GOTHAM/ゴッサム:来日キャスト4人がシーズン1の見どころ語る「ゴッサムはNYのパラレルワールド」

ゴードン役のベン・マッケンジーさん
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ゴードン役のベン・マッケンジーさん

 映画「バッドマン ビギンズ」(2005年)に登場したジェームズ・ゴードン警部補の若き日を描いた米テレビシリーズ「GOTHAM/ゴッサム」が、海外ドラマ専門チャンネル「AXN」で放送中だ。22日からはDVDとデジタルのレンタルも開始される。腐敗がはびこるゴッサム・シティを舞台に、新米刑事ゴードンが凶悪犯罪に立ち向かう姿と、のちに“バットマン”となるブルース・ウェイン少年との交流を描いていく。今作のPRのために、ジェームズ・ゴードン役のベン・マッケンジーさん、オズワルド・“ペンギン”・コブルポット役のロビン・ロード・テイラーさん、科学捜査官エドワード・ニグマ役のコリー・マイケル・スミスさん、そしてウェイン少年(デビッド・マズーズさん)に仕える執事アルフレッド・ペニーワース役のショーン・パートウィーさんがこのほど来日。4人にシーズン1の見どころなどを聞いた。

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 ◇ゲイリー・オールドマンには勝てっこない

 ジェームズ・ゴードンといえば、「バッドマン ビギンズ」以降、クリストファー・ノーラン監督版の3部作でゲイリー・オールドマンさんが演じたキャラクターが思い起こされる。しかし演じるマッケンジーさんは、「ゲイリー・オールドマンは素晴らしいベテラン俳優。勝負をしようとしてもまったく勝ち目がない」と認めた上で、「同じ役ではあるけれど、僕が演じるのは20~30年前のジェームズ・ゴードン。比べようがないと思っている」と正直な気持ちを打ち明ける。

 エドワード役のスミスさんも、過去に登場した同じキャラクターを「まったく意識していない」と言い切る。その証拠に、これまで映像化されてきた「バットマン」は、映画も60年代のテレビシリーズも「世界観が違うから」と見ないようにし、代わりに「違う時代のコミックスを読みあさった」という。

 ◇ファンの声に戸惑い

 キャスティングされてからは過去の作品は「見ないようにはしていたが、もともと見ていた」というアルフレッド役のパートウィーさんは、「自分なりのアルフレッド像を模索することを心掛け」つつ、ティム・バートン監督やジョエル・シューマカー監督による「バットマン」シリーズでマイケル・ガフさんが演じた「とても温かみのある愛情あふれる」バージョンと、ノーラン監督版でマイケル・ケインさんが演じた、「ブルースと同胞のような率直な物言いや立ち振る舞い」のアルフレッドの要素は、「リスペクトを感じているから、これから少しずつ出していきたい」と話す。

 一方、自身のキャラクターに対する世間からの「クール」や「最高」とたたえる声に戸惑いを隠せないのは、“ペンギン”役のテイラーさんだ。「ペンギンの行動は、決して喜びたたえるべきものではないと思っています」と言い、「世の中では、命を軽んじるような事件が起きがちだけど、僕自身は、自分の中で納得し、消化し、バランスを取りながら演じていくしかないのかなと思っています」と複雑な心の内をのぞかせた。

 ◇ゴッサムが人々を形成する

 舞台となるゴッサム・シティもまた、今作では重要な“キャラクター”だ。腐敗がはびこる街ではあるが、誰もが知る大都市の要素を持ち、だからこそ親近感があり、パートウィーさんの言葉を借りるなら、「グリム童話と(ニューヨークを舞台にした)『タクシードライバー』(1976年)にちょっと色彩が足されている街」だ。

 モデルになっているのは米ニューヨークのマンハッタン。プロデューサーのブルーノ・ヘラーさんによると、時代は70年代から80年代をイメージしているそうだが厳密な設定はなく、実際に撮影はニューヨークで行われた。その点で「パラレルワールドというものがあるなら、ニューヨークの対となる街がゴッサムだと思う」というテイラーさんの指摘は理にかなっている。

 また、スミスさんは、自身が演じるエドワードが変化を遂げていく要因にはゴッサム・シティが「強く影響している」と分析。テイラーさんも、今作のタイトルが「ゴッサム」であることに着目し、「ニューヨークが持つエネルギーやテイストがニューヨーカーを作っている。同様にこの街もまた、そこで暮らす人々を形成している」と、スミスさんの言葉をあと押しした。

 ◇過去の片鱗がうかがえるエピソード

 22日から、DVDとデジタルのレンタルが開始された。そこで4人に、自分が演じるキャラクターに成り代わって印象深いエピソードを紹介してもらった。するとマッケンジーさんは、8話「仮面に隠された狂気」を挙げ、そこで繰り広げられる犯罪が「軍隊出身のゴードンには陳腐な模倣でしかなく、とても腹を立てる」こと、それによってゴードンが「いかに軍隊的な精神を大切にしているかということが見えてくる」と解説。

 同じく、キャラクターの過去の片鱗(りん)をうかがわせるエピソードを挙げたのは、パートウィーさん。10話「幼き逃亡者」では、アルフレッドが「元軍人であった」こと、「コックニー(ロンドンの下町言葉)を話す彼が、なぜゴッサム一の金持ちに執事として雇われたのか」がわずかだが明かされるという。また17話「レッドフード」は、ロイヤル・シェークスピア・カンパニー時代の仲間、デビッド・オハラさんが昔の軍隊仲間役で登場し、アルフレッドのダークな部分やブルースとの絆の強さをうかがわせる内容になっているといい、「とても誇りに思っているエピソード」と感慨深げに話した。

 ◇最終話に向け変化していくそれぞれの人格

 一方、人格の変化が見えるエピソードを挙げたのは、スミスさんとテイラーさんだ。テイラーさんは、ペンギンの「相当意外な事実が発覚」し、その狡猾(こうかつ)ぶりが際立つ7話の「ペンギンの狡計(こうけい)」を挙げ、脚本をもらった時には「ペンギンはここまで頭がよかったのかと演じる僕自身もびっくりした(笑い)」と驚いたことを打ち明ける。

 そして、20話「Under the Knife」と最終話22話「All Happy Families Are Alike」を挙げたスミスさん。その理由はネタバレになるから「言わない(笑い)」と一旦は流したものの思い直し、「一つだけ挙げるなら」と、第1話と最終話では「エドワードが全く違うキャラクターになっている」と明かした。その上でこのシリーズでは、「キャラクター全員が振り子のような変化を遂げていく」こと、キャラクターによっては「急にスピードアップして(人格が)変わっていく」ことに触れながら、自身が演じたエドワードは「最後の方に向かうあたりでトップギアに入る」と意味深な発言をし、シーズン1のフィナーレへの期待感をあおりつつ、米国で9月放送開始予定のシーズン2への布石を打つことも忘れなかった。

 <ベン・マッケンジーさんのプロフィル>

 1978年、米テキサス州生まれ。バージニア大学卒業後、俳優を目指しニューヨークに移住。テレビシリーズ「The OC」(2003~07年)のライアン役でブレーク。ほかの作品に、テレビシリーズ「サウスランド」(09~13年)、映画「88ミニッツ」(07年)などがある。

 <ロビン・ロード・テイラーさんのプロフィル>

 1978年、米アイオワ州生まれ。テレビドラマ「ウォーキング・デッド」(2010年~)や「パーソン・オブ・インタレスト」(11年~)、「グッドワイフ」(09年~)などの人気シリーズに多数出演。日本公開作に「処刑教室」(08年)がある。

 <ショーン・パートウィーさんのプロフィル>

 1964年、英ロンドン生まれ。ロイヤル・シェークスピア・カンパニーで演技のキャリアを積む。映画出演作に「ケミカル51」「ドッグ・ソルジャー」(ともに2002年)や、「GOAL! ゴール!」(05年)、「GOAL!2」(07年)などがある。

 <コリー・マイケル・スミスさんのプロフィル>

 1986年、米オハイオ州生まれ。2013年「ティファニーで朝食を」でブロードウエーデビュー。パトリシア・ハイスミスの小説をトッド・ヘインズ監督で映画化した「Carol(原題)」が今冬米国で公開予定。

 *……「GOTHAM/ゴッサム<ファースト・シーズン>」(2014年制作、全22話):7月22日、DVDレンタル/デジタルレンタル開始(レンタルDVD Vol.1~4(各巻2話収録)、デジタルレンタル順次配信開始▽8月12日DVDレンタル、レンタルDVD Vol.5~8 (各巻2話収録)▽9月9日DVDレンタル/ブルーレイ&DVD発売、レンタルDVD Vol.9~11 (各巻2話収録)▽コンプリート・ボックス ブルーレイディスク(4枚組み1万6200円<税抜>)▽コンプリート・ボックスDVD(11枚組み、1万4300円<税抜>)▽発売・販売元:ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント(C)2015 Warner Bros.Entertainment Inc.All rights reserved.

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