累計220万部を超えるマンガが原作のアニメ「山田くんと7人の魔女」のエンディングテーマ「CANDY MAGIC」を、同作に声優として出演するタカオユキさんのユニット「みみめめMIMI」が担当している。「山女」(「山田くんと7人の魔女」の略称)への愛をたっぷりと詰め込んだ楽曲について、6月10日発売のシングルについてタカオさんに話を聞いた。
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――これまでジャケット写真やアーティスト写真、ミュージックビデオ(MV)など、ビジュアルはすべてイラストでしたが、今回からタカオさんの写真が使われていて。みみめめMIMIのボーカル=タカオユキさんが表れたものになりましたね。
以前は、ビジュアルはすべてイラストで、ライブでは私が前面に立って歌うという、どこかちぐはぐしたものでした。今回は「CANDY MAGIC」という一つの世界観を、一貫したイメージで表現したいと思って、曲、MV、ジャケ写、アー写(アーティスト写真)、ライブと、すべてを同じ世界観で貫いたものになっています。衣装も、みみめめMIMI盤のイラストのミミちゃんとおそろいで、統一感を持たせています。自分の写真がジャケットなどになるのは、最初はちょっと照れくささもありましたけど、思い切ってチャレンジしました!
――「CANDY MAGIC」は「山田くんと7人の魔女」のエンディングテーマとして話題ですが、どんなイメージで作りましたか。
もともと原作のマンガが好きで読んでいたので、決まったときはめちゃめちゃうれしかったです! 「山女」って、魔女の能力はもちろんですけど、登場人物全員がすごく青春しているところが魅力だと思って。その青春という部分にスポットを当てて曲作りをしました。特に歌詞は、主人公の白石うららちゃんになったつもりで、妄想して書いています。歌詞の中に、あめ玉の包み紙に好きと書いて、ポケットに入れておまじないにするという描写があって。これは実際にそういうシーンがあるわけではなくて、私の「山女」好きが生んだ妄想シーンなんです(笑い)。うららちゃんならきっとこういうことをやるんじゃないかなって。ほかにも、私の「山女」愛が、歌詞のいたるところで感じていただけると思います。
――「CANDY MAGIC」というタイトルですが、どうしてキャンディに例えようとしたのですか。
今回制作する上で、テーマが三つありました。さきほど話した青春が一つ。もう一つは、時間の尊さです。キャンディは、眺めているだけなら永遠だけど、なめるといずれ溶けてなくなってしまう。でもなめなければ、甘さは感じられない。それが、学生時代という短い期間だからこそ輝ける青春とか、人生における時間の大切さと似ていると思ったので、キャンディに例えました。
そして最後の一つは、ライブ活動を行うようになって実感した、ファンのみなさんの存在です。歌詞は、キミとボクという2人の物語になっていて、「山女」であればうららちゃんと山田くん、聴いてくださる人にとっては、自分と大切な人。私の場合、私と「みみめめMIMI」を支えてくれている一人一人のことを例えています。
――三つのテーマを一つの曲に落とし込むのは時間がかかったのでは?
かかりました。私自身、永遠にCDを出し続けることはできないからこそ、1枚1枚にその時の渾身(こんしん)の楽曲にしたいと思って、最後の最後まで悩み、レコーディングの当日に歌詞を変えた部分もあります。悔いが残らないように、これでいいのか、本当にいいのか、と何度も自分に問いかけて作りました。
――ちなみにこのキャンディは、レモンとかオレンジとか、何味のキャンディかイメージはありますか。
琥珀(こはく)色のはちみつっぽい味ですね。実は、作詞の作業のときも、実際にひたすらあめ玉をなめながら書いたんです。もともとあめ玉がめっちゃ好きで、常にカバンに入れています。関西のおばちゃんがあめを配ったりしますよね、私は地元が神戸なのでその風習がうつったのかも(笑い)。それに声優なので、アフレコ収録の前とかは、必ずなめていますね。
最近のお気に入りは「Ricola(リコラ)」というハーブキャンディです。なかなか売ってないので、見つけたら大人買いです(笑い)。
――サウンド面では、ピアノとストリングスがメインになっていて、実にポップでキャッチーな楽曲になりました。
普遍的に何年も聴いてもらえる曲にしたいと思って、聴きやすくて切なさもありながら、最終的に前向きになれるアレンジを考えました。ピアノは私が弾いているのですが、間奏のソロがめちゃ難しくて大変でした。フレーズは自分で考えたので、自分で自分の首を絞めたようなものなのですけど(笑い)。
――ピアノといえば、カップリングには「サヨナラ嘘ツキ~Piano Version~」を収録。こちらは渾身の弾き語りで、聴き応えがあるものになっていますね。
これも自分でピアノを弾いていますし、歌も新しく録(と)り直しています。「サヨナラ嘘ツキ」はライブで毎回盛り上がるので、私の中で特別な存在です。既発表曲のピアノバージョンというと、おまけっぽく思われそうですけど、絶対におまけにならないようにこだわって作りました。歌もうまさは意識せず、ライブをイメージして録ったので、声が荒ぶっているような感じで、ライブを想像してもらえると思います。あと、コーラスワークも自分で考えて収録したので、新曲のつもりで聴いていただけたらうれしいです。個人的には、これもA面にしていいくらいの、新しい「サヨナラ嘘ツキ」になったと思います。
――そして、6月7日と6月28日に、ワンマンライブ「CANDY MAGIC SHOW~梅雨だけど雨じゃなくて飴を降らせまSHOW!~」を開催します。
昨年6月の初ワンマンは、初めて顔出しをしたライブで、喜びも大きかったし、忘れられない一夜になりました。でも同時に、悔しさも残るものでした。あとで思い返すと、すごく独りよがりだったと思って。本当の意味でお客さんに届けるという部分が、実力不足だったところがあった。言ってみれば、私の気持ちだけが空回りした、片思いのようなライブだったと思います。
それから1年、さまざまなイベントに出演させていただくなど、たくさんライブを経験させていただき、「視聴覚アカデミー」という自主企画ライブもやらせていただいて。この1年の経験を生かして、悔いが残らないように、みんなと両思いになれる最高のライブにしたいと思っています。
<プロフィル>
シンガー・ソングライターのタカオユキさんと、イラストレーターのちゃもーいさんで結成。2013年にアニメ「君のいる町」のオープニングテーマ曲「センチメンタルラブ」でデビュー。タカオさんは声優としても活動し、アニメ「山田くんと7人の魔女」にも猿島マリア役で出演中。
*……6月7日に大阪・梅田Shangri‐La、6月28日に東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEで、ライブ「CANDY MAGIC SHOW~梅雨だけど雨じゃなくて飴を降らせまSHOW!~」を開催。6月27日には東京・cube gardenで開催の「mount Alive presents“NO BORDER 3”に出演、7月20日には東京・草月ホールで開催の「ANI‐CUBE002」に出演する。
(インタビュー・文・撮影:榑林史章)