テレビ質問状:「ウクライナ 流浪のフットボール~紛争に揺れる名門クラブの苦闘」強豪の苦闘

ウクライナリーグで9回の優勝を誇る強豪シャフタール・ドネツク 写真:AP/アフロ
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ウクライナリーグで9回の優勝を誇る強豪シャフタール・ドネツク 写真:AP/アフロ

 WOWOWは毎週土曜午後1時に「WOWOWオリジナルドキュメンタリー」枠として、「ノンフィクションW」と「国際共同制作プロジェクト」の2番組を両輪に、国内外のさまざまなテーマを扱ったオリジナルのドキュメンタリー番組を放送している。7月4日に放送される「ノンフィクションW ウクライナ 流浪のフットボール~紛争に揺れる名門クラブの苦闘~」のプロデューサーを務めたWOWOWの制作局制作部の古谷秀樹さんと曽山睦子さんに、番組の魅力を聞いた。

ウナギノボリ

 --番組の概要と魅力は?

 サッカーにとって絶対的なアドバンテージを持つホームゲーム。しかし今、その機会を奪われたチームがあります。ウクライナリーグで9回の優勝を誇る強豪シャフタール・ドネツク。チームは、昨年春から激化するウクライナ東部の紛争によって故郷ドネツクから1000キロ離れた街リビフに避難、クラブ創立80年の中で最も苦しいシーズンとなりました。故郷に残してきたサポーターや、貧しい避難生活の中にあっても、試合に駆け付けるサポーターの思いを胸に、今季最終戦に挑む選手たち。選手とサポーターの姿を通して、サッカーという競技が人々にもたらす力と、世界中で愛される理由を掘り下げていきます。

 --今回のテーマを取り上げたきっかけと理由は?

 シャフタール・ドネツクほどの強豪チームが、ホームタウンから逃れ、避難先でシーズンを戦っていると聞いたときは大きな驚きを覚えました。日ごろからウクライナ東部の紛争についてのニュースに耳を傾けていましたが、それがスポーツなどのエンターテインメントにどのような影響を与えているのか……。エンターテインメントを題材とする「ノンフィクションW」として、ぜひ追ってみたい題材だと考えました。

 --制作中、一番に心掛けたことは?

 ウクライナの首都・キエフでの反政権デモ隊と治安部隊との衝突に端を発した紛争は、ウクライナ東部で激化、今回取材したシャフタール・ドネツクの本拠地での取材はほとんど不可能な状況です。ドキュメンタリー番組として、紛争に翻弄(ほんろう)されるチームとサポーターの置かれた現状をどのような形で伝えられるのか、どこまで踏み込んでいけるのか……現地取材に赴いたスタッフは、日本にいては計り知ることのできなかった状況の中で生きる人々のさまざまな思いをくみ取ってきました。

 突然巻き込まれた紛争に急きょ故郷をあとにし、いつ戻れるかも分からない不安と悲しみの中にあっても、前向きに生きていこうとする人々の強さや、胸の内を感じ取ってもらえればと思います。

 --番組の見どころを教えてください。

 シャフタール・ドネツクのチーム名の「シャフタール」は「炭鉱夫」を意味します。

 炭鉱業が発展を支えた街で1936年に結成され、硬い岩盤に立ち向かう炭鉱夫たちのように勇敢なチームに育つようにと名付けられたチーム。選手たちは、仮の本拠地でのホームゲームであるにもかかわらずアウェー状態で戦う中にあっても、最終戦まで決してあきらめることなく挑み続けます。そして、サポーターもまた彼らの頑張る姿に一筋の光を見いだして、出口の見えない避難生活を乗り越えようとしています。選手とサポーターの誇り高き姿と心の交流を感じてもらえればと思います。

 --視聴者へ一言お願いします。

 サッカーに興味がある・なしにかかわらず、頑張る姿が見る人を元気にし、その元気な笑顔がまた闘う人の力になっていることを感じてもらえればと思います。

 WOWOW 制作局制作部 プロデューサー 古谷秀樹・曽山睦子

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