目の前で兵士に両親を殺され、口がきけなくなったチェチェンの少年を主人公にした「あの日の声を探して」(ミシェル・アザナビシウス監督)が、24日に公開された。米アカデミー賞5冠に輝いた「アーティスト」(2011年)のアザナビシウス監督の最新作。犠牲側の少年と加担側の若い兵隊の心情の変化をつぶさに描き出す。
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1999年、9歳のハジ(アブドゥル・カリム・ママツイエフ君)は両親を殺されたショックで声を失う。姉も銃殺されたと思ったハジは、幼い弟を連れ出して家から避難し、見知らぬ人の家の前にやむなく弟を預けた。トラックの荷台に乗って街にたどり着き、道で偶然出会った欧州連合(EU)職員のキャロル(ベレニス・ベジョさん)に拾われる。キャロルはハジの世話をするうちに、自分の手では世界を変えられないのなら、せめて小さな命を守りたいと考える。一方、音楽好きの普通の19歳だったロシア人のコーリャ(マキシム・エメリヤノフさん)は強制入隊後、殺ばつとした軍の中で、人間の感情を失っていく……という展開。
戦争の犠牲になる側と加担していく側の物語が並行して語られる。少年と若い兵隊の心情が繊細に描かれ、息もつけないほどだ。少年の目の前を通る戦車や、若い兵隊の上を飛ぶ飛行機が臨場感たっぷりに動くのを見て、前者は恐怖に、後者は高揚感に彩られるのを“体験”する。少年は大きく目を見張り、脅えていた。若い兵隊は、遺体に涙を流していた。しかし、映画の時間が進むにつれて両者は変化する。少年にはキャロルの愛が注がれる日々が、兵隊には人間扱いされない日々が流れる。少年も兵隊も立場は受け身だが、環境は大きく異なる。言葉をしゃべらない少年を家にまねき、手探りで接するキャロルは言う。「大人だからといって賢いとは限らないわ」と。キャロル自身だけでなく、観客の心にも訴えるせりふとして胸に刺さる。ハジを探す姉が、弟と再会できるのかどうかも物語の鍵になっている。ユダヤ人の少年をアメリカ兵が助けるフレッド・ジンネマン監督の「山河遥かなり」(1947年)に着想を得て作られたという。グルジアロケで手持ちのカメラで撮影された。主演は「アーティスト」でアカデミー賞候補にもなったベジョさん。赤十字の職員役を、「キッズ・オールライト」(10年)のアネット・ベニングさんが存在感たっぷりに演じている。TOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)ほかで24日から公開。(文・キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。今作で、ハジくんのキビキビダンスにも衝撃を受けました!!
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