仮面ライダー:高さ14.5センチの“理想のヒーロー” 骨格から作る驚異のフィギュア「真骨彫製法」の秘密

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「魂フィーチャーズ2016」でお披露目された「S.H.Figuarts 真骨彫製法」シリーズの新作「仮面ライダーW サイクロンジョーカー」

 1971年に第1作が放送されてから45周年を迎えた「仮面ライダー」シリーズ。映像もさることながら、仮面ライダーの世界を楽しめる精巧なフィギュアが人気を集めている。5月に東京・秋葉原で開かれたバンダイの大人向け玩具展示会「魂フィーチャーズ2016」では、リアルな造形と自然な動きを追求したアクションフィギュア「S.H.Figuarts」の平成仮面ライダーシリーズの全作品約300点が一堂に会した。中でも骨格部分から造形し、0.1ミリ単位のこだわりで詳細なパーツも再現し、“高さ14.5センチの理想のヒーロー像”を追求する「真骨彫製法」の技術が紹介され、来場者の注目を集めていた。フィギュア原型制作「GB2」の原型師、長汐響さんとデジタル設計を担当した「デジタルファクトリー」の三橋豊彦さんに、“究極のフィギュア”制作の舞台裏を聞いた。

 「真骨彫製法」が誕生したのは3年前、バンダイから「劇中から抜け出てきたようなフィギュアを作ってほしい」とオーダーされた長汐さんは、どうやって原型を作るか悩んだ末、「人間の形状が人体のフォルム形成に大きく関与している」と気づいた。従来、アルミ線を使って芯を作るのだが、さらなるリアルを追求するため、骨格から造形することを思いついた。その上に筋肉を付け、スーツを着せていく手法を編み出した。骨格の造形をしている様子を撮影した写真を見たバンダイの担当者が「面白い!」と、「骨」の字を入れた「真骨彫」という製法が名付けられた。

 フィギュアの原型制作に当たって、長汐さんは設定資料を“穴が開くほど”読み続けるという。さらに作品を何度も見直して、頭の中をいっぱいにしていく。今回発表された仮面ライダーWでは少年ぽい体形のライダーという解釈をして理想の姿を追求したという。

 三橋さんが担当するデジタル設計では、長汐さんが作った粘土造形をスキャンし、ライダーベルトなどの細かなパーツを加えて、3Dプリンターで立体化。長汐さんと何十回もやり取りして、微調整していく。アクションフィギュアなので、ベルトを変形させたり、小さなパーツを差し込んだりといったギミックを再現する。仮面ライダークウガでは、ベルトなどに刻まれる古代文字を解読して、ギリギリのサイズで再現している。また、仮面ライダーWでは、変身ベルト「ダブルドライバー」のスロットに、「ガイアメモリ」というパーツを装着でき、ベルトを展開させて「W」の形にすることができるなど、ファンも思わずため息をつくほどのリアルなアクションフィギュアとなっている。

 徹底的にこだわったフィギュアだが、通常1〜2カ月で開発されるところを、原型の制作だけで3〜4カ月、全体では半年近く時間をかけて制作される。原型の長汐さん、デジタル設計の三橋さん、バンダイの担当者ら多くの人々がチームを作って、“理想のヒーロー”を追求していく形で、長汐さんは「F1のチームのようだ」という。

 仮面ライダーは、肉体の部分の曲線的でアナログな造形と、パーツ部分の機械的でデジタルな造形が融合しているのが特徴で、筋肉などの滑らかな面を削りだしていく作業は「自動車のデザインで流線型のボディーを作り出していくのと似ている」と語る。リアルさを追求するため、解剖学の専門書なども見るという。「人間の体は毎日見ているので、少しでもバランスが悪かったり、間接の動きが不自然だったりすると、誰でも気になってしまう。骨格から作ることによって、説得力のある造形を生み出すことができる」と話す。三橋さんは「パソコン上でデザインする時は、いくらでも拡大できるので、どんなに細かい部品も設計できるが、あまり細かすぎると生産時につぶれてしまってディテールが再現できない。ギリギリのデフォルメを調整するのが難しい」と明かす。

 こうして「真骨彫製法」によって生み出されたフィギュアは、2014年に発売された第1弾「仮面ライダーカブト ライダーフォーム」から、これまでに「響鬼」「クウガ マイティフォーム」「アギト グランドフォーム」「ディケイド」が発売されている。そして今回、「クウガ」の「ライジングマイティ」「アルティメットフォーム」と、「ガタック ライダーフォーム」「W サイクロンジョーカー」が発表された。

 バンダイの担当者は「フィギュアを撮影した写真と、実物のポスターを見て、どっちが実物か区別がつかないんです」と評する。原型師の熟練の技と、3Dプリンターなどの最新のデジタル技術を駆使したデザイナーの技術で、「実物を超える理想の体形を持ったヒーロー」を目指す「真骨彫製法」。子供だけでなく、大人の心もワクワクさせるようなフィギュアをこれからも生み出していくのだろう。【MANTAN総編集長・猪狩淳一】

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