緊急取調室 (2025)
第7話 赤い殺意
12月4日(木)放送分
あがき続ける「ゆとり世代」の今を、宮藤官九郎さんが丹念に描く日本テレビの連続ドラマ「ゆとりですがなにか」が話題だ。岡田将生さん、松坂桃李さん、柳楽優弥さんが演じる“ゆとり第一世代”とされる1987年生まれのアラサー男子3人が、仕事に、家族に、恋に、友情に迷いながらも奮闘する姿を描いている。放送を前に「45歳にして初めて挑む社会ドラマ」と話していた宮藤さんに、制作秘話や最終回までの見どころなどについて聞いた。
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ドラマは、食品会社に勤め居酒屋チェーンへ出向を命じられた主人公の坂間正和(岡田さん)、小学校教師の山路一豊(松坂さん)、風俗店の呼び込みをしている道上まりぶ(柳楽さん)の3人の姿を描いている。正和の同期社員の茜役で安藤サクラさん、正和の妹のゆとり役でAKB48の島崎遥香さんが登場しているほか、太賀さん、吉岡里帆さん、吉田鋼太郎さんも出演している。
宮藤さんは“ゆとり”をドラマのテーマとした理由について「飲み会に誘ったのに迷惑そうな顔をされたり、会話が成り立たない違和感とか、無駄なことは極力せず、自分から『ゆとりなんで』って自虐的に言ったり、なんなの?と思いました(笑い)」と自分たちの世代との違和感に興味を持ったことを明かし、「特にドラマにメッセージはありません。自分の経験や、現実の社会で起きていることを踏まえて今の若者の姿を描くと、こういうドラマになるんじゃないのかなと思った」と語る。
続けて「自分たちには未来がない、彼らのほうが未来があるわけです。脅威だなって(笑い)。多分、自分が下の世代に感じてる怖さをやわらげるのに、一番便利な言葉が“ゆとり”だったんだと思います」と話す。そして「自分の子供の運動会を見てると徒競走の順位を発表しないんです。でも一番盛り上がるのはクラス対抗リレー。矛盾してますよね。人と競争するのが当たり前だったから、競争意識について改めて考えるきっかけになった」と真剣な表情も見せながら「ゆとり世代について勉強したり、取材をするとネガティブな面ばかりでもない、というのが分かって来た」と説明する。
「今回のドラマは、書いていてとにかく楽しかった」と明るく話す宮藤さん。「僕は、わりととっぴな設定や破天荒なキャラクターを作るのは、得意なんですよね。最初から気をつけた点は、とっぴな設定に頼らずに、見ている方の実生活の中で起こりうる事柄だけで、どれだけ先が読めないドラマが作れるかやってみたかった」といい「自分にとって挑戦だったのは、(安藤さん演じる)茜。(退職や結婚など)女性らしい悩みを抱えている普通のキャラクターについて真正面から考えたことがなかった。書いてて新鮮でした」と声を弾ませる。
ドラマは第7話(29日放送)を迎え、いよいよ終盤に差しかかる。宮藤さんは、8話目以降について「最後まで、この雰囲気は変わらないです。普段は、物語を収束させてきれいに着地させようとしますが、今回はあえてそうしませんでした。見どころは、正和と茜がヨリを戻すのか、姉夫婦の妊活といった坂間家の問題。山路は童貞なのに、子供たちに性教育をしないといけない。まりぶは、ゆとり(島崎さん)との関係。一つや二つではないですね。物語がどういう終わり方になるか、楽しみにしてください」と笑顔を見せた。
続編については「やらないと思います」と話す宮藤さん。一方で、「単発やスピンオフなどで、20年後、30年後の『ゆとり世代』の姿を見てみたいですね!」とも語り、相反する胸の内を明かす。“未来がある”ゆとり世代の3人には、どんな未来が待ち受けているのか。ドラマは、毎週日曜午後10時半から放送。
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