宮野真守:「新劇場版 頭文字D Legend2-闘走-」を語る 新キャストから“助け舟”

「新劇場版 頭文字D Legend2-闘走-」で藤原拓海の声を担当した宮野真守さん
1 / 7
「新劇場版 頭文字D Legend2-闘走-」で藤原拓海の声を担当した宮野真守さん

しげの秀一さんの人気マンガ「頭文字D」を新たに劇場版アニメ化した「新劇場版 頭文字D Legend2-闘走-」(日高政光総監督、中智仁監督)が23日に公開された。映像や音響、キャストなどを一新した新3部作の第2弾。謎の天才ドライバーとして多くの走り屋たちから注目を集める存在になった主人公の藤原拓海が、新たな勝負に挑む姿が描かれる。拓海を演じた宮野真守さんに、3部作の2作目を迎えた心境や現場の雰囲気、見どころについて聞いた。

ウナギノボリ

◇拓海の成長が随所に感じられる

昨年公開された第1弾「新劇場版 頭文字D Legend1-覚醒-」について、「たくさんの方に見ていただけて、いろんな声が届きました」と宮野さんは振り返る。さまざまな声の中には「『車に詳しくはないけど面白かった』『物語としてあっという間に見てしまった』と言ってもらえてうれしかった」と喜び、「新たな映像技術を駆使したりと、エンタメ作品としてはすごいものだと思うので、いろんな層にいろんな形で刺さったんだなと感じました」と前作の反響を明かす。

高橋啓介との勝負を制したことで走り屋たちの注目の的になった拓海。「走ることに関しての認識が少し変わったのが『覚醒』」と切り出し、「勝負や勝ち負けに対してはまだ熱血ではないですが、今作では自分が走るということに対しての興味だったり好奇心はものすごく湧いてきている印象を受けた」と拓海の変化を語る。そして、「バトルに直面したときの拓海の心境には成長が見られる部分が端々にあるので、楽しんでもらえるのでは」と拓海の成長をアピールする。

変わりつつある拓海を演じるにあたり、「表現の仕方は僕の中でもいろいろと思うところがあり、拓海がどういうときに感情が爆発するのかをすごく意識した」と宮野さん。「拓海の怒りや感情の起伏には、自分のことよりも誰かのために怒るとか、仲間が関わっている」と分析し、「本人が嫌だと思う部分もあるけど、友達や仲間がバカにされたり、車を乱暴に扱われたりといった自分の周りに対することが侵されたとき、彼の心がものすごく動くと今回は感じました」と説明する。

◇新キャストに“助け舟”を出される

今作では諏訪部順一さんが声を担当した中里毅や、阪口周平さん声を担当する庄司慎吾など「妙義ナイトキッズ」との勝負が展開される。新キャラクターも登場する中、「相変わらず男ばかりの現場だった」と笑う宮野さんだが、「すでにチーム感というものがアフレコ現場では感じられた」という。「新しい敵キャラとかいろいろ新キャラが増えたりするので、(元からいるキャストの)僕らはもう先輩になる部分もあったりとかして、そういう意味では面白い空気感でした」と振り返る。

現場には新たなキャストが加わった効果を、「阪口さんが慎吾役でいらっしゃって、ものすごくありがたかったのが車に詳しかったこと」だといい、「現場で車に関してハテナ(疑問点)が出たときに助け舟を出してもらったりした」と明かし、「新しく来た方に助け舟を出してもらうという、すごく温かい現場でした(笑い)」と雰囲気のよさを感じさせた。

中里や庄司とのバトルについては、「拓海の中で中里戦はワクワク」と切り出し、「やってみたいとか走ってみたいという気持ちや、すごいと言われているやつに挑戦したというワクワクがあり、慎吾との戦いではベクトルがまた全然違うところにあったりする」と心情を解説。「全然タイプが違うというか、質感の違うバトルが行われるので、拓海の気持ちはいろいろと動くと言いましたが、映画的にも見応えのあるバトルが繰り広げられていると思います」と胸を張る。

◇高校生活に熱くなっていた宮野

車同士の勝負や拓海の感情など随所に熱さが感じられる物語だが、演じていて「熱を帯びる方向がまた全然違った」と感じた宮野さんは、「走りに行けなくてベッドの上でメラメラしているけど、その熱がずっと奥底でじりじりと渦巻いているようなものも熱かった」と中里戦を表現。さらに慎吾戦について、「完全にカチンときてしまったときの熱さで全然違う」と言い、「1本の作品の中でいろんな熱さを描いているところが、すごく面白かった」と語る。

宮野さん自身、拓海と同じ高校生の頃は「謳歌しようと思って高校生活に熱くなっていました(笑い)」と話す。「いろんな行事があると必ず率先して参加して、気付けばステージの上にいるみたいな(笑い)。どんな行事でもステージの上で何かバカなことをやっていて、そんなことばかりでした」と思い出話を披露。

やりたいことが見つからない拓海とは正反対のような感じだが、「方向性は違うかもしれないけれど、(熱さを)内包しているところなどは共感するところがあり、そんなに変わっているとは思わない」という。そして、「好きなことがいつの間にか自分の中にあり、それがいつの間にか燃え上がり、燃え上がったときにそれを隠さずにやってみたりするところは、やっぱり青春だなと思います」と言ってほほ笑む。

◇魅力が盛りだくさんと自信

バトルシーンだけでなく、拓海と武内樹(声・白石稔さん)や茂木なつき(声・内田真礼さん)との高校生らしいやり取りなども魅力だ。「なつきとのエピソードはほとんど描かれていない」と残念そうに語るも、「そんなに気落ちする必要はないです」と宮野さん。「なつきちゃんはサービス精神旺盛で、ちゃんと世の男子に向けて、なつきちゃんがすごく可愛く描かれる瞬間がありますので、楽しみにしておいていただければ」とちゃめっ気たっぷりに言い、「いきなり車は関係なくなります(笑い)」と笑顔を見せる。

「エンタメとしていろんな要素を組み込んでいるというのが素晴らしい」と作品の完成度に自信をのぞかせ、「バトルだけではなく、親父(おやじ)とのあり方だったり、仲間との心のやり取りや絆、成長といった人間ドラマなど、いろんなものが描かれているので見どころはいっぱいあります」と説明。「もし車を全然知らなかったとしても、キャラクターたちの個性に引かれると思いますし、そうこうしているうちにド迫力の映像に魅了されてしまうのでは」と誰もが楽しめる作品であることを力説する。

今作の見どころを「『覚醒』から得たものや経験もあり、今作の盛りだくさん感はすごい」と切り出し、「カッコいいバトルがたくさんあったり、魅力的なキャラクターがいっぱい出たり、その中で流れていく人間ドラマも盛りだくさん」と解説。「自信を持ってお届けできる作品になっていますし、『新劇場版 頭文字D』のとりこになること間違いなしなので、ぜひ劇場に足を運んでいただけたらなと思います」とメッセージを送った。新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。

<プロフィル>

1983年6月8日生まれ、埼玉県出身。小学生時代から劇団に所属し、主に舞台などで活動。声優としての活動に加え、歌手活動も行い、2015年4月には12枚目のシングル「シャイン」を発売。声優としての出演作は「DEATH NOTE」の夜神月役、「機動戦士ガンダム00」の刹那・F・セイエイ役、「ウルトラシリーズ」のウルトラマンゼロの声、「ポケットモンスター ベストウイッシュ」のデント役など。7月公開の劇場版アニメ「ミニオンズ」の日本語吹き替え版に出演が決定している。

写真を見る全 7 枚

アニメ 最新記事