俳優の藤木直人さんと女優の多部未華子さんが24日、彩の国さいたま芸術劇場(さいたま市中央区)で25日から上演される舞台「尺には尺を」の会見に登場。肺炎による多臓器不全のため12日に死去した蜷川幸雄さんの遺作で、藤木さんは「いろいろな思いが胸の中にあるのでいっぱいいっぱいです」と話すと、「蜷川さんの思いをみんなで頑張って形にして、(天国にいる)蜷川さんに見ていただけたらなって」と目に涙を浮かべながら決意を新たにしていた。
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また、藤木さんは「けいこの途中に蜷川さんがお亡くなりになって、スタッフ、キャストは本当に衝撃を受けました」と明かすと、「今回のけいこ場に復帰するというのが蜷川さんの目標だったので、僕らも必ず帰ってくると思っていたし、帰ってきた時にはちゃんとしたものを見せたいという思いで必死に作ってきたので、それがかなわないのは残念です」と語っていた。
一方、多部さんは「蜷川さんが亡くなってからも、どこかにいるんじゃないかって。もちろん寂しいですけど、自然と近くに、そばにいるような気がしているので、大丈夫です」と気丈にコメント。2014年の舞台「わたしを離さないで」の千秋楽の際、蜷川さんに「シェークスピアをやりたい」と直談判したことも明かし、「あの時、言わなかったら、私はここにいない。蜷川さんがいらっしゃらないのは残念で悔しいですけど、蜷川組の方々と蜷川さんの話をしながら毎日過ごしています」とけいこの日々を振り返っていた。
「尺には尺を」は、蜷川さん演出・監修のもとシェークスピア戯曲全37作品の上演を目指し、1998年にスタートした「彩の国シェイクスピア・シリーズ」の第32弾。ウィーンを舞台に個性的で魅力的なキャラクターが織りなす“ホロ苦い喜劇”で、公爵のヴィンセンショーを辻萬長さん、ヴィンセンショーから領地での全権を委任されるアンジェロを藤木さん、アンジェロに恋心を寄せられるイザベラを多部さんが演じる。舞台は蜷川さんの演出プランをもとに美術、衣装を作製し、蜷川さんに代わって演出補佐の井上尊晶さんがけいこをつけた。
舞台は同所で25日~6月11日まで上演され、北九州、大阪でも上演される。