注目映画紹介:「ラン・オールナイト」 マンネリ感ゼロのリーアム・ニーソン主演アクション

映画「ラン・オールナイト」のワンシーン  (C)2015 WARNER BROS.ENT.ALL RIGHTS RESERVED
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映画「ラン・オールナイト」のワンシーン  (C)2015 WARNER BROS.ENT.ALL RIGHTS RESERVED

 リーアム・ニーソンさんの主演映画「ラン・オールナイト」(ジャウム・コレット・セラ監督)が16日から全国で公開される。「アンノウン」(2011年)や「フライト・ゲーム」(14年)など、心理描写に重きを置く作品を作ってきたコレット・セラ監督だが、今回はバランスをとり、大掛かりなカーチェイスや銃撃戦を要所、要所で入れ込み、スピード感重視の最後まで目が離せない作品に仕上げている。

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 ニューヨークを牛耳るマフィアのボス、ショーン(エド・ハリスさん)の元で、長く殺し屋として働いてきたジミー(ニーソンさん)。そんなジミーを息子のマイク(ジョエル・キナマンさん)は嫌っていた。ある日、マイクはショーンの息子ダニー(ボイド・ホルブルックさん)が殺人を犯す現場を目撃してしまう。マイクの身が危ないことを知ったジミーはマイクの元に向かい、あろうことかダニーを射殺してしまう。それによってジミーとマイクは、ショーンに命を狙われることになってしまう……という展開。

 コレット・セラ監督とアクション映画。その“相性の悪さ”を見る前は懸念したが、それはあっさり覆された。ニューヨークの摩天楼を効果的に切り取るカメラワークで、物語は緊張感に富んでおり、あれよあれよという間に進んでいく。一方で、息子の不祥事によって袂(たもと)を分かつことになってしまったショーンとジミーという親友同士の2人。息子を守りたい一心で自らが矢面に立つジミー、父を憎み、その姿を反面教師として成長しながらも、知ってか知らずか父と同じ言葉を愛する家族に掛けているマイク……彼らがそれぞれに抱える葛藤が物語の合間に見え隠れすることで、単なるアクション重視の映画にとどまらない作品になっている。脇役も脇役、ジミーの兄(ニック・ノルティさん)の登場のさせ方にも、心理描写を得意とするコレット・セラ監督らしさがのぞく。アクション映画が続いているニーソンさんだが、今回は飲んだくれの殺し屋という、「96時間」シリーズとはまた違う父親を演じており 、決してマンネリに陥っていない点もアピールしておきたい。16日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)

 <プロフィル>

 りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。

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