女優の高橋ひとみさんがナレーションを務めるWOWOWの番組「ノンフィクションW 暗黒のアイドル、寺山修司の彼方へ。 ~『月蝕歌劇団』30年の挑戦~」が21日に放送される。番組は故・寺山修司さんの創作活動を支えた劇作家の高取英さんが主宰する小劇団「月蝕歌劇団」の舞台制作の裏側に密着したドキュメンタリー。寺山さんの秘蔵っ子といわれるなど親交の深かった高橋さんに、寺山さんとの思い出やナレーションの感想などを聞いた。
「月蝕歌劇団」は寺山さんの取材、出版スタッフとして創作活動を支えていた高取さんが、寺山さんの薦めもあって1985年に結成した小劇団。晩年の寺山さんの舞台に出演するなど親交が深かった高橋さんは、同劇団に密着したドキュメンタリーでナレーションを務めることについて「劇団(月蝕歌劇団)に入っていたわけではないので、いいのかしらと。でも、お話をいただいて光栄でした」と心境を明かす。
ナレーションの収録中は、寺山さんの舞台に出演していた当時を思い出し懐かしさがこみあげることもあったという。高橋さんは「(番組で)高取さんが『未完成のものが好きだ』とおっしゃっていたけれど、ああよく分かるな、と。未完成さの魅力がすごく伝わってきて。自分たちで全部を作り上げる、というのが懐かしいなと思いました」と振り返る。
「月蝕歌劇団」の役者は若い女性が多い。高橋さんはそういった若い人たちが寺山作品を演じることについて「アングラ(アンダーグラウンド)というのが、若い女の子たちにどういうふうにとらえられているのか不思議なんですけど……」と前置きし、「私のとき(時代)は全然ですよ、何も分からない。もし今、私が高校生だったらホリプロスカウトキャラバンとか、そういう方に行くんじゃないかと思うんだけど」と笑いつつ、「(だから)あえてここ(月蝕歌劇団)に来る、というのは本当の演劇少女だと思います」と目を細める。寺山作品は難解なイメージもあるが、高橋さんは「私も分からないですけれど、感覚で分かればいいのかなって。好きか嫌いか、でいいのかなと。それでも、毎年のように大きな舞台で上演されるということがすごい」と語る。
「今があるのは先生(寺山さん)のお陰」という高橋さん。寺山さんからは大きな影響を受けたが、「5カ条」というのもその一つだ。高橋さんの初舞台公演の初日、寺山さんからスクラップブックをもらった。開くと、そこには新しい詩やけいこ風景の写真などが収められており、その中に「うまくなるな」や「いいライバルを見つけろ」などの文言が書かれていたという。「『うまくなるな』は、小器用になるな、ということだと思うんですけれど。当時はよし、と思いましたけど、今では『やっぱりうまい方がいいな』って(笑い)」と楽しそうに思い出を語る。
多感な時期の、何も分からない真っさらな状態で寺山さんの舞台に飛び込んだ高橋さん。もちろん、寺山さんという存在の大きさや価値もよく分かっていなかったが、むしろそういう部分が面白がられた、と高橋さんは話す。高橋さんが19歳で自動車の免許を取得したときのこと。「先生が(車に立てる)旗に詩を書いてあげるといったとき、私が『いらない、そんなカッコ悪いの』と返したら、高取さんが『なんてもったいないこというんだ、書いてもらえ、書いてもらえ』と(笑い)」とエピソードを披露し、「寺山さんの価値が全然分かってない私がそばにいるのが(寺山さんは)面白かったんだと思います」と当時を振り返る。
高橋さんにとって、寺山修司とはどのような存在だったのか、と聞くと、「親以上。私が21歳のときに亡くなって、たった3年(の付き合い)なのに、その後の三十何年間の人生より濃かった」という回答が返ってきた。高橋さんは「あんなに見返りのない、無償の愛というか……。あそこまで大きな愛はなかなかなかった」としみじみ語る。
今年は寺山修司の生誕80周年。長い月日がたった今も、寺山作品が上演され続けていることについて高橋さんは「(寺山作品は)別世界。現実から異次元な世界に連れて行ってくれるような、怖いんだけれど見たい、というようなもの。だから今でもこうして上演され続けているのだと思う」と魅力を語る。自身の出発点でもある“アングラ”の舞台については「今でもこうやって脈々と続いているんだと思うとうれしい」と笑顔で語った。「ノンフィクションW 暗黒のアイドル、寺山修司の彼方へ。 ~『月蝕歌劇団』30年の挑戦~」は21日午後1時からWOWOWプライムで放送。
◇プロフィル
1961年8月生まれ、東京都出身。83年、金曜ドラマ「ふぞろいの林檎たち」や「適齢期」、「男と女ニューヨーク恋物2」など映画、ドラマに多数出演。12月26日放送のWOWOWのドラマW「山のトムさん」などに出演予定。
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