桂歌丸:大劇場で65周年記念の会開催 公演後入院、8月の復帰目指す

再入院を発表した桂歌丸さん
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再入院を発表した桂歌丸さん

 「笑点」の司会を5月に勇退してから2カ月、落語家で落語芸術協会会長、桂歌丸さん(79)の芸歴65周年記念落語会が26日、東京・新橋演舞場で開かれた。平日の午後1時開演、約1500席の大劇場にもかかわらず、チケットは発売から10日間で売り切れ。豪華な出演者が次々と登場する中、歌丸さんは「息の続く限り、落語家として、桂歌丸、見ていていただきたい」と、これからも現役にこだわり続けることを明らかにし、トリで約50分の高座を見事に締めくくった。

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 この日は神奈川県相模原市で大量殺人事件が報じられたばかり。なんとなく重たい空気が会場に流れていたが、冒頭に歌丸さんの半生をつづる写真が上映され、赤ちゃんの頃の歌丸さんの写真が映ると、1500席の客席からは笑いが起こり、重たい空気は吹き飛んだ。

 続いて、「大劇場で経験したかった」というせり上がりで歌丸さんが登場すると、「おーっ」というどよめきが起こった。歌丸さんは口上で、「振り返ると、昭和26(1951)年に入門。15歳、中学在学中でした。なぜそんなに早く? 実は、学校の勉強が大嫌いでした」と語り始めた。

 続いて「ずいぶん苦しい思いもしたが、その都度、歯を食いしばったつもりです。なんとか世に出られるようになったのは、笑点で立川談志さんに引っ張られ、名前と顔を売ってくれたこと。やめようと思ったことは一度もなかった」などと話した。

 「笑点」では1回目から出演してきたが、「日テレの係の人が5月15日までは生きててくれと頼まれた。笑点は卒業したが、噺(はなし)家は卒業したわけではありません。まだまだ勉強したい」。

 共演者も「笑点」仲間の三遊亭小遊三さん(落語芸術協会副会長)と三遊亭円楽さん、笑福亭鶴瓶さん、そして立川志の輔さんと超豪華な顔ぶれ。志の輔さんは「ポケモンGO」のブームにかけて、「楽屋では歌丸師匠を、うたもんと呼んでます。歌丸師匠の落語会に行くのを『うたもんGO』といいます」。鶴瓶さんは「円楽の兄さんに、よけいなこと言うなと言われたので言いますけど、(不倫騒動の)まっただ中に僕にメールが来たんです。助けてって」と話し、落語をあまり聞いたことのない観客にも喜んでもらおうと努めていた。

 そんな人気者たちに対して歌丸さんは、「友達というのはありがたいもの。みんな古いお友達で、相談したら、ありがたいことで、きょうは全員無料出演です」と切り返した。

 トリでは約50分の長講で「竹の水仙」を披露した。歌丸さんならではの工夫をこらし、じっくりとしたテンポで、聴かせる噺に仕上げ、独自のサゲ(落ち)で見事にまとめた。「私のサゲですから、黙ってまねはさせません」と歌丸さんは強調。「若手の前座さんにも稽古(けいこ)つけてくれるんですよ」と円楽さん。歌丸落語を若手にも継承してもらいたいという思いが歌丸さんにはあるのだろう。

 8月14日で80歳になる歌丸さんだが、「ますます落語を勉強してまいりますので、息の続く限り、落語家としての桂歌丸、見ていていただきたい」と、生涯一落語家を宣言。「まだまだやりたい噺がある」と意欲に燃える歌丸さんに、円楽さんがふと、「死ねませんね」と尋ねると、歌丸さんは、「死にません。死にませんよ」と繰り返し、すかさず、「あたしが死ぬ時はあなた道連れにするから」と切り返した。大劇場での歌丸さん記念の会は、笑点ファンを落語ファンに導くきっかけにもなった。

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 新橋演舞場の公演を成功させた翌27日、歌丸さんは腸閉塞(正式な病名は上腸間膜動脈症候群)の治療で再入院することになった。予定されていた落語会などの出演も中止になる。

 東京・国立演芸場では、今年も8月中席(11~20日)で恒例となった三遊亭圓朝の作品から「江島屋怪談」を演じる予定だ。これまでも体調不良にもかかわらず、この公演に合わせて復帰してきた歌丸さん。「圓朝物は、息の続く限り取り組みたい」との強い意欲で、きっと復帰してくれることだろう。(油井雅和/毎日新聞)

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