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野島伸司:希代の脚本家が語る「いいドラマ」とは? 理想と数字のはざまで10年苦悩

テレビ
連続ドラマ「アルジャーノンに花束を」のロケ現場で取材に応じた脚本家の野島伸司さん

 脚本家の野島伸司さんがこのほど、俳優の山下智久さんが主演する連続ドラマ「アルジャーノンに花束を」(TBS系)のロケ現場を訪問し、取材に応じた。野島さんは、ドラマの内容や主演の山下さんらキャストの演技を「すごくいい出来」と高く評価しつつも、視聴率が振るわないことについて「10年間ずっと苦しんできている部分」と苦笑い。そんな野島さんが考える「いいドラマ」とは?

 ◇逆風は想定内? 主演・山Pは「よくやっている」

 ドラマは、昨年死去した米作家ダニエル・キイスさんのベストセラー小説が原作で、手術によって天才的な知能を手に入れた青年の愛や憎しみ、喜びと孤独を描いている。山下さんは、年齢は28歳だが知能は6歳児並みという、知的障害があり、知的能力を向上させるため脳外科手術を受ける主人公の青年・白鳥咲人を演じている。

 野島さんは、2014年1月期に日本テレビ系で放送された連続ドラマ「明日、ママがいない」と同様に脚本監修を担当。脚本ではなく監修をする理由を「もう一つ俯瞰(ふかん)で番組を見た方がいい場合は、そういう立場をとろうと思っている。自分で書く場合はすごく狭い世界に行くので……。(脚本監修という立場は)主観と客観、両方そろえて、番組を見つめることができるんです」と明かす。

 「アルジャーノンに花束を」といえば、ここ日本でも、舞台化やドラマ化されてきた人気作。野島さんは「すごく愛されている原作でもあるので、比較も含めて、大なり小なり逆風の中で始まると想定はしていた」といい、「すべてのパーツで、いいキャスティングができたと思うし、主演の山下君も個人的にはよくやっていると思う」と高く評価。さらに「世帯視聴率は苦戦していますが、とにかく作品として『いいソフト』を残そうと、あまりそういうこと(視聴率)にとらわれずに作っていこうと頑張っているところ」と強調する。

 ◇常にターゲットは若い世代

 野島さんといえば、「高校教師」(1993年)、「未成年」(95年)、「聖者の行進」(98年)といった同局のドラマを中心に、90年代から2000年代にかけてヒット作を次々に手がけてきた“希代の脚本家”としても知られる。野島さんは「ソフトとしてクオリティーが高く、そのクール(放送期間)で消費されても、忘れられない作品。それが僕の思う『いいドラマ』」と力を込める。

 また野島さんは「ドラマの制作現場は、本当はコアターゲットといわれる若い世代に向けて誰もが作りたいと思っているんですけど、それをすると限りなく、視聴率はとれない」と現状を嘆き、「そろそろこの世帯視聴率に意味がないってことを、みんな分かってはきているとは思うんだけど……。長年の風習というか、もうちょっと時間がかかるのかな」と悩める胸の内を語った。

 かつて「テレビドラマは文化や流行の中心だった」と語る野島さんは、「若い人の心に刻むと、ずっと覚えていてくれるので、本当はそこに向けて作りたいという思いはずっとあって、その身もだえるような葛藤(かっとう)が現場にはある」と告白。さらに「年配の方でも価値観を固定しないで、素直に世界観を受け入れる方はたくさんいる」と前置きし、「やっぱり若ければ若いほど、自分を固定していない、完成していない、いろいろなものに刺激を受けやすい。そこに向けて作るのが、物作りの基本的な考え」と持論を語った。そして「今作も先入観や固定観念で避ける人もいるのだろうけど、自分を固定しないで、少しだけ扉を開いて見てほしいですね」と訴えた。

 「アルジャーノンに花束を」は、毎週金曜午後10時に放送。

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