菊地凛子:母親役に「恐怖だった」

WOWOWの連続ドラマ「夢を与える」で母親役を演じた菊地凛子さん
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WOWOWの連続ドラマ「夢を与える」で母親役を演じた菊地凛子さん

 2004年に「蹴りたい背中」で芥川賞を受賞した綿谷りささんの小説をドラマ化したWOWOWの連続ドラマW「夢を与える」が16日からスタートする。女優の小松菜奈さん演じる主人公の母親役で、小松さんとダブル主演を務めるのは女優の菊地凛子さんだ。「これだけ大きい女の子のいる母親役は初めて。やってみてどうなのか恐怖でした」と語る菊地さんに話を聞いた。

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 子役で芸能界入りした主人公・夕子(小松さん)は、成長して芸能界で大ブレークを果たすが、世間に作り出されたイメージと自分自身のギャップに強い違和感を覚え、やがてスキャンダルに巻き込まれ、失墜していく。劇中では、芸能プロダクションやCMクライアント、広告代理店、テレビ局の人々の欲望、友情、恋愛、裏切り……そして母と娘の葛藤も描かれていく。

 菊地さんが演じるのは元モデルで、芸能界入りさせた娘に過剰な思い入れを持つ母親・幹子。映画「バベル」でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされ、「パシフィック・リム」にも出演するなどハリウッドでも活躍する菊地さんだが、「これだけ大きい女の子のいる役は初めてでしたし、33歳から48歳という役どころも初めてだったので、やってみてどうなのか恐怖でした」と当初は不安があったと明かす。

 自らの役どころについて「娘に対する愛情が強くて、夢を押しつけるというか、自分のことしか考えていない。共感できる役じゃない」と語る菊地さん。「見ている人は、この人と気持ちがリンクするなって時間はほとんどない。娘を追い込んでいく、ある種否定されるような役どころ」と語りながらも、「なかなかできない役。ざらざらとした母親のいやらしさというのは、やっていて面白かった」と振り返る。

 娘役の小松さんとは初共演。「最初はすごく秘めている、静かな感じだったんですけど、集中するとワーッと出す力のある人。やっていて非常に面白かった」と印象を語り、「いろいろちょっかい出して楽しかった(笑い)。私がちょっかいを出して、すごい突っ込まれる。彼女の方がしっかりしていて、面白かったですよ」といたずらっぽく笑う。

 「ドラマ自体は一方通行の愛情、(母と娘で)お互い全然向き合ってない。最初は温かいところにある親子が、何かが掛け違っていくと、どんどん違う方向に行って、愛情が精神的暴力に変わっていく。人って何か掛け違えると何か大きなことに発展していくんじゃないかと感じた」という菊地さん。

 「自分がよかれと思ってやったことが、娘にとってもよいだろうっていうのは母親のエゴ。一方通行ですよね。それって親子間でなくても起こりうることだと思いますけど、親子だから面白いと思った。そこに人間の悲しさがすごく出ているなと思いますし、それがまた、女性同士というのが良いなと思いましたね」とドラマの魅力を語っていた。

 連続ドラマW「夢を与える」は、菊地さん、小松さんのほか、オダギリジョーさん、真剣佑さん、濱田龍臣さん、夏帆さんらも出演し、16日からWOWOWプライムで毎週土曜午後10時放送。全4回で初回は無料放送。

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