M-1グランプリ2024 決勝戦
決勝戦 FIRST ROUND 前半戦 1~5組目
12月22日(日)放送分
テレビ東京の人気旅バラエティー番組を映画化した「ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE」が13日に公開された。「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」は、俳優の太川陽介さんとマンガ家の蛭子能収さんのコンビにマドンナ(女性ゲスト)1人を加えた3人が、路線バスを乗り継ぎ3泊4日で目的地を目指す人気の旅バラエティー番組。マドンナに三船美佳さんを迎え、番組初の海外・台湾で“バス旅”に挑んだ映画について、太川さん、蛭子さん、三船さんの3人に話を聞いた。
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番組の映画化の話を聞いたときのことを、「映画にしてお客さんが入るのかなというのは心配しました。映画は1800円払うわけですから、そこまで払ってまで見に来る魅力はあるのかなと(笑い)」と蛭子さんが振り返ると、太川さんも「何を考えているの? というのが最初の一言で、1000円にしようとかも言っていました」といって笑う。
旅の心配よりも、観客が見に来てくれるかが心配だったと話す太川さんと蛭子さんだが、「お客さんが見に来てくれるのかと思いましたが、いろんなところにイベントで行くと“バス旅”のファンが多い。番組ファンの人は独特な盛り上がり方をするし、(東京の)代々木でイベントをやったときも入り切らなかったほどで、もしかしたら(番組は)相当見てもらえるのかなと」と太川さんが期待を口にすると、蛭子さんも「完成した映画を見たら、これだったら1800円を払ってもいいかなと思いました」と自信をのぞかせる。
番組ファンについて、「幅は広く、事務所に来る手紙は5~6歳の子からもあるし、中には正解のルートを自分で調べて送ってくる人もいる」と太川さん。続けて、「違う旅番組でいろんなところに行っても、『蛭子さんはいないんですか?』と聞かれちゃう(笑い)」と同番組の人気を表すエピソードを語る。
番組初参加が海外ロケとなった今回のマドンナ・三船さん。「“バス旅”にはいつか出たいなと思っていましたが、実際に今までマドンナで“参戦”された方々から……」と切り出すと、「“参戦”っていいね(笑い)」と太川さんが指摘。三船さんと蛭子さんも思わず笑う。
気を取り直し、三船さんは「お話を聞いた方々からは、『あんなに過酷な番組はないからやめな!』と言われました(笑い)」と明かし、「でも、『その分得るものも感動も大きいし、(太川さんと蛭子さんの)お二人も素晴らしい』とも聞いていて、今回お話をいただいて『わあー、やった!』とすごくうれしかった」と喜んだという。その一方で、「台湾ロケで映画と聞き、私なんか(がマドンナ)で大丈夫なのか、間違えてないかを何回も確認してしまいました(笑い)」と三船さんは自虐的に語る。
打ち合わせが印象に残っているという三船さんは、「初めて打ち合わせで渡されたのは、行きと帰りのフライト時間とざっくりとした台湾の地図だけで、『これだけ?』と思った」と驚き、「太川さんは別に気にするそぶりも見せなかったので、これがいつものスタイルなんだというのが衝撃でした」と振り返る。
ゆるさを感じさせながらもガチンコ感満載のルールが魅力の“バス旅”だが、海外ロケでも「変わったのはカメラが(高画質の)4Kになっただけ(笑い)。スタッフの人数も含め普段のテレビ(撮影)と一緒で、誰の肩にも力が入っていない」と太川さん。続けて、「肩に力を入れてもこの番組はだめだし、どうなるか誰も分からないから面白いものが落ちているのを期待するぐらいと、普段通りやっていました」と、いつも通りだったことを強調する。
“通常運転”で撮影が進んだという今作だが、「映画だから、もうちょっと小籠包(ショーロンポー)とかタピオカを食べられるのかと思ったのに……」と三船さんは残念そうな表情を見せると、「200円のラーメンとかだった」と太川さんも食事内容の一端を明かす。さらに、「あと20円の水餃子とかも食べましたが、おいしかった!」と三船さんが続けると、太川さんは「台湾の人たちが日常的に食べている料理を食べられたから、台湾にちゃんと触れられた」としみじみと振り返る。
映画では台湾バナナを食べるシーンがあり、もともとは「蛭子さんがバナナが食べたい」と言ったことがきっかけだと太川さんは説明するが、「食べたっけ? 多分食べたと思うけど忘れたな(笑い)」と蛭子さん。「『ヌチャヌチャしてる』って言ってました」と三船さんが助け船を出すと、「あっそうそう!」と蛭子さんは思い出し、「ネチャネチャしておいしかった」と独特の表現で台湾バナナの味を伝える。
“バス旅”では宿泊場所を探すのも見どころの一つだが、「意外と苦労した気配はなく、日本よりは簡単に取れたような気がします」と蛭子さんが言うと、「民宿に泊まることになりそうだといったら泣いていた」と太川さんから突っ込まれる。「そんなことがあったかな……思い出せない」ととぼける蛭子さんに、三船さんも「確かに泣いてました」と同意する。
太川さんが「最初に泊まるかもしれなかったところは本当にすごいところで、地図にその1軒しかなく、行ってみたら3畳ぐらいの部屋に布団が敷いてあった」と民宿の様子を説明し、「バックパッカー用の雑魚寝(ざこね)するようなところで、私は楽しそうと思ったのに2人がすっと引いてしまっているようでした」と明かして三船さんは笑う。「日本では民宿で文句を言わないけれど、(異国の地である)台湾で民宿というのは、いつも蛭子さんをなだめるけど、さすがに同じ気持ちでした(笑い)」と太川さんは弁解する。
そんな泣きそうになっていたという蛭子さんだが、宿取りでは積極的に独自の英語で話しかけている。しかし、「カードに部屋が三つあるかを聞く内容を(外国語で)書いたのに、なんで見せないで話していたの?」と太川さんが疑問をぶつけると、蛭子さんは「自分の言葉がどこまで通じるか試したかった」とひょうひょうと語り、笑いを誘う。
コミュニケーションについては英語を話せる三船さんも大活躍を見せている。「英語圏ではへたな英語でも通じるところが多かったのですが、ここまで通じないところは正直初めてだったので、ちょっとでも英語が話せる方がいると女神のように見えました」と三船さんは振り返り、「皆さん本当に親切で、たとえ言葉が通じなかったとしても一生懸命に教えてくれ、言葉の壁の大きさを体感したのと同時に、(コミュニケーションは)言葉だけじゃないということも体感できました」と実感を込める。
太川さんも「台湾の人はみんな優しい」とうなずくも、「(台湾の)バスはドアが閉まる前に走り出して、そのバスだけかなと思ったら、乗るバスみんな、ドアが閉まる前に走っちゃっうのがちょっと……」と初めての体験に戸惑ったことを告白。海外ということで太川さんにも疲労の色がうかがえたが、「(バスの中で)寝てはいないはずで、ちょっと長めに目を閉じていただけかな」と言って笑う。
映画版の見どころについて、「この路線バスはツキがある」と太川さんは切り出し、「台風という盛り上げてくれるものが襲ってきたりした」と理由を説明する。今でこそ楽しそうに話しているが、台風が直撃した現場では「もうぼう然としました」と太川さんは当時の心境を打ち明け、「今までなかったし、初めて遭遇した困難で、距離もだいぶ残っていた」と不安を隠せなかったという。「状況がよくなったら変わるのか、正直どうなるのだろうと思った」と蛭子さんも神妙に語る。
一方、三船さんは「本当に楽しかったし、仕事に関しても改めて大先輩からアドバイスしていただく時間がたっぷりある旅で、ものすごく大きいものを得ましたから、もし機会があればまた出たい」と意欲を見せ、「より多くのマドンナの方に出てほしい」とまとめるも、太川さんから「(実は)逃げてる、逃げてる(笑い)」といじられて苦笑していた。
そんな太川さんだが、「(マドンナは)みんな一応の覚悟はしてきているけれど、実際に来ると、こんなに大変なんだと驚く。この番組って想像を絶するみたい」と三船さんを気遣い、三船さんも「太川さんがいてくれたのと、あと蛭子さんの癒やしがあったから」と感謝し、「(太川さんと蛭子さんは)最強のタッグです!」と絶賛する。そして、太川さんは「究極の番組が究極の映画になりました!」とアピールした。映画は全国で公開中。
<太川陽介さんのプロフィル>
1959年1月13日生まれ、京都府出身。76年に「陽だまりの中で」でレコードデビューし、77年に発表した「Lui‐Lui」が大ヒットとなり、第19回日本レコード大賞ほか、各音楽大賞の新人賞を受賞する。その後、アイドル歌手から俳優・タレント業に転向し、現在は舞台を中心に、ラジオパーソナリティーや旅番組などで活躍している。
<蛭子能収さんのプロフィル>
1947年10月21日生まれ、長崎県出身。長崎商業高校卒業後、看板店、チリガミ交換、ダスキン配達などの職業を経て、33歳でマンガ家となり、その後テレビにも出演。現在は俳優、タレントとしても活動中。主な著作に「ひとりぼっちを笑うな」(角川新書)、「蛭子能収コレクション」(マガジン・ファイブ)などがある。
<三船美佳さんのプロフィル>
1982年9月12日生まれ、東京都出身。97年にCMでデビューし、同年、大河ドラマ「毛利元就」にも出演。バラエティー、ドラマ、CM、映画など幅広く活躍。父は俳優の故・三船敏郎さん、母は女優の喜多川美佳さん。
(インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)
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2024年12月26日 23:00時点
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