのは、すごく凶暴なんだけど、スタイリッシュでカッコいい、そしてセクシーだったりもするっていうイメージがあって、僕のロック像にすごく近いモンスターっていうところが、影響を受けている部分ではあるかな。

 VAMPSは僕がティーンエイジャーの頃に憧れてたバンド像を形にしてるところがあるんですね。モトリー・クルーもそうだったりするんだけども、インディーズのハードコアバンドとか(のライブ)をよく見に行っていて、その時は、僕の中で「人間じゃないな」って思ってたんですね。「妖怪の集まりじゃないかな」っていうぐらい、いかつい人もいっぱいいて。その雰囲気がやっぱりどこかに残っていて、だから、吸血鬼というモチーフを借りることによって、その時の雰囲気を出したいと思ってるんです。

 −−なるほど。最終公演にも期待が高まりますが、内容について何かヒントをいただけないでしょうか。

 (ギターの)K.A.Zくんが火を吹くかもしれないです。うそですけど(笑い)。でも、集大成というか、基本的には(今までのステージが)グレードアップされた状態が最終公演だと思います。VAMPSらしさもありながら、新しい雰囲気を演出できると思うので、それをぜひ見届けてほしいなと思いますね。

  <VAMPSのプロフィル>

  L’Arc~en~CielのボーカルのHYDEさんと、Oblivion DustのギタリストのK.A.Zさんで2008年に結成。2013年には海外デビューアルバムにしてベスト盤「SEX BLOOD ROCK N’ROLL」を発売。14年10月に約4年ぶりのオリジナルアルバム「BLOODSUCKERS」をリリースし、現在はアルバムを引っ提げた全国ツアーを開催中。5月30、31日には、さいたまスーパーアリーナ(さいたま市中央区)でのファイナル公演が予定されている。HYDEさんが初めてハマッたポップカルチャーは、幼稚園の頃に見ていたという特撮ドラマ「仮面ライダー」(1971年放送開始)。「みんな(仮面ライダーが巻いている赤いスカーフ替わりに)風呂敷を巻いて自転車に乗る、みたいな時代で社会現象でしたね。その当時、首に(風呂敷を)巻いてるじゃないですか。『危険だから、たすき掛けをしましょう』って言われて、『たすき掛けだと仮面ライダーじゃねえじゃん』って(笑い)」と笑顔で話した。

(インタビュー・文・撮影:水白京)

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