アニメ質問状:「魔法使いの嫁 星待つひと」 膨大なファンタジー世界の設定 「先生助けてくださいー」

アニメ「魔法使いの嫁 星待つひと」前編のワンシーン(C)ヤマザキコレ/マッグガーデン
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アニメ「魔法使いの嫁 星待つひと」前編のワンシーン(C)ヤマザキコレ/マッグガーデン

 話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は、13日から2週間限定で劇場上映されるアニメ「魔法使いの嫁 星待つひと」の前編です。アニメーション制作を手掛けるWIT STUDIOの和田丈嗣社長に作品の魅力を語ってもらいました。

ウナギノボリ

 --作品の概要と魅力は?

 「魔法使いの嫁」は、「これは、世界の美しさを識る為の物語。」というキャッチコピーで表現されている通り、羽鳥チセという15歳の孤独な女の子が、人外の魔法使い、エリアス・エインズワースと出会ったことによって、世界を一つずつ知っていく物語です。

 何者でもないと思っていたチセが、実は魔法使いとして大きな素質と秘密を持っていることが明かされます。そして、強引なエリアスはチセを自分の弟子にすると宣言。魔法を使って飛んだ先は、なんとイギリス! 豊かな自然あふれる異国の土地で、奇妙で愛らしい2人の共同生活がスタートします。

 たくさんの妖精たちとの日常を戸惑いながら過ごしていた2人の前にイギリス協会が登場します。エリアスを監視していた彼らは、勝手にチセを弟子にしたペナルティーとして、2人に三つの事件の解決を課します。これらの事件を解決しながら、チセとエリアスはお互いのこと、そして自分のことを知っていく。そういうお話です。

 この作品は、ファンタジーのだいご味である異世界を感じることができます。人間の理(ことわり)の外で存在している妖精たち。その妖精たちに翻弄(ほんろう)される人々。それらが描き出すドラマが、生きていること、死ぬこと、そして自分の居場所について。そういうとても大事なことを、すごく丁寧に描いています。

 不器用な2人と、その2人の周りにいるコミカルでほほ笑ましい登場人物たちを一度見てもらえれば、好きになってもらえると思います。とにかく可愛い作品です。

 --アニメにするときに心がけたことは?

 この作品は、ファンタジー作品であるということを強く意識しようと監督と話し合いました。その世界には、妖精たちが住んでいるということが感じられる、そういう絵作りを目指しました。ヤマザキ先生のマンガからは、確固たる世界があふれ出しています。その世界を、アニメーションでどうやって表現するのか? その部分をとても繊細な積み重ねによって成立させようとしています。

 その土台の上に、チセという女の子のことを、もっと見ていたいと思ってもらえるよう、しっかりとしたドラマを描きたいと思っています。

 --作品を作るうえでうれしかったこと、逆に大変だったことは?

 日本だけでもなく、世界中に偉大なファンタジー作品はたくさんあり、視聴者の方はその映像を見ています。何部作もあるあの作品なんか、本当にすごいですよね……。分かっていたのですが、実作業に入って改めてこのハードルの高さに圧倒されています! もう、本当に、皆で、総力戦で超えるしかないと思っていまして、集まってくれた人たちに感謝しかありません……。

 ファンタジーって当たり前ですけど、全部作るんですよね。設定の数が、膨大に……。そして、妖精たちって、どんな動きするんですかね?? 誰か教えてくださいー。連載で大変な状況だとは分かりつつ「ヤマザキ先生助けてくださいー」という状況で、鋭意制作中です。

 うれしかったことは、上がってきたフィルムの一つ一つが想像をしっかり超えていること。なので、ファンタジーが好きな方にもぜひ見てもらいたいと思っています。

 --今回のみどころを教えてください。

 8月13日から上映される「魔法使いの嫁 星待つひと」は、本編が始まる前のチセの前日談です。「魔法使いの嫁」という作品を見て、一番興味がひかれたキャラクターがチセでした。彼女は、どういう幼少期を過ごしていたのか? そして、どういう気持ちで1巻の冒頭のシーンに至ったのか? その興味から、前日談を描くということになりました。

 いつものメインキャラクターたちもしっかりでますので、皆の大好きなキャラクターがどういう声で、どういうふうに動くのか、ぜひ楽しみにしてください! 個人的な推しポイントは、(チセを助けた墓守犬の)ルツ可愛いーです。ルツ好きは、ぐっとくるシーンがありますので、ぜひ期待してください!

--ファンへ一言お願いします。

 「魔法使いの嫁 星待つひと」は、前編と中編、後編からなる3部作です。原作マンガと一緒に、皆様にとって大事な作品になれるよう精いっぱい頑張ります。映像化の第1弾である前編を見ていただき、更に広がっていく「魔法使いの嫁」の世界を、最初から一緒に体験してもらえるとうれしいです。ぜひ劇場に足を運んでいただけますとスタッフ一同、とてもうれしいです。よろしくお願いいたします。

WIT STUDIO 社長 和田丈嗣

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